Ubuntu Weekly Topics

2008年11月14日号 Ubuntuの品質管理,Launchpadインタビュー,関西オープンソース 2008

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Ubuntuの品質管理

UbuntuのCTOであるMatt Zimmermanは,Ubuntuの品質管理に関する見解を述べています

Ubuntuのリリースが近づくにつれ品質管理を行うQAチームは,報告された不具合の整理に追われるために非常に忙しくなります。個々の不具合に対して,リリースまでに解決できるもの解決されるべきものを,不具合の重要度や機能的に退化していないかどうか,修正することによって他に影響を与えないかなどといった情報を元に,慎重に判断を行わなければならないためです。

Zimmermanは,9月にUbuntuに対して7872個の不具合が報告されたこと,そのうち7802個の不具合が何らかの形で(修正だけでなく,他の報告との重複や不具合ではないとして)解決・整理されたことを例に出しつつ,新規の不具合報告がないと仮定した上でこのような高い処理能力を保ったとしても現在報告されているすべての不具合を解決できるまでに半年はかかると述べています。

その上で,QAチームの作業をより円滑に進めるために,以下のような五つのキーワードをあげています。

  • 不具合の優先度の決定:まずは報告された不具合を確認し,その重要度を測る必要があります。これは主にBug Squadチームが行っている作業であり,処理能力を上げるためには,より多くの人が参加することが望まれています。
  • 品質に関する客観的な評価:個々の不具合だけでなくUbuntu全体やアプリケーションに対して,どれほどの不具合が存在し,どれくらいのペースで解決されているかを評価する方法が必要です。先日,アナウンスされたばかりのUbuntu Package statusが,その役割を担うでしょう。
  • 段階的な改善:ただただ修正するだけでなく,機能的に退化(regression)していなかどうかを確認する作業も重要になります。QAチームのSteve BeattieはRegression Trackerという形でregressionとして報告された不具合をまとめるページを作成しています。
  • 重要な不具合の早期発見:リリースに影響が出るような不具合については,なるべく早く発見され,多くの開発者に周知されることが肝要です。QAチームのLeann Ogasawaraはそのような不具合の統計情報を表示するページを作成しています。
  • 既知の不具合の周知:リリースまでに残っている問題は,リリースノートのような形でユーザに周知し場合によっては回避策を提示する必要があります。

いずれにせよ報告された不具合の確認・整理をする人は常に不足していますので,そのような人材を増やすことが一番の課題です。もしUbuntuの品質に不満のある方,そしてそれを改善したいと考えている方は,まずはBug Squadチームに参加し,Ubuntuにおける不具合報告や管理方法の流れを確認してみることをおすすめします。

Launchpadインタビュー

先月末から先週にかけて,世界中に散らばっているLaunchpadの開発者が一堂に会する機会がありました。その珍しい機会を利用して,Matthew RevellはLaunchpadとその他のソフトウェアの開発者にインタビューを行ったようです。今後数週にかけて,さらに幾人かにインタビューを行いその記事を,Launchpad Newsとして配信する予定です。

現在掲載されているインタビューは以下のとおりです。

関西オープンソース 2008に参加しました

これまで,Ubuntu Japanese Teamは今週末に大阪南港ATCで開催されている関西オープンソース 2008に参加しました。ご来場してくださった皆様,ありがとうございました。なお,水野さんが行った講演「Ubuntuのある生活」資料(ODPファイル)動画も配信されていますので,ぜひご覧ください。

Ubuntu Weekly Newsletter #116が発行されました

11月9日に,Ubuntu Weekly Newsletter #116が発行されました。

コミュニティニュース

前述の品質管理の話,先週行われた,Ubuntu Open Weekの話,Jaunty Jackalopeリリースに向けての話に加えて,以下の話が紹介されています。

  • CNET news Business Techに,Ubuntuの創設者であるマーク・シャトルワースへのインタビュー記事が掲載されています。
  • Ubuntu Weekly Newsletterのドイツ語版が再始動することとなりました。ドイツ語版では,英語版を完全に翻訳する形ではなく,ドイツ語圏の人にとって興味のある内容を重点的に翻訳・執筆する形をとっています。
  • 以前にもお伝えしましたが各種ソフトウェアを手軽にインストールできるUltamatixには,いくつかの問題があり,その使用についてUbuntu開発者の間でも警告が発せられていました。Matthew Garrettは自身のサイトの中で,Ultamatixが抱える問題についてより詳細な説明を行っています。

その他のニュース

インターネット上でUbuntuに言及する記事として,以下の記事が紹介されています。

  • Ubuntu 8.10のインストールと簡単な紹介を行っているLinux Formatの記事(先週の記事の再掲です)。
  • 64bit版のUbuntu 8.10のインストールと新機能の紹介を行っているlinux.comの記事
  • 前述のコミュニティニュースで紹介されたCNETの記事や先週掲載した記事同様,マーク・シャトルワースが,Canonicalはまだ当分黒字化されないだろうことを述べているLinux Insiderの記事
  • Ubuntu 7.04からUbuntu 8.10のリリース候補版までのベンチマークを行い,Ubuntuがリリースごとに遅くなっていることを多くのテスト結果が報告していると結論付けているPhoronixの記事。これについては,Ubuntu開発者のメーリングリストでも大きな話題になっており実際に高速化するためにはどのような作業が必要かという議論も始まっています

今週のチュートリアル

英語フォーラムで紹介されている今週のチュートリアルは,安全で高速なDNSサービスを提供しているOpenDNSを利用する方法です。OpenDNSでは従来のDNSサービスだけでなく,フィッシングサイトからの保護やURLのタイプミスの自動修正といった機能も提供しています。今回のチュートリアルでは,ルータではなくDHCPサービスを使ってDNSサーバを取得している手元のマシンの設定を変更する方法と,必要に応じて設定を変更するスクリプトを紹介しています。

今週のセキュリティアップデート

11月5日から11月11日までに,下記のセキュリティアップデートが行われました。

11月5日
11月6日
  • Tkの脆弱性(Ubuntu 8.04 LTS以前のバージョンのみに影響します)
  • netpbmの脆弱性(Ubuntu 7.10以前のバージョンのみに影響します)
11月7日
11月11日

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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