Ubuntu Weekly Topics

2013年3月15日号 13.04のFeature Freeze・Touch向けアプリケーションの進捗・Ubuntu GNOME・LXLE・Upstart Cookbook 1.7・UWN#307

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13.04・Ubuntu Tabletの開発

『オンライン版』UDSはひとまず注1完了し,13.04のFeature Freezeの時間がやってきました。UbuntuにおけるFeature Freezeは,⁠以降,新機能の投入は禁止。ただし,すでに投入されている機能のブラッシュアップは行なってもよい」という,開発からQAよりのフェーズへの切り替えを意味します。このルールの都合で,Feature Freeze直前に大量の新機能(ただし未完成)が投入され,開発版が少々危険な状態になる時期でもあります。

FeatureFreezeの都合上,この時期には各種新機能・デザインなどが一斉に投入されます。特に見た目の上で大きなものは,シャットダウンダイアログFiles(旧Nautilus)のアイコンです。

いずれにせよ,13.04の姿が徐々に見えてくる時期になりました。より本格的なQAフェーズは3月21日のUI Freeze/Final Beta Freezeから開始されますが,まだ13.04をテストしていない場合,そろそろ動き出した方が安全です。多くのソフトウェアと同じく,Ubuntuも「開発期間のあいだに修正依頼を出したほうが,比較にならないほど通りやすい」という傾向を持ちますので,業務等で利用しているのであればただちに評価を行い,自組織にとってあきらかに問題になる点を洗い出し,バグレポートを行う,という作業に着手する方が良いでしょう。

なお,13.04は現状あくまで開発版です。いわゆる本番環境には投入せず,いつ動かなくなっても大丈夫,という状態を維持することをお勧めします。相応の注意が払われているものの,開発途中で致命的なバグのあるパッケージが投入されてしまうことはありえます。

注1
ローリングリリースへの切り替えについては未だに議論が続けられています。なんとなく「ローリングリリースは今は無しね」という結論に落ち着きそうなものの,最終的な着地点が見えてくるにはまだまだかかりそうです。

Ubuntu Touch向けアプリケーション

Ubuntu Touch(Phablet)向けのアプリケーションも順調に開発が進み,電卓等,モックアップだった(たとえば電卓は,電卓に見える画像が表示されるだけだった)ソフトウェアが実際に動作するようになり,少しずつ完成形が見えてきています。現在動作しているアプリケーションはこちら。最後にやや強烈なオチ注2が控えているので,職場等で開くと吹き出して不審者になる恐れがあります。注意してください。

注2
具体的には「Jono Baconの巨大な顔写真を表示するアプリ」というしろものです。

Ubuntu GNOME

12.10では「Ubuntu GNOME Remix」としてリリースされていた,⁠UbuntuのGNOME版」公式なUbuntuのFlavourになることが決まりました。⁠公式なFlavour」とは,KubuntuやXubuntu・Ubuntu Studioなどと同じように,Ubuntu Team/Canonicalの直接的な支援を得られるリリースのことです。実際には各リリースを構成するパッケージはすべてUbuntuのリポジトリに納められているため,CDやDVDの形にパッキングされた形が違うだけで,⁠Ubuntuの仲間たち」とでも言うべきものです(そういった意味では,通常のUbuntuは「UbuntuのUnity版」です)⁠

Ubuntu GNOMEの最初のリリースは13.04世代で,GNOME 3.6を搭載した「なるべくピュアな」GNOME環境となる予定です注3)⁠これにより,⁠Unityが気に入らない」という人も,KDEベースのKubuntu・XFceベースのXubuntu・LXDEベースのLubuntu・GNOMEベースのUbuntu GNOMEといった豊富な選択肢から好みのものを使うことができます。もちろん,このような形でリリースされていないデスクトップ環境を使うこともできますし,そもそもUbuntu以外を使う自由もあります。

注3
Ubuntuのリポジトリに含まれるGNOME関連パッケージは,部分的に古いバージョンのGNOMEや,ものによっては独自のパッチが適用されていることもあります。こうした意味では「完全にピュアな」GNOME環境ではありません(が,ほとんどの人にとっては気にならないでしょう)⁠

