Ubuntu Weekly Topics

2013年6月28日号 13.10のAlpha 1・Ubuntu Weekly Update Videocast・xserver 1.14のテスト・UbuntuTouchのデザインガイド・UWN#322

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13.10のAlpha 1

13.10が最初のマイルストーンであるAlpha 1にたどり着きました。今回のAlphaリリースは13.04同様,⁠AlphaやBetaとしてはリリースせず,Daily BuildのISOイメージを用いるのが原則」⁠ただし,Kubuntuなどの各種フレーバーリリースではリリースエンジニアリング上必要であれば個別にリリースを行なってもよい)⁠というモデルになっており,13.10 Alpha1はISOイメージとしては存在しません。

現状ではまだDebianからのimport freeze(≒universeリポジトリのfreeze)にも達しておらず開発の初期段階にあります。完成品質のQAにはまだ不適なので,⁠特大のバグがないか」⁠自分たちの開発しているアプリケーションが動作する上で壊滅的な問題がないか」といったテストを行う段階です。現実的なテストはAlpha 2兼import freezeのタイミングである7月25日から,Beta 1の8月29日までのあいだに行うのが妥当です。

また,Ubuntuの開発プロセスでは,作業上の事情により,このタイミングではまだ大きな機能追加は行われておらず,⁠13.04に若干の変更が加わったもの」といったレベルです。これは,開発スタートから一ヶ月程度しか経っていないため,ほとんどの新機能が間に合わないためです。変更点は多くないとはいえ,主要ライブラリの差し替えや各種バージョンアップの影響もあり,安定性はあまり高くありません。ある程度Ubuntuに慣れていれば「人柱」的に日常業務に用いることも可能ですが,現状ではあくまでテストに留め,専用のテスト環境を準備することをお勧めします。

Ubuntu Weekly Update

Ubuntuの開発上の中間報告が,オンラインのVideocastで閲覧できるようになりました。⁠Ubuntu Weekly Update」と名付けられたVideocastが,ubuntuonair.comで提供されるようになります。

Weekly Updateは,基本的には各分野のManager/Lead級の関係者がオンラインで報告を行う様子のVideocastというものです。報告内容はおおむね「会社における業務報告」とでも言うべきもので,⁠その週に行われたこと」が列挙されていく,という進行となっています。ただし,このVideoには「話し合いが終わった後,視聴者から出てきた質問に回答する」というフローが挟まれているため,疑問に思ったことや掘り下げてほしい点について質問することができるのがポイントです。

Ubuntu Weekly Updateは,UTCで水曜日の18:00(日本時間では27:00なので木曜日の03:00)に行われます。Ubuntuの開発における最新事情を把握したい場合,各種メーリングリストに流れるミーティングログとあわせて,このVideocastを確認すると良いでしょう。

xserver 1.14のテスト

Saucy(13.10)で利用される予定のxserver 1.14のテストが開始されています。通常のテストに比べてUnityとXの2つのPPAを明示的に有効にする必要がある(いずれか片方だけ更新するとトラブルが発生する)ことに注意してください。テスト用リポジトリにはNVIDIAやAMDのプロプライエタリドライバや各種仮想環境の専用ドライバも含まれており,ARM環境も,UbuntuがもともとサポートしているものであればPandaboard系列のもの(=PowerVR SGX)を除いて動作します。しかしながら,あくまでテスト用なので,おかしな問題や安定性の問題が生じる可能性があります。Xまわりは正常起動に直結するため,完全なテスト環境を準備する必要があるでしょう注1)⁠

注1
さらに,現状でxserver 1.14のデバッグを試みる場合は,仮想化環境ではなくできるだけ実ハードウェアを準備したほうが安全です。仮想化環境で専用ドライバを利用している場合,Xにまつわるバグは根が深くなることが多く,デバッグの初期段階に用いると現象が把握できなくなり,バグレポートを出すだけで一苦労という事態が起こります。

Ubuntu Touchのデザインガイド

未来のUbuntuアプリケーションのコアになるであろうUbuntu SDKベースのソフトウェアの,Ubuntu Phone上でのデザインガイドが更新されています。また,カレンダーアプリケーションの動作を規定したPDFもリリースされています。いずれも「あくまでデザインガイド」というレベルではありますが,これを確認することで,Ubuntu Phone上で利用できるソフトウェアの操作感を把握することができます。

OSC Kansai@Kyoto 2013

Ubuntu Japanese Teamは,再来月頭の8月2日(金)⁠3日(土)に京都リサーチパークで開催される,オープンソースカンファレンス2013 Kansai@Kyotoに参加します。3日(土)には恒例のセミナーも予定しています。セミナーは,⁠Ubuntu Touchひみつ大図解」というものです。各種Ubuntuが動作するデバイスや,Topics・Recipeの執筆陣も参加予定です。皆様の参加をお待ちしています。

なお,セミナーに参加される方は事前の参加登録をお願いします。

日時2013年8月2日(金) 11:00-17:00・3日(土) 10:00-17:00(展示は16:00まで)
入場無料
会場京都リサーチパーク(KRP)
主催オープンソースカンファレンス実行委員会
内容オープンソース関連の最新情報提供(展示・セミナー)
twitterハッシュタグ#osckansai

UWN#322

Ubuntu Weekly Newsletter #322がリリースされています。

その他のニュース

  • Ubuntu環境を用いてGentooをインストールする方法注2)⁠
  • MirのX互換コンポーネント,XMirの動作状況についてのまとめ。13.10世代ではMirはまだexperimental扱いなので影響はありませんが,Mirが主力になるリリース(14.04 LTSなのか14.10かはまだ未定)ではUnity以外のデスクトップ環境はXMir上で動作することになる注3ため,将来的には非常に重要な問題になります。なお,この種の問題を含めた議論がubuntu-develで行われており,いまだに収束しきっていません。
  • Jujuを用いて,物理サーバーと仮想マシンを併用する方法。MAASとJujuを用いてOpenStack環境を構築します。
  • HPのProliant Microserver上にインストールしたUbuntuとJujuを用いて,Tiny Tiny RSSをLXCベースの仮想マシンで動作させる方法。Google Readerからの移行先として「自分でRSSリーダー環境をメンテナンスする」という選択肢に至った場合,LXCとJujuを組み合わせることで,あとは数コマンドでRSSリーダー環境をセットアップすることができます。
  • Psychocats Ubuntu TutorialsCCライセンスで公開されるようになりました。英語ではありますが,非常に良質なUbuntuの入門ドキュメントです。ライセンスはCC-BY-SA 3.0 Unportedです。
注2
既存のUbuntu環境と共存させるのではなく,純粋にGentooが入るので注意してください。
注3
より厳密には,⁠Mirにネイティブ対応していないデスクトップ環境を使う場合には」と表現するのが正しいのですが,現時点ではこの条件を満たすのはUnity-Next(Unity 8)のみです。

今週のセキュリティアップデート

usn-1888-1:Mesaのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-June/002172.html
  • Ubuntu 13.04・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-1872, CVE-2013-1993を修正します。
  • 悪意ある入力が行われた場合,Mesaにメモリ破壊を伴うクラッシュが生じる可能性がありました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
usn-1889-1:HAProxyのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-June/002173.html
  • Ubuntu 13.04・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-2175を修正します。
  • HAProxyのHTTPヘッダの解釈方法に問題があり,悪意ある加工を施したクエリを送出することでDOSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題が解決できます。
usn-1890-1:Firefoxのセキュリティアップデート
usn-1891-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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