Ubuntu Weekly Topics

2008年2月8日号Hardy Alpha 4のリリース、MOTU協議会の新しいメンバー、Developer Week、Ubuntuの主張

Hardy HeronのAlpha 4がリリースされました

2月3日にUbuntuの次期バージョン"Hardy Heron"のテスト版である"Alpha 4"がリリースされましたAlpha 3から、さらに以下の変更点が新規に追加されています。

  • Linuxカーネルは1/24にリリースされた2.6.24ではなく、2.6.24-rc8ベースの2.6.24-5.8になっています。
  • デフォルトのBitTorrentクライアントとして、先月1.0.0がリリースされたばかりのTransmissionが採用されます。既存の古いBitTorrentクライアントに比べて、高機能かつ軽快になっています。
  • デフォルトのVNCクライアントが、xvnc4viewerからVinagreになります。これによりタブを使った複数のマシンへの同時アクセス、Aavahiを使ってVNCサーバを検索、最近使われた接続やよく使われる接続などの保存ができるようになります。
  • CD/DVD書き込みソフトとして、Braseroがインストールされるようになりました。Nautilusに備わっている既存のCD/DVD作成機能を補完し、音楽CDしか作成できないSerpentineを置き換えることを想定しています。
  • 時計とカレンダーのアプレットが刷新され、世界各地の時刻や天候を表示できるようになりました。
  • Nautilusの新しい仮想ファイルシステム(VFS)として、これまでのgnome-vfsに代わって、GVFSが導入されました。これにより、将来的には一度ゴミ箱に入れたファイルを元の場所に戻したり、ファイル操作の一時停止やアンドゥなどができるようになる予定です。また、パフォーマンスも大きく向上します。
  • システム・モニタのリソースタブが刷新されました。Cairoライブラリを利用することで、グラフをスムーズに描画します。
  • UbuntuのLinuxカーネルでも正式にKVMをメンテナンスすることになり、より簡単にゲストマシンを管理するためにlbivirtやvirt-managerが導入され、virtioの修正によってゲストのI/Oアクセス速度が改善されました。
  • エンドユーザ向けの簡単なファイヤーウォールとしてufw(uncomplicated firewall)が導入されました。ただし、現在のところはコマンドラインでしか操作できません。

また、Hardy Alpha 4の既知の不具合として、以下の問題点が報告されています。

上記の変更点に加えて、Kubuntuもさまざまな変更点があります

  • KDE 3用の壁紙が変更されました。
  • KDE 3のKMenuでは、KDE 4アプリケーションに対してマークがつくようになりました。
  • プリンタの自動設定ツールが導入されました。
  • デスクトップ効果のレベルを簡単に設定できるツールが導入されました。
  • AdobeのFlash PlayerがKonquerorでも使えるようになりました。
  • Qtの3.3.8bと4がGPL version 3になりました。

MOTU協議会員選挙の結果

MOTU協議会(MOTU Council)の選挙が行われ、新規パッケージの審査やMOTU候補生へのアドバイスを精力的に行っているEmmet Hikoryと、Kubuntuの開発に注力しているRichard Johnsonの二人が選出されました

MOTUミーティング

2月1日にMOTUのミーティングが行われました。決定した事項は次の通りです。

  • 7.10以降、Upstream Version Freaze(UVF)がFeature Freezeに統合されたため、UniverseパッケージのUVF Exceptionを担当していたmotu-uvfチームは、名称をmotu-releaseに変更することになりました。
  • パッケージのアップグレード依頼時(sponsored upload)に提出する、差分ファイルのフォーマットがinterdiffからdiff.gzに変更されます。現在のところは推奨フォーマットであり、必須ではありません。これは、ここ数回のリリースで新規パッケージの作成、パッケージのアップグレード、不具合の修正などでそれぞれ別々の手法が取られるようになってきたためです。
  • MOTUメンバーがより参加しやすいように、ミーティングの開始時間を4時、12時、20時(すべてUTC)の三交替制にすることなどが決定されました。

