Ubuntu Weekly Topics

2015年9月4日号 “Mycroft”・Ubuntu Make 15.09・UWN#432

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“Mycroft”

SiriやCortana,Google Nowのような「人工知能による音声応答システム」がFLOSSの世界にもやってくるかもしれません。

Kickstarterでクラウドファンディングが開始されているMycroftプロジェクトは,⁠オープンソースな実装を組み合わせることで,SiriやCortanaのような応答システムを作成し,単体ハードウェアとしてリリースする」という非常に野心的なプロジェクトです。

Mycroftは「少しだけ風変わりな目覚まし時計」のような,マイクとスピーカーのついだデバイスで注1)⁠話しかけることでさまざまな機能を呼び出すことができます。この種のデバイスやサービスの中では最後発ということもあり,HDMIでモニタに接続できる・外部IOが付随している・Chromecastに動画を飛ばすことも可能と,非常に豊富な機能が予定されています。これらはすべてオープンソースソフトウェアによって実現されるため,これらのソフトウェアの改善も期待できます。

これだけであればUbuntuとはあまり関係はないのですが,Kickstarterのページを見ると分かるように,MycroftのOSコアはSnappy Ubuntu Coreであることが宣言されています。

Snappyを使うということは,このデバイスで動作するソフトウェアもsnapパッケージで提供されることがほとんど確定しているはずで注2)⁠そのままパッケージを他の環境に移すことで,いろいろな環境でMycroftサービスを利用することができるかもしれません。

なお,Mycroftのハードウェア的な構造は「マイクとスピーカーとLEDを備え,ケースに組み込まれたRPi2」で,ここで動作するたいていの機能は手元のRPi2でも動作するはずです。出資者向けの特典の中にはRPi2向けのソフトウェアスタックの提供も宣言されています。

注1
少し古い例えとしては,⁠ナイトライダーのK.I.T.Tを白く塗った感じ」で,異様におしゃべりだったり車の運転ができないことと,意味もなく左右に移動するLEDの明滅がないこと以外,おおむね同じようなことが実現できるはずです。
注2
ハードウェアに近い部分で動作するソフトウェアをsnapパッケージ化すると問題が起きることもあるため,ところどころsnapパッケージではなく,生の状態で動作することになるかもしれません。

Ubuntu Make 15.09

Ubuntu Makeの新バージョン,15.09がリリースされています。Experimental扱いでUnity 3Dのサポートが追加される他,各種バグフィックスが加えられたバージョンです。完全なリリースノートはこちら

このバージョンを使うことで,⁠Unityの上でUnity 3Dを動かす」⁠Ubuntuのデスクトップ環境であるUnityの上で,Unity 3Dでゲームを作る)という,少しばかり説明しにくい環境を簡単に構成できるようになります。

UWN#432

Ubuntu Weekly Newsletter #432がリリースされています。

その他のニュース

  • Ubuntuの開発や活動に参加したい場合のスタートポイントとなるFind-a-Taskの利用方法について。
  • Ubuntu独自のカーネルはどこからcloneすればいいの?

    というFAQ的な質問とその回答

  • Ubuntu SDKの新バージョンの構成について
  • 微妙にくすぶり続けている,⁠Canonicalの知的財産権ポリシーは果たして妥当なのか?」という議論に関するJono Baconの反応
  • Chrome/Chromium上でAndroidアプリケーションを動作させるARChonをUbuntu上で利用する手順。
  • Ubuntuで画面を簡単に録画する方法。
  • Snappy Ubuntu CoreがBanana Pi(BPI-M2)でも動作するようになりました。
  • Canonicalによる,⁠Windows 10はUbuntuへの移行が起きる最後の機会だろうか?という記事。いわく,⁠すでにメインストリームの(それなりに新しい)PCを持っているユーザーにとってはWindows 10は良い選択肢だが,Ubuntuはそれ以外の人々も取り込むことができる」⁠
  • Ubuntu Phone TeamのリーダーがCanonicalを退職したことに関する話題
  • Intelが提供するSuspendResumeツール(その名の通り,サスペンドやレジューム処理の「どこで時間がかかっているか」を計測し,グラフィカルに表示するツール)利用方法の簡単な解説。ポイントは,これを紹介しているColin Ian KingはCanonical/UbuntuのKernel teamの主要な開発者の一人であることです。SuspendResumeの成果を使い,⁠起動時間だけでなくレジュームやサスペンドも高速なUbuntu」がもうすぐやってくるかもしれません。
  • Ubuntu Phoneの新バージョン,OTA-6を動作させている動画。Meizu MX4にはすでにOTA配信されているので,適切な通信手段を備えた環境であれば順次アップデートされているはずです。修正点はLPのバグ一覧を参照してください。

今週のセキュリティアップデート

usn-2722-1:GDK-PixBufのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003094.html
  • Ubuntu 15.04・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-4491を修正します。
  • 悪意ある加工の施されたビットマップファイルを処理する際に,メモリ破壊を伴うクラッシュが発生することがありました。任意のコードの実行が可能なおそれがあります。
  • 対処方法:アップデータを適用の上で,セッションを再起動(一度ログアウトして再ログイン)してください。
usn-2724-1:QEMUのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003095.html
  • Ubuntu 15.04・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-9718, CVE-2015-5165, CVE-2015-5166, CVE-2015-5225, CVE-2015-5745を修正します。
  • 悪意あるゲストOSからホストOSを侵害できる複数の脆弱性を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,QEMU仮想マシンを再起動してください。
usn-2725-1:cups-filtersのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003096.html
  • Ubuntu 15.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-6520を修正します。
  • ippusbxdデーモンが,意図に反してすべてのネットワークインターフェースで待ち受けてしまうことがありました。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題が解決できます。
usn-2723-1:Firefoxのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003097.html
  • Ubuntu 15.04・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-4497, CVE-2015-4498を修正します。
  • Firefox 40.0.3のUbuntuパッケージ版です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Firefoxを再起動してください。
usn-2726-1:Expatのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-August/003098.html
  • Ubuntu 15.04・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-1283を修正します。
  • 悪意ある加工の施されたXMLファイルを処理した際に,メモリ破壊を伴うクラッシュが発生することがありました。任意のコードの実行が可能です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Expatをリンクしているすべてのソフトウェアを再起動してください。
usn-2727-1:GnuTLSのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-September/003099.html
  • Ubuntu 15.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-3308, CVE-2015-6251を修正します。
  • GnuTLSのCRLの取り扱いに問題があり,偽のCRL配布元を準備することでメモリ破壊を発生させ,サービスの停止や任意のコードの実行が可能でした。また,証明書に含まれるDNが異常に長い場合に,メモリ破壊を伴うクラッシュが発生することがありました。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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