Ubuntu Weekly Topics

2010年10月1日号 10.10のRC・Ubuntu Font・10.10のPapercuts(7)・UWN#212・9.04のEOL・LibreOffice

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Ubuntu 10.10のRelease Candidate

Ubuntu 10.10のリリースを今月10日にひかえ,10.10 RCがリリースされました。Milestone=Ubuntu 10.10となっている修正項目が相当数含まれるため注1)⁠まだ完成版と言える状態にはありません。

なお,Kernelまわりについては現在も開発が進められており注2)⁠Intelの次世代CPU,Sandy Bridgeの内蔵GPU対応などが追加されています(2.6.35.6)⁠これらについてはリリース後のアップデートで提供されることになるでしょう。

注1
そのうちの一つが「mozcをuniverseからmultiverseに落とす」(理由:IPADicがDFSG-Freeでない)⁠遅延の主な理由が「筆者が適切な担当者にIRCで声をかけることを忘れてた」というあたりは見なかったことにしてください。
注2
本質的にはLKMLのStable Releaseからパッチを引いてきているだけですが,Sandy Bridgeサポートだけは個別に取り込んでいます。

前述の通り,Ubuntu 10.10は2010年10月10日,年・月・日が「10」で揃った日にリリースされる予定です注3)⁠

リリースの前後にはネットワーク経由のアップデートが極端に重くなる傾向があります。事前に標準のミラーサーバー(jp.archive.ubuntu.com)から他のサーバーに切り替えておくと良いでしょう。あるいは,10.04環境のアップデート・マネージャを用いアップグレードする(ネットワークアップグレード)のではなく,アップグレード前にミラーサーバー群から別途Alternate CDをダウンロードし,CDに含まれるパッケージを用いてアップグレードを行うようにしてください。

注3
想像を超える問題がなければ,おそらく地球上の10月10日のうちにリリースされます。日本時間の10月10日に間に合うかどうかは微妙なところですが,幸い日本では10月11日が祝日ですので,リリースを待ちながらの徹夜も可能です;)。

10.10のJapanese Remix

Ubuntu 10.10のリリースに伴い,日本語環境向けのJapanese Remixもリリース予定です。RCは近日中(10月10よりは早いタイミング)に,正式なリリース版については,ubuntu.comからの位置リリースから約一週間後,10月16日(土)のリリースを予定しています注4)⁠

より詳細なリリース関連アナウンスについては,メーリングリストに行う予定です。必要に応じて購読してください。

注4
現状ではバグらしいバグが見あたらない状態になっているので関係者は油断していますが,大きな問題が見つかった場合,1週間単位でリリースを延ばす可能性があります。

Ubuntu Fontの一般向け提供(真)

これまで何回かお伝えしてきているUbuntuオリジナルのフォントであるUbuntu Fontの,⁠公式な」一般向け提供が開始されました。⁠公式な」というのは,Betaフェーズでの入手が可能だったためです2010年8月6日号参照)⁠

RC以前から10.10を利用している場合はアップデートマネージャーなどを経由して,RC以降のインストールであれば最初からttf-ubuntu-font-familyが導入されています。英数字などは基本的にUbuntu Fontで表示されます。以前に用いられていたubuntu-titleとは異なり,数字・アルファベット大文字/小文字を一通り含み,一部のlatin文字類も利用できます。日本語は含まれていません。書体のサンプルはMark Shuttleworhのblogを確認してください。

ライセンスはSIL OpenFontLicense 1.1ベースのUbuntu Font License 1.0です。ライセンスを含め,FAQが準備されています。

10.10のPapercuts(7)

Ubuntuでは,リリース毎に「すぐに直せる」⁠ユーザーの使い勝手を損ねる」バグをだいたい100個修正する,⁠Hundred Papercuts』と呼ばれるプロジェクトを実施しています。Ubuntu 10.10で行われるPapercutsの内容をその1その2その3その4その5その6に引き続いて見ていきましょう。

