Ubuntu Weekly Topics

2010年5月14日号10.10の開発開始⁠Ubuntu Light⁠mozc⁠Japanese Remix ISOイメージの再リリース⁠10.04の注意点(4)⁠UWN#192

10.10の開発開始

Ubuntu 10.04のリリースが無事に完了したことから、次のバージョンであるUbuntu 10.10 ⁠Maverick Meerkat⁠の開発がスタートしました。

開発者会議であるUDS(UDS-M)が行われ、仕様の策定・アイデアの整理などが行われています。UDSで行われたMark Shuttleworthのキーノートがhttp://blip.tv/file/3603061で閲覧できます(約48分あります⁠⁠。全体を見るだけの時間のない方のためにざっとキーワードをまとめると、以下のようになります。

  • 「キャズムを越えろ」
  • 「フリーソフトウェアを用い、真に普通の人が使えるデスクトップに」
  • 「今回の目標: Webに接続するまで7秒(The web in 7 seconds⁠⁠」
  • 『Ubuntu Light⁠⁠10:00前後~。特に11:30にインストール方法や機能概要があります。また、33:00頃から「Ubuntu Lightプロトタイプによる動作デモ」を見ることができます)
  • サウンドインジケータの改良
  • 「時刻」メニューの改良
  • ネットワークメニューの改良(コネクションマネージャの導入。10.10ではUNE向け。11.04でDesktopへ)
  • Window indicators(⁠⁠Light』テーマでアキ空間になった「ウインドウの右側」に表示する各種インジケータ)
  • “The Perfect 10.10”
  • 101010=42 ;)[1]

各方面で注目のUbuntu Lightは、Clutter(Moblinで使われているライブラリ)ベースのGUI・限界まで軽量化したランチャーとパネルとUnityデスクトップによって構成された、OEM向けのプロダクトです。canonical.comにあるスクリーンショットではブラウザはFirefoxになっていますが、UDSでMark Shuttleworthが示したサンプルデスクトップでは、Chromeにしか見えないブラウザが写っています。現時点でcanonical-dx-teamのPPAからテスト版のUnityをインストールし、実際に試すことができます。

Google日本語入力のオープンソース版

Chrome OS(Chromium OS)向けに利用することを踏まえて、Google日本語入力のオープンソース版が公開されました。プロジェクト名は「Mozc」です。

幸いなことに、Linux Build Instructionに従うことで、非常に簡単にUbuntu 9.10・10.04で動作するibus-mozcパッケージをビルドすることができます。

10.04の注意点(4)

今週も先週までに引き続き、10.04の注意点を示します。

10.04 Japanese Remix ISOイメージの再リリース

10.04 Japanese RemixのISOイメージに、⁠ディスクの破損をチェックする」際に、必ず失敗するバグが確認されました(LP#576887⁠。ご指摘頂いた方に感謝します。バグへの対応として、新しいISOイメージをリリースしました

ただし、これに伴う問題は「ディスクの破損をチェックする」による検証が機能しないことだけです。ISOイメージ公開後に提供されているアップデータの適用はありません。既にインストールに成功している場合・また、ISOイメージからCDを焼く際にベリファイに成功している場合は、新しいイメージと同等ですので、再ダウンロードや再インストールを行う必要はありません。

LANG 環境変数の変化

10.04以降、GDM経由でログインした場合はLANG環境変数に*.utf8形式の値が入ります(これまでは*.UTF-8形式⁠⁠。日本語環境の場合、これまでのja_JP.UTF-8に代わり、ja_JP.utf8が入ることになります。通常、glibcのロケールサポートを利用したソフトウェアであれば、これまで通り動作しますが、LANGに*.UTF-8式の値が含まれていることを期待するソフトウェア(LANG環境変数に含まれる文字列を直接パースして文字コードを切り替えるような実装を行っているもの)が、正常に動作しなくなっています。

これにより、Japanese Remixに含まれるunzipパッケージを利用しても、file-rollerなどからSHIFT_JISファイル名を含むアーカイブを展開でいなくなっています(LP#579116⁠。対処版パッケージをまもなくリリースする予定です。

なお、LANG環境変数の変化については、適用が不完全なため、/etc/default/localeの値・KarmicやHardyからアップグレードした場合・アカウントを新規作成した場合・コンソールからの操作の場合などは*.UTF-8式の値が使われます。

Ubuntu Weekly Newsletter #192

Ubuntu Weekly Newsletter #192がリリースされています。

その他のニュース

  • Upstartが将来的にcronを置き換える話。最近iPadを買ったらしいScott James Remnant(Upstartの主要開発者)によれば、it's planned for the next major versionとのことなので、Ubuntuシステムからcrondがいなくなる[2]日が近いかもしれません。
  • SiS 771/671系グラフィックスチップ用ドライバを10.04で使う方法
  • GSoC(Google Summer of Code)で採択されたUbuntu関連プロジェクトの一覧。クリップボードの改良・Android用Ubuntu Oneクライアントなどなど、非常に魅力的なアイデアが並べられています[3]⁠。

今週のセキュリティアップデート

usn-936-1:dvipngのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-May/001090.html
  • Ubuntu 9.04・9.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2010-0829を修正します。
  • CVE-2010-0829は、dvipngが不正なDVIファイルを変換する際、配列外への参照・書き込みが発生する問題です。これにより、アプリケーションのクラッシュ・任意のコードの実行が発生する可能性があります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで必要な変更が行われます。
usn-937-1:TeX Liveのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-May/thread.html
  • Ubuntu 8.04 LTS・9.04・9.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-1284, CVE-2010-0739, CVE-2010-0827, CVE-2010-1440を修正します。
  • CVE-2009-1284は、TeX Liveに含まれるbibtexが、.bibファイルの処理において、メモリアロケーションに失敗する問題です。glibcによりメモリ破壊が検知され、通常はアプリケーションのクラッシュが発生します。glibcの未知のバグと組み合わせることにより、任意のコードの実行が発生する可能性があります。この問題はUbuntu 8.04 LTS・9.04・9.10にのみ影響します。
  • CVE-2010-0739, CVE-2010-1440は、dvips/dvipskによるdviファイルの取り扱いにおいて、整数オーバーフローが発生する問題です。アプリケーションのクラッシュ・任意のコードの実行が発生する可能性があります。
  • CVE-2010-0827は、dvipsによるdviファイルの取り扱いにおいて、バッファオーバーフローが発生する問題です。アプリケーションのクラッシュ・任意のコードの実行が発生する可能性があります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで必要な変更が行われます。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