Ubuntu Developer Weekが開催されます

2月18日から22日までの間、Ubuntu Developer Weekを開催することが発表されました。この期間は、IRCの#ubuntu-classroomチャンネルにてパッケージングに関するあれこれや、パッチの作成方法、バグの管理、MOTUの仕事などを紹介するセミナーが開催されます。同様のイベントとして、毎回リリース直後(=次のリリースに向けての開発が開始する次期)にUbuntu Open Weekが開催されていましたが、今回は開発サイクルの途中ということもあって、Feature Freeze後からリリースまでの間に必要となってくる作業が重点的に紹介されます。現在予定されている時間割はこちらで公開されています。

Ubuntuの主張

Ubuntuマーケティングチームの一員でもあるPhilip Newboroughは、UbuntuやUbuntuで利用できるソフトウェアを紹介する「Ubuntuの主張(Ubuntu Advocacy)」バナーを作成しました。各個人のウェブサイトに配置することで、いくつかのソフトウェアをランダムに紹介できます。このバナーは公開後すぐさま有志によってスペイン語をはじめとする世界各地の言語に翻訳されました日本語版も存在します⁠。また、英語版のみではありますが横長版も存在します。

Ubuntu Weekly Newsletter #76が発行されました

2月3日に、Ubuntu Weekly Newsletter #76が発行されました。

コミュニティニュース

前述のHardy Alpha 4のリリースや、⁠Ubuntuの主張⁠⁠、MOTU協議会員選挙の話に加えて、サーバーチームとKVMの話(後述⁠⁠、Daniel HahlerとSiegfried Gevatterが新しいMOTUメンバーになった話などが紹介されています。

サーバチームとKVM

Hardy Alpha 4リリースの項でも触れましたが、UbuntuのLinuxカーネルでもKVMをメンテナンスすることになりました。これはサーバーチームが来るLTSリリースに向けて、サーバ用の仮想化ツールとしてKVM(Kernel-based Virtual Machine)を採用することになったからです。

この件について、今週のUbuntu Weekly Newsletterでは、サーバーチームの仮想化技術を担当し、Canonicalの社員でもあるSoren Hansenにインタビューを行っています。

その他のニュース

インターネット上でUbuntuに言及する記事として、以下の記事などが紹介されています。

  • フランスの警察が現在7万台あるWindows XPを搭載したデスクトップPCを、今年から2013年位までにかけて段階的にUbuntuに置き換えることを報じたAFP通信の記事
  • フィリピンの公立高校に政府の助成によって13000台のFedoraをインストールしたPCが配布されたこと、さらに10000台のUbuntuをインストールしたPCも配布を予定していることの経緯を解説するCOMPUTERWORLDの記事
  • Ubuntu 8.04ではもっと簡単に仮想化技術が使えるようになることを報じるphoronixの記事
  • 先週報じたDellのUbuntu 7.10インストール済みでDVDの再生も公式に対応したラップトップXPS M1330がヨーロッパだけでなく、アメリカでも購入できるようになったことを報じるProduct-Reviewsの記事

フォーラムニュース

今週のUbuntu Weekly Newsletterにもフォーラムニュースがありませんでしたが、今週のインタビューと今週のチュートリアルはそれぞれ行われています。今週のインタビューでは、グラフィックカードの非公式なドライバインストーラであるEnvyの開発者Alberto Milone (tseliot)にインタビューしています。また、今週のチュートリアルとして、CLIのニュースリーダであるslrnのインストール方法と、ニュースサーバであるLeafnode-2をインストールしslrnと共に利用する方法が紹介されています。

今週のセキュリティアップデート

1月31日
2月4日
  • USN-574-1: Linuxカーネルに関する複数の脆弱性
2月5日
  • USN-575-1: Aapacheに関する複数の脆弱性

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