"miscellaneous"
  • LP#39328 ウインドウ上でマウスホイールのスクロールを行うとウインドウが切り替えられる機能は,ノートPC上で悲惨な挙動になるので止めた方が良い。
  • LP#342567 NotifyOSD環境では,特定のキーを押し続けることでアクセシビリティ設定を行うことができない。
  • LP#395692 メニューエディタ上でドラッグアンドドロップすると,場所によって全く異なる操作になる。
  • LP#442940 インストール時にユーザー名を登録する際,スペルチェッカをかけた方がよい。ミススペルで悲しい想いをすることがある。
  • LP#507788 ヘルプにおいて,目次が表示される場所を左右どちらかに統一すべき。
  • LP#391223 Bluetoothデバイスをダブルクリックしたら,デバイス上のファイルを閲覧できるようにした方がよい。
  • LP#411559 管理者権限を利用した操作を行う時のパスワード認証においては,間違ったパスワードが入力された場合は「認証失敗」ではなく「パスワードが違います」といったものを出力した方がよい。
  • LP#618723 ⁠アップデート・マネージャ」「ソフトウェア・アップデータ」の方が分かりやすい。
  • LP#387382 アップデート・マネージャは,アップデートを試みる前にインターネット接続を確認すべき。
  • LP#66015 一部のアプリケーションで,スペルチェック辞書を選択するメニューで同じ言語を意味する項目が重複している。
  • LP#111939 ドラッグアンドドロップ中,Alt+Tabが効かないのは直すべき。
  • LP#155930 Synapticにおいて,⁠すべてのマークを外す」と,インストール済みといった情報まで消えてしまう。
  • LP#393358 Synapticやダウンロードマネージャで,ダウンロードが完了すると「ダウンロード速度」「不明」になるのはナンセンス。
  • LP#426708 アップデート・マネージャにおいて,⁠バッテリで動作しています」という警告は良くない。⁠安全にアップデートするにはAC電源に接続すべき」といった記述にすべき。
  • LP#426710 ACアダプタを接続しているのに,⁠バッテリで動作しています」という警告が消えない。
  • LP#484249LP#494772 アップデート・マネージャが自動的に起動したあげく,いきなり「バッテリで動作しています」と言い出すことがある。何のことだか分からない。
  • LP#492825 Ubiquityにおいて,⁠インストール」ボタンにアクセラレータ(ショートカットキー)が設定されていない。
  • LP#515682 ⁠デスクトップを表示」のキーバインドは,Windowsと同じくSuper+Dにすべき。
  • LP#531400 インストール直後に生成される~/Examplesディレクトリに,異常に古いファイルやよくわからないファイル名のサンプルが放置されたままになっている。
  • LP#555213 プリンタジョブの表示部分だけ,システムのテーマの設定を無視している。
  • LP#586928LP#600804 アップデート適用後の画面表示において,メニューに「再起動が必要です」と表示するのでは目的が不明瞭。⁠再起動(アップデート完了には必須)⁠といった記述になるべき。しかも状況によっては,不要パッケージの削除の後に表示されるので,削除完了には再起動が必要なのかと思わされる。難解なので操作UIを整理しなおすべき。

Ubuntu Weekly Newsletter #212

Ubuntu Weekly Newsletter #212がリリースされています。

9.04のEOL

Ubuntu 10.10のリリースの一方,Ubuntu 9.04が間もなくEOLを迎えます。具体的には10月23日がEOLスケジュールとなっていますが,できるだけ速やかに更新を行う必要があります。

EOL以降,OEM向けの特別なリリースでない9.04には,いかなるセキュリティアップデートも提供されなくなります。少なくとも9.10へのアップグレード(もしくはクリーンインストールによる10.04 LTSか10.10の導入)が必要です。

また,EOLを迎えたリリースはhttp://old-releases.ubuntu.com/にアーカイブが移動され,通常のリポジトリからはパッケージの導入等が行えなくなりますので,速やかにアップグレードないしクリーンインストールを行ってください。

LibreOffice

OracleがSun Microsystemsを買収したことで,業界の地図が少しずつ変わりつつあります。Sun Microsystemsが保有していたオープンソースプロダクトの一つ,OpenOffice.orgにおいて,きわめて大きな動きがありました。OpenOffice.orgのコミュニティが「The Document Foundation」という組織を立ち上げ,事実上フォークしました。

これにより,Oracle(Sun)がリリースするOpenOffice.org(とその商用版であるOracle OpenOffice)と,The Document Foundationがリリースする⁠LibreOffice⁠という2種類のプロダクトが並立することになります。より厳密にはNovellがOpenOffice.orgをベースに開発しているgo-ooプロジェクト(Ubuntuが搭載している⁠OpenOffice.org⁠はgo-ooがベース)など,複数のフォークプロジェクトが存在しているため,しばらくの間は見通しの悪い状態が続いてしまうおそれもあります。

いずれにせよLibreOfficeの存在意義は,⁠Oracle主導ではない」⁠≒Oracleの方針変更によって直接ダメージを受けない)OpenOfficeベースのプロダクトがリリースされる,ということになるため,オープンソースのオフィススイートを必要としている人にとってメリットのある変化と言えるでしょう。

LibreOfficeのベータ版はすでにThe Document Foundationのサイトで入手可能です。

なお,さすがにこの時期からの差し替えは不可能なため,10.10はOpenOffice.org同梱でのリリースとなり,LibreOfficeの導入は11.04からとなるはずです注5)⁠

注5
プレスリリースにMark Shuttleworhの名前もあるので,この期に及んでの大どんでん返し(例:10.10のリリースを10月末にして,その間にLibreOfficeを搭載)が発生する可能性は,まったくのゼロというわけではありません(限りなく低いです)⁠

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-991-1:quasselのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-September/001167.html
  • Ubuntu 9.04・9.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。LP#629774を修正します。
  • quasselがIRC経由で送られたprivmsgに応答する際,複数のNOTICEを含んだCTCPが送りつけられていると,その回数分の応答を繰り返してしまいます。結果としてIRC serverのflood protectionを越えてしまい,IRCセッションを切断される可能性があります。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,quassel・quasselcoreを再起動してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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