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2010年1月27日Linuxコード開発者の75%はボランティアではなく「業務命令」

Linuxカーネルの現在のバージョンは2.6.32、コードの行数はおよそ280万行に上る。約1年前のバージョンである2.6.28に比べると、約5万5,000もの変更が加えられている。以前にも紹介したカーネルコントリビュータのJonathan Corbet氏によれば、毎日7,000行以上のコードが追加/変更されている計算になるという。

ではこの日々の膨大な作業を支えているのはどんな人びとなのか。Corbet氏によれば、カーネル開発者のうち、純粋にボランティアとして作業している人は全体の約18%に過ぎず、また7%は所属がはっきりしないという。そして残り75%は、所属企業から"業務命令"でカーネル開発に携わるように申し渡されている開発者だ。つまり、大半の開発者がLinuxカーネル開発で給与をもらっているということになる。

開発者の出身企業別で見ると、Red Hatがトップで12%を占め、Intelの8%、IBMとNovellの6%、Oracleの3%とつづく。いずれもLinuxビジネスの世界では互いにライバル関係にある企業ばかりだが、ベースとなるカーネル開発となれば互いに協力せざるを得ないようだ。

気になる点としてはGoogleの名前が見あたらないところ。ChromeOSやAndroidなど、Linuxをベースとしたソフトウェアを数多く開発しているGoogleだが、今のところ表だってカーネル開発には積極的に関わっていない。前述の企業はどこも、自社で開発した技術をカーネル開発にも反映させるべく努力をしているが、Googleにはその兆候はまったく見えない。

オープンソースの開発スタイルは"ボランティア=自由意志"と思われがちだが、Linuxカーネルのようにコードの行数はもちろん、ビジネスとしての重要度が大きくなりすぎると、純粋なボランティアだけで支えることはもはや無理のようだ。そしてGoogleのような巨大企業がギブ&テイクのテイクだけ、という状況もそろそろ許されなくなるのかもしれない。

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