Ubuntu Weekly Topics

2015年8月28日号 wilyのBeta1に向けたFreeze・「メインフレーム向け」Ubuntu・“snapcraft”・UWN#431

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wilyのBeta1

15.10(wily)Feature FreezeとDebian Import Freefzeが行われ,Beta1に向けたFreezeが行われています。

建前としてはここからは新規の機能追加は行われず,クオリティの向上を目指した作業が開始されることになります。しかし,juju-coreのように現時点でexception申請(フリーズを無視するための手続き)をかけている要素や,⁠すでに投入した新機能のブラッシュアップ」という名目での仕様変更や機能追加が行われるのが通例となっており,現状ではまだ「残るはQAだけ」と言える段階にはありません注1)⁠

注1
Ubuntuでは開発終盤になってから,おもむろに新機能を投入してしまう無謀な取り組みが行われることもあります。そのため,リリースの2~3週前までは油断はできません。

「メインフレーム向け」Ubuntu

ついにUbuntuがメインフレームでも動作する時代がやってきました。IBMとCanonicalのプレスリリースにおいて,IBMのz System上で動作するUbuntuを開発していることがアナウンスされています注2)⁠

IBM z Systemは古くから続くSystem/360系のメインフレームで,Linuxとの関係も非常に深く注3)⁠これまでもRHELやSLESを動作させることが可能でした。Ubuntuはこれらに続く第三の選択肢として追加され,特にOpenStackやLXDといった,仮想化・コンテナ分野で効果を発揮することになるでしょう。気になるリリース時期は2016年4月であることが示唆されており,⁠おそらく』⁠16.04 LTSが「メインフレームをサポートする最初のUbuntu」となるでしょう。

このz System向けだけでなく,Snappy向けのリリースなどがうまく結実すると「自宅の冷蔵庫やネットワークスイッチに,IoT的なスマートデバイス各種に手持ちのスマートフォンもPCもタブレットもUbuntu,そして職場のメインフレームもUbuntu」注4というUbuntuに囲まれた世界が広がる可能性があります。

注2
z Systemには「zBX」⁠z BladeCenter Extension)と呼ばれる,オプションで追加できるx86またはPowerベースのブレードサーバーも存在します。要するにこちらは「メインフレーム級の耐障害性を備えたx86サーバー」なので,これで動くという話だと少々肩すかしになってしまいます。しかし,Canonicalのリリースには「Canonical and IBM announced plans to create an Ubuntu distribution for LinuxONE and z Systems.」⁠CanonicalとIBMは,UbuntuディストリビューションをLinuxONEとz System向けに開発していることをお知らせします)とあり,zBX向けだけでなく,ピュアなz System上でも動作しそうに読み取れます。z SystemとzBXの関係については,IBMのLinux ONEに関するプレスリリースも参照してください。
注3
Linuxカーネルにはかなり昔からSystem/360アーキテクチャをサポートするコードが含められており,それなり以上に活発な開発が続けられています。IBMのLinuxカーネルへのコミット数を稼ぐ源泉と言われることもあります。
注4
「自宅のメインフレームも」という妄言を放ちそうになりましたが,メインフレームを自宅に置くのはちょっと不可能だと思われます。というかメインフレームが置いてある場所はすでに「自宅」ではなく秘密基地とか研究所に分類され,警察や自衛隊や公安調査庁や国外の各種機関の皆様から物凄い注目を浴びてしまうことになるでしょう。

“snapcraft”

wilyに,Snappy Ubuntu向けの強力なツールが追加されました。⁠snappycraft⁠と名付けられたこのツールを使うことで,自分で書いたプログラムを簡単にSnapパッケージに変換し,Snappy上で利用できるようになります。

手順は非常に簡単で,1) アプリケーションを作成する → 2) そのアプリケーションをsnappy化するためのsnapcraft.yaml(非常に簡単な構造のYAMLファイル)を書く → 3) snapcraftを実行する → 4) snapパッケージができるのでインストールする,というものです。これを用いることで,Snappy Ubuntu Coreをインストールした各種環境では,⁠Androidアプリのような簡単さで」パッケージをインストールできるようになるでしょう。

ただし,プロジェクトページの最初の行に「NOTE: Snapcraft is currently a highly experimental project. Treat with care when considering building an empire on this :)」と書いてある程度には実験的なプロダクトであり,まだ実用的に利用するのは厳しいものがあります。ただし,猛烈な勢いでバグが登録されて修正されている状態であり,かなり力のあるプロジェクトであるとは言えます。今後に期待しましょう。

UWN#431

Ubuntu Weekly Newsletter #431がリリースされています。

その他のニュース

  • Linux上で(もちろんUbuntu上でも)Unity 3D Games Editor(ゲームエンジンのUnityの統合開発環境)が動作するようになりました。Linux上で開発し,Linuxで走るUnity 3Dゲームを作ることができますし,WindowsやAndroid等への展開も可能です。
  • Ubuntu/Ubuntu Touch用に開発が進められている,Thumbnailer(サムネイル生成APIとそのフロントエンド)の開発について。C++を用い,高速かつstop safeな高速サムネイル生成エンジンの設計の解説です。
  • UbuntuのeCryptfsについて,インストール時に利用される鍵ファイルに事前計算によるブルートフォース攻撃が可能であることを示した話。
  • LandscapeとGitlabを同じサーバーに同居させようとして激しくハマった話。最終的にいろいろな設定変更を行って回避しています。Gitlabを動作させている場合の回避策として把握しておくと良さそうです。
  • China MobileとCanonicalが共同で行ったコンテストの結果

今週のセキュリティアップデート

usn-2721-1:Subversionのセキュリティアップデート
usn-2702-3:Firefox regression
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003092.html
  • Ubuntu 15.04・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • usn-2702-1を適用した際,言語設定がUSの場合に誤って検索エンジンがYahooに変更されてしまうことがありました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Firefoxを再起動してください。
usn-2712-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003093.html
  • Ubuntu 15.04・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-4473, CVE-2015-4487, CVE-2015-4488, CVE-2015-4489, CVE-2015-4491を修正します。
  • Thunderbird 38.2.0のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Thunderbirdを再起動してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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