10.04の開発関連・プレビュー編ラスト
過去に引き続き,UDS-Lに向けて登録された,あるいはUDS-Lで議論されたBlueprintや周辺情報や各種開発MLでの議論から,筆者の主観に基づいて「重要そうなもの」「気になるもの」「凄そうなもの」をお届けします。
そろそろ開発状況が明らかになりつつあるので(たとえばARM向け軽量ブラウザはほとんど進んでいないような気配がします),もう少しすると実物のテスト版が出てきたり,あるいは「10.10まで延期」といった宣言が行われ,10.04 LTSの姿が見えてくるはずです(注1)。
- 注1
- 現実的には,Canonicalと契約を結んだ企業によるパッケージの追加期限(PartnerUploadDeadline。Lucidでは2010年1月28日)までは,思いもよらないドライバ追加やユーティリティ・ソフトウェア追加が行われる可能性がありますので,この時期までは「本当の仕様」はわかりません。
リカバリメニューの強化
Ubuntuだけでなく,多くの「Desktop向け」Linuxにおいて,壊れたファイルシステムの扱いは深刻な問題のひとつです。
何らかの理由で起動時にファイルシステムの矛盾が検知され,マウント不能になることによって,OSが起動不能になることがあります。この状態から脱出するためには,シングルユーザーモードに入り,ユーザー自身が / が含まれるファイルシステムにfsckを実行して,ファイルシステムを修復する必要があります。ですが,こうした復旧作業は,初心者が行うことはほとんど不可能です。
そこでUbuntu 10.04では,初心者でも壊れたファイルシステムの復旧が行えるように改良が行われる予定です。
ただし,これは非常に難しいところでもあります。ファイルシステムリカバリの持つジレンマは,次のようなものです。
- 初心者にも復旧を行えるツールを準備することは可能だが,「ファイルシステムを復旧するためにはツールが必要だが,復旧ツールもファイルシステム上にある」という『金庫の鍵は金庫の中にある』的な状態に陥る。
- だからといってファイルシステム以外の場所(initrd/initramfsイメージ)に複雑なツールを置くと,普段は使いもしないツールのために起動処理が遅くなる。
今回取り込まれる回答は,"起動メニューに表示される「Recovery mode」に「全ファイルシステムのチェック」といった項目を追加(あるいは置換)することです。ファイルシステムのチェックを選択して起動した場合,強制的に各ファイルシステムにfsckをかける,というアプローチとなります(注2)。Recoveryで表示されるメニューにはXの復旧やシングルユーザーモードでの起動などはすでに存在しますから,機械的に復旧できそうな不具合には一通りの救済策が準備されることになります。
- 注2
- 要するに,fsck -yを各ファイルシステムにかけるオプションだと思われます。fsck -yを忌避すべきケースも希にありますが,一般的なファイルシステムにおいては,対話式で表示される確認はたいていのユーザーにとって意味がありません。壊れたファイルシステムを適切に修復できる可能性が高いのは「すべての質問にyで答える」ことです。頭の中で間接参照ブロックのリンクリストを自由自在に操作できたり,BTreeを操作できるような人はこれらをうまく扱うことが可能ですが,明らかにこの機能の対象となるユーザー層ではありません。
Xのクラッシュ解析
ファイルシステムの破損と同じように,Xの突然のクラッシュも「初心者殺し」のひとつです。Xがクラッシュする原因は,アプリケーションのバグからドライバの問題・ハードウェア障害まで,さまざまなパターンがあります。また,Xが落ちてGUIが起動不能になれば,コンソールだけで操作を行う必要があります。また,3Dデスクトップが動作しない,パフォーマンスが出ないといった問題も同様に,多くのパターンが考えられます。
こうした問題に対しては,/var/log/Xorg.0.logなどのログファイルから原因を追及する必要があります。これにはPCの基本的なハードウェアに対する知識と,ドライバのメッセージを読み取るある種のカンと慣れが必要です。Linuxを使い始めて数日,といったユーザーにとっては,致命的な傷害になりえます。
10.04 LTSで挙げられた機能強化提案の一つは,/var/log/Xorg.0.logを自動的に読み取り,各セクションごとの動作の解析・既存のバグとの照らし合わせを行うツールを準備し,問題の識別を自動的に行えないか,というものです。
また,現在準備されている自動的な「低解像度モード」の起動も強化され,「Failsafe X」というリカバリ専用モードになる可能性もあります。
Lucidのテーマの一つは"Graphics"(注3)であるため,基盤となるX関連のツールは大幅に充実する見込みです。たとえばNouveauドライバ(NVIDIA製GPUの「オープンソース版再実装」)が取り込まれ,NVIDIA製品を利用しているユーザーは追加でドライバをインストールしなくても「それなり」のグラフィックス性能を手にすることができそうです。
- 注3
- これ以外にも「見通し」というテーマがあり,各種バグ管理・パッチ投稿のワークフローの見直し,開発プロセスの更新など,OSそのものとしてだけでなく,コミュニティも「Lucid」にするための作業が行われています。特にパッチワークフローは,関連するWikiドキュメントがほぼすべて書き直されており,能動的にUbuntuに関与する人にとっては意味のあるリリースとなるでしょう。
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主な内容は次の通りです。興味がある場合は,リンク先から入手してください。
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なんでもUbuntuで使いたい! - Ubuntu9.10アーリープレビュー
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Ubuntu Weekly Newsletter #172
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