Lubuntu Extra Life Extension

Ubuntu GNOME Remix/Ubuntu GNOMEに加えて,もうひとつLXLEという新しいディストリビューションが生まれています。

LXLEはLubuntuからの派生で,⁠LTS的な長期間サポートを提供するLubuntu」というブランチです。今のところは開発者による個人的なチャレンジであるため継続性その他には少々不安が残りますが,純粋なLubuntuに比べ,⁠古いハードウェアを動かすために使う」ということに特化し,さらに多くの変更も加えられており,徹底的に「軽量なデスクトップ環境」に寄せた調整となっています。Lubuntuでは「軽量さ」を重視して収録されていないLibreOffice等も採用されており,うまくプロジェクトが回るようになれば,WindowsXP環境からの乗り換えなどに適した選択肢になるでしょう。

Upstart Coobook 1.7版

Upstartを「深く」使いこなすためのオンラインマニュアル,Upstart CoobookのUpstart 1.7対応版がリリースされています。変更点はこちら

UWN#307

Ubuntu Weekly Newsletter #307がリリースされています。

その他のニュース

  • Amazon Web Services環境を利用するための各種コマンドのUbuntuにおける整備状況
  • githubから最新の構成情報を取得しつつ,ホストそのものを設定するスクリプトの
  • Dell PowerEdgeのサポートOSとして,Ubuntu追加されました。実際のところはこれまでと極端に大きな差があるわけではありませんが注4)⁠第11/12世代PowerEdge(*10と*20系。たとえばR410やR620等)と,PowerEdge CシリーズでUbuntuを活用できるようになります。ただし,日本国内での展開についてはまだ限定的です。
注4
これまでもCanonicalでのPowerEdgeの動作確認は行われており,さらにPowerEdge側の各種ファームウェアアップデートに「UEFIブートでUbuntuが正常に起動しなかったので修正しました」と読めるものが混じっている等,十分にサポートが行われていました。今回の調整の最大のポイントはFAQにある「Dell will provide all the necessary hardware support based on standard support SLA agreements for customers running Ubuntu Server on Dell」という部分で,⁠未サポートOSなのでハードウェアまわりの問題についてもチェックしません」といった門前払いがなくなる,ということです。

今週のセキュリティアップデート

usn-1756-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002030.html
  • Ubuntu 11.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0216, CVE-2013-0217, CVE-2013-0228, CVE-2013-0268 CVE-2013-0311, CVE-2013-0349, CVE-2013-1773を修正します。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1755-2:OpenJDK 7のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002031.html
  • Ubuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0809, CVE-2013-1493を修正します。
  • JDK7u15相当のアップデートです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Java上で動作しているアプリケーションを再起動してください。
usn-1757-1:Djangoのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002032.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-4520, CVE-2013-0305, CVE-2013-0306, CVE-2013-1664, CVE-2013-1665を修正します。
  • usn-1632-1で行われた修正の不十分な点の補強・管理者向けインターフェースからヒストリー表示を行う際に適切な権限チェックが行われていない問題・フォームを大量に表示させることによるメモリの課題消費・XMLのデシリアライズ時にentity-expansion攻撃とexternal-entity/DTD攻撃を許す問題を解決します。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1758-1:Firefoxのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002033.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0787を修正します。
  • Firefox 19.0.2に相当するアップデートです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Firefoxを再起動してください。
usn-1759-1:Puppetのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002034.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-1640, CVE-2013-1652, CVE-2013-1653, CVE-2013-1654, CVE-2013-1655, CVE-2013-2275を修正します。
  • Puppetに含まれる,任意のコードの実行を含む各種問題を解決します。

  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1760-1:Linux kernel (Oneiric backport)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002035.html
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0216, CVE-2013-0217, CVE-2013-0228, CVE-2013-0268 CVE-2013-0311, CVE-2013-0349, CVE-2013-1773を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1758-2:Thunderbirdのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-March/002036.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0787を修正します。
  • Thunderbird 17.0.4に相当するアップデートです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Thunderbirdを再起動してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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