Ubuntu Weekly Topics

2012年1月6日号 HDA Jack Sense Patch・マルチモニタサポート・Upstart 1.4のテスト・CES 2012へのCanonicalの出展・Full Circle Magazine #56 + Lite

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

Preciseの開発

Preciseの開発は時期的な問題から(多くの開発者がアドベントを含めたクリスマス休暇を取っていた関係で)やや停滞しています。今回と次回は,連載周期のタイミングで取りこぼしてきた話題を中心にお届けします。

HDA Jack Sense Patch

現在の大半のPCは,オーディオ機能をIntel HDA(Azalia)ベースの実装に頼っています注1)⁠このIntel HDAのジャック(要するにヘッドフォンジャックやライン出力ジャックなど)ごとに,ボリュームを制御できるようにしよう,というあたらしい実装が存在します。

この実装に移行するためには,⁠New Jack Detection⁠⁠Jack Sense⁠などと通称される実装を採用する必要があります。この実装はLinux Kernel 3.3で搭載される予定です。……が,Precise(12.04 LTS)はKernel 3.2を採用するため,順当な実装としてはP+1(12.10)まで待つ必要があります。

これはあまり良いことではないので,David Henningsson(diwic)が,Kernel 3.2へのバックポートを行おうとしています。少なくともKernel Teamによる承認は事実上出ており注2)⁠バックポートプロセスそのものは実質的にGoがかかっている状態です。しばらくするとテスト要請(Call for Testing)がかけられるはずなので,ジャック単位のボリューム調整機能が欲しい場合はテストに参加してみると良いかもしれません。

注1
ここではどうでも良いことですが,Intel HDAは安価に高機能な(高性能でも高音質でもない)サウンド機能を提供できる半面,搭載するコーデックとのピン接続の都合で,Linuxでは十分な機能を提供するに至っていません。12/2号のHDA-Jack-Retaskを参照してください。
注2
厳密にはKernel Team全員がクリスマス休暇から戻ってきてからになりそうですが,少なくともパッチやconfigを管理するLeann OgasawaraがGoを出しているので,少なくともCanonical内部の「政治的」な問題はクリアされていて,技術的な問題点が見つからなければこのまま進むと見られます。

マルチモニタサポート

12.04~12.10にかけて実装される予定の,マルチモニタサポートのプロトタイプの動画が公開されています。また,将来的な仕様もあわせて公開されているので,Ubuntuにおけるマルチモニタ環境に興味がある場合は確認してみてください。

Upstart 1.4のテスト

12.04(の開発版)において,Upstart 1.4のテスト要請が行われています。現時点ではメイン開発者のJames HuntのPPA(ppa:jamesodhunt/upstart-job-logging)に1.4が準備されていますが,最終的に12.04のメインリポジトリに投入され,リリース時点ではsetui/setgid/ログ出力機能が利用できるようになるはずです。

CES 2012

1月10日~13日(現地時間)にかけて,ラスベガスでInternational CES(全米家電協会が主催する,世界最大規模の家電・エレクトロニクス・通信その他に関する展示会)が開催されます。

このイベントに,Canonicalが参加します。ポイントは,blog.canonical.comで示されている「On display will be the latest in Desktop, Cloud and demonstrations on Ubuntu One, plus an exclusive Ubuntu concept design which will be announced during the show.」⁠訳:展示物は,最新のデスクトップやクラウド環境,Ubuntu Oneのデモに加えて,展示会中に公開される新しいコンセプトデザインも含まれます)というアナウンスです。あくまで「コンセプト」ではあるものの,Ubuntu TabletやUbuntu TV・Ubuntu Phoneなどの「現時点での」プロトタイプがお目見えすることになります注3)⁠

なお,CESサイトでのCanonicalの出展社登録には以下のカテゴリでの登録もあり(もちろん一般的なコンピューティングカテゴリもあります)⁠家電分野への進出に本気であることが窺えます。

  • Connected Home > Connected Home
  • Connected Home > Home Appliances
  • Connected Home > Integrated Home Systems
  • Other > Other Consumer Electronics
注3
これまで世に出ているモックアップはCanonical公式のものではありません。

Full Circle Magazine #56 + Lite

Full Circle Magazine 56号がリリースされています。

また,今回はLite版も準備されています。Lite版は,タブレットやスマートフォンなどで読みやすいように調整されたものです。現状ではAndroidのGoogle Currents用が準備されています。現状では「ベータテスト中,ご意見募集」というステータスなので,⁠この端末では重かった」などといったフィードバックを募集しています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1316-1:t1libのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-December/001535.html
  • Ubuntu 11.10・11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-0764を修正します。
  • t1libがフォントファイルを取り扱う際,不正な細工の施されたType1フォントを開いた際にメモリ読み込み範囲のエラー・ヒープ破壊が発生する問題です。これによりユーザー権限でのリモートコード実行・DoSが可能です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,セッションを再起動(一度ログアウトして再ログイン)してください。
usn-1254-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-December/001536.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-3647, CVE-2011-3648, CVE-2011-3650を修正します。
  • Thunderbird 3.1.16に相当するアップデータです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Thunderbirdを再起動してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

コメント

コメントの記入