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2014年4月7日Raspberry Piの牙城を崩せるか? ─Intel製オープンソースハードウェアの「勝算」

発売以来、子供たちから電子工作好きのギークまで世界中で大人気のシングルボードPC「Raspberry Pi⁠⁠。このARM搭載の小さな基板は、あらためてLinuxというOSの汎用性の高さを証明した。

大成功した製品のあとには必ずそれを追う対抗馬が現れる。ライバルになれるかどうかはかなり微妙なところだが、現在、"ラズパイチャレンジャー"として名乗りを挙げているのがIntelだ。同社はMinnowBoardというオープンソースプロジェクトを立ち上げ、ハードウェアの仕様を公開した「MinnowBoard」⁠MinnowBoard MAX」という2つのシングルボードPCをCircuitocoなどのパートナー企業より提供している。MinnowBoardには1GHzのAtom E640が、MinnowBoard MAXにはSoCファミリ/64ビットのAtom E38xxシリーズがそれぞれ搭載されている。稼働OSは、MinnowBoardがAngstrom Linux、MinnowBoard MAXがAndroid 4.4もしくはDebian Linuxとなっている。

minnowboard.orgのサイトにあるMinnowBoard MAXプロトタイプの写真。最終的にはCPUにヒートシンクが乗るとのこと。
minnowboard.orgのサイトにあるMinnowBoard MAXプロトタイプの写真。最終的にはCPUにヒートシンクが乗るとのこと。

IntelはオープンハードウェアとしてMinnowBoardの仕様を公開しているが、先日、1枚あたりの価格を199ドルから99ドルに大幅に値下げした。周知の通り、スマホやタブレットなどのモバイルハードウェア市場においてはIntelはARMのはるか後塵を拝しており、ここ数年、活路を見いだせないでいる。そのIntelがモバイルでの逆転を狙うのが組込み市場で、MinnowBoardも組込みソフトウェア開発者をターゲットにした仕様であることが伺える。ハードウェアのオープン化でもってラズパイの牙城を崩し、ARM独占の市場に一矢報いたいところなのだろう。

ちなみにMinnowBoardの"minnow"とは北米大陸に棲息する淡水魚の一種だが、スラング的には「しょーもない人、箸にも棒にもかからない人、これといって特徴のない人」という意味もある。後者のほうにならないことを祈りたいが、Intelはビジネス的に見込みの薄いオープンソースプロジェクト(モバイルOSのMeeGoや、自前のHadoopディストリビューションなど)はわりと簡単に捨てる傾向にあるので、失敗してもそれほど大きなキズにはならないかもしれない。

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