『本当にやさしく学びたい人の! 絵解き ネットワーク超入門』著者 増田若奈さんインタビュー

「こんなにわかりやすくていいの?」と驚くほどわかりやすい、ネットワークの入門本『本当にやさしく学びたい人の! 絵解き ネットワーク超入門』が刊行されました! これを記念して、著者である増田若奈さんへのインタビューを決行。⁠ネットワークの勉強って難しい…」と思っている皆さんに、⁠そんなことはないですよ」と後押ししてくれる本書の裏側に迫ります!

ネットワークを学ぶとは?

技評:今回の書籍は、実に7年越しという労作になりました! なぜ、こんなに時間がかかってしまったんでしょう?

増田:

イラスト1

技評:おかげさまで、ネットワークをこれから学ぼうとする人にとって、とてもわかりやすい内容になったと思います。増田さんがネットワークについて解説されるときに心がけていることは何ですか?

増田:今すぐ役立つノウハウよりも、そのノウハウを理解するための基礎知識をきちんと解説することです。ネットワークの世界は日々進化しているので、ノウハウや設定方法を覚えても、すぐに古くなっちゃうんですよね。そうなると、また覚え直さないといけないんですが、基礎知識をしっかり身につけていれば、新しい情報を覚えるのも楽になるんです。


技評:増田さんがネットワークの勉強を始めたのは、いつ頃、何がきっかけだったんですか?

増田:はじめてインターネットを利用したのは、1994年でした。就職した編集プロダクションで、インターネット関連の雑誌やムックの執筆・編集を担当することになったんです。それで、ネットワークの勉強も始めることになりました。その当時は会社のPCをアナログモデムでインターネットに接続していたんですが、ネットワークはもちろん、PCも初心者でした。編集プロダクションにはシステム開発部門があったので、そちらのプログラマーさんやSEさんたちにネットワークとコンピューターの基本を教わりました。


技評:ネットワークを勉強し始めの頃に思ったこと、苦労されたことは覚えていますか?

増田:編集プロダクションで、先輩プログラマーさんにわからないことを聞くのですが、それがなかなか難しくて。⁠こうしたいと思って、この本のここを読んでこうしてみたけれどうまくいかない」といった形で、聞く側がきちんとプレゼンしないと教えてくれなかったのがいい思い出です。日本語の資料が少なくて苦労しましたが、人に直接教えてもらえるという意味で、環境には恵まれていたと思います。

イラスト2

ネットワークを効率よく学ぶために

技評:ネットワークというのは、目に見えない部分が多く、学習が難しいと思います。学習する上で、⁠ここから考えるとよいよ」⁠このように考えるとよいよ」といったアドバイスはありますか?

増田:自分と相手の間を、データが行ったり来たりしていることをイメージしてみるといいと思います。自分は、自分のスマホだとします。じゃあ相手は誰? その相手はどこから探してきたの? 相手を見つけたら何をすればいいの? データを送る? 自分から? ってことはスマホから送ってる? という風に考えていくのが、ネットワークの基本の学習です。


技評:今回は、文章よりもイラストの方が多いんじゃないか? というくらい、図が多いです。ネットワークは視覚的に学ぶ方が効率よく学べるものでしょうか?

増田:字ばかりだと飽きるから……。 それはともかