Ubuntu Weekly Topics

2011年9月9日号 12.04に向けた新機能各種・App Developer Weekのログ・DigiNotarの証明書の無効化

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Ubuntu 11.10の開発

11.10のBeta 1が無事にリリースされ,そろそろ「次」⁠=12.04 LTS)のコードネームの発表や,11.10に含められなかった新機能・12.04 LTSで新規開発する機能のアイデア出しが行われる時期になりました。同時に,Beta1のテスト結果に基づいたバグ対応が行われています。

また,Beta1のスクリーンショットいろいろところ公開されるとともに,テクニカルでのまとめが公開されています。Beta時期では自分で試してみる方が良いのですが,時間が取れない・検証環境が準備できない等の事情があれば,これらの記事を探してみてもよいでしょう。

11.10のリリースまで残り5週間となり,リリースまではほぼカウントダウン状態です。Androidスマートフォンをお持ちの場合はこのようなウィジェットもあります。

indicator-bug

Ubuntuの開発では,⁠大量のバグを適切に捌く」ことが欠かせません。大量のバグを処理するには,⁠コミュニティのボランティアが⁠自分に処理できそうなバグ⁠に目を通し続ける」状態が必要ですが,組織的な体制を作るのは簡単なことではありません。

たとえばUbuntuが利用しているLaunchpadには,⁠バグが登録されたら随時メールが届く」という機能があるものの,メールによる通知はメーリングリストからのメールや各種スパムなどに埋もれてしまいやすく,通知として確実に機能することは期待できません。

このような問題に対処するため,Ubuntuでは「デスクトップに通知機能などを組み込む」という手が取られる方向にあり,さまざまなディスカッションが行われました。そのアイデアのひとつを実現したのが,indicator-bugです。indicator-bugは,既存の各種indicator(ネットワーク設定やibusの動作状態・バッテリ動作状態などを表示するデスクトップ右上のアイコン)と同じように表示される,⁠現在どのようなバグが存在するか」を示すソフトウェアです。追いかけたいプロジェクト名を指定することで,簡単に「バグの一覧」にアクセスできるようになります。特定のソフトウェアに興味がある場合,このindicatorを導入してバグを追いかけてみると,自分が活躍できるバグが見つかるかもしれません。

Ubuntu Certification/Ubuntu Friendlyの進捗

Oneiric(11.10)の目標の中には,⁠Canonicalによるハードウェア認定(Certification)の強化」「コミュニティによるハードウェア動作検証の強化(Ubuntu Friendly)⁠のふたつの動作認定が挙げられています。前者はその名称の通り,Canonicalが「認定」したハードウェアに対して中長期的な動作認定を提供するもの,後者は「手元では動作した」というレポートを集めることで,⁠Ubuntuが動作するハードウェア」を入手しやすくすることが目的です注1)⁠

こうして集めた情報を「きちんと整理して」提供するためのアイデア出しが行われいます。Oneiricのリリース時点には間に合わないにせよ,少し先のUbuntuでは,⁠このノートPCでUbuntuは動くだろうか?」といった苦労をしなくて済むようになるかもしれません。

注1
特に「Ubuntu Certification」については,モデルによってはCanonicalがリリースした専用のプリインストールイメージが必要になることもあり,⁠Certificationは取っているものの,デフォルトのUbuntuをインストールしても動かない」というややナンセンスな展開が起きることもありえます。

PulseAudio Jack Detection

現在の一般的なPCは,スピーカーとヘッドフォン出力といった,複数のサウンド出力デバイスを備えていることが普通です。ノートPCの場合,さらにHDMI出力のような追加の出力デバイスを持っていることもあります。

複数のサウンド出力デバイスを備えた環境では,それぞれの出力デバイスの自動的な調整が必要です。具体的にはヘッドフォン出力を行う場合です。ヘッドフォンから音を出す以上,本体搭載のスピーカー出力はミュートする必要があります。同様に,HDMI接続したテレビから音を出したい時には,他の出力デバイスは邪魔になるのでミュートする必要があります。また逆に,スピーカーから大きな音を出すためにボリューム調整を極大にすることもあるでしょう。この状態でうかつにヘッドフォンを接続し,ヘッドフォンから爆音が出てくると非常に危険です。

さらに話を複雑にするのが,ノートPCなどについている音量ボリュームのコントロール機能です。たとえばヘッドフォンを接続した状態で音量を大きくした場合も,ヘッドフォンを取り外してスピーカー出力に戻った時点で「もとの音量」に戻ってくれた方が便利です。

……ということで,⁠接続されている」出力コネクタを自動的に認識し,それに応じてミュートする出力を変更する,あるいは接続デバイスごとにボリューム調整を変更する,といった機能が「いまどき」のデスクトップ環境では必須です。こうした機能をUbuntu 12.04 LTSではPulseAudio上で実現したいと思っているという宣言をDavid Henningsson注2がしています。すでに実装方法も大まかに見えており,かなりの期待ができそうです。

注2
Diwic。DebianとUbuntuでオーディオ・マルチメディア関連のパッケージを中心に活躍している人です。

App Developer Week

8月26日号でお知らせしたUbuntu App Developer Weekが予定通り行われています。本日9月9日(金)は最後の開催日ですので,参加してみてはいかがでしょうか。なお,参加方法や行われたセッションのログは,App Developer Weekのサイトで閲覧できます。アプリケーションのユーザーであっても知識として役に立つものが多いので,一度目を通してみるといいかもしれません(ただし,口語的な要素が強いため,英語の表現の難易度はやや高めです)⁠

UWN#231

Ubuntu Weekly Newsletter #231がリリースされています。

その他のニュース

  • Ubuntuでポモドーロテクニックを使うためのindicator
  • Jenkinsとsbuildを用いて各種パッケージのリビルドテストを行う方法。直接役に立つケースはあまりないものの,Jenkinsを用いてバッチ処理的な作業をする場合の参考になるはずです。
  • Ubuntu Tutorialで利用されているScreencastの録画チュートリアル
  • Ubuntu開発入門・その2
  • DebianやUbuntu環境にMongoDBをインストールする方法。
  • VMware PlayerをUbuntu 11.04/Linux Mint11にインストールする方法⁠新しめ」のUbuntuでは,apt-get install virtualboxを実行することでVirtualBox環境をセットアップすることができますが,VMwareを利用したい場合はこの手順を参考にしてみてください。
  • Debianを用いて,irssi + muttでターミナルベースの日常生活環境を構成する設定例。irssi(IRCクライアント)⁠Mutt(メーラー)ともにターミナル上で動作するソフトウェアとしてはトップクラスの柔軟性を持つのですが,⁠使いやすい」設定を自力で書き上げるには相応の困難さがあるため,こうした設定例を流用してカスタマイズするのが良いでしょう。一度設定を構築してしまえば,⁠sshさえあればどこからでも日常作業ができる」環境を構成することができます。
  • Ubuntu 11.04で利用できる各種テーマ
  • Ubuntu Global Jam(世界各地で同時多発的にバグ修正作業を行うイベント)「Essential」構成要素について注3)⁠
  • 5.1chで再生されるUbuntuのログインサウンド注4)⁠
  • UbuntuのCommunity Manager,Jono BaconによるCanonicalでの5年間注5)⁠
注3
"fresh beta software"以外についてツッコむのが正しい読み方です。
注4
5.1ch再生して何が嬉しいの,という点にツッコむのが正しい読み方です。
注5
2段落目の「I was living in the UK,……」で始まる文にツッコむのが正しい読み方です。たぶん。

今週のセキュリティアップデート

usn-1197-2:Thunderbirdのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001406.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。Thunderbird 3.1.13に相当する,DigiNotar CAのRoot CA証明書をリボークするためのアップデートです。
  • 第三者による不正侵入により,DigiNotar CAの発行する証明書は信頼基点として機能しなくなりました。DigiNotarが発行した証明書を受け入れる場合,HTTPS通信であっても通信中継によるなりすましが可能です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Thunderbirdを再起動してください。
  • 備考:HTTPS・S/MIMEによる通信を保護するために必須のアップデートです。可能な限り早期にアップデータを適用してください。
usn-1199-1:Apacheのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001405.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS・8.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • 通称Apache Killerと呼ばれるCVE-2011-3192を修正します。複数のRange/Content-Range指定が行われた場合のApacheの動作を変更し,リソースの過大消費を抑制します。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。アップデータ適用時にApache httpdが暗黙で再起動されるため,継続的なサービスを前提とするサーバーでは適用タイミングの調整が必要です。
usn-1197-3:Firefox・Xulrunnerのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-September/001407.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。Firefox 6.0.2・3.6.22に相当する,DigiNotar CAのRoot CA証明書をリボークするためのアップデートです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,FirefoxとXulrunnerを利用するプロセスをそれぞれ再起動してください。
  • 備考:HTTPSによる通信を保護するために必須のアップデートです。可能な限り早期にアップデータを適用してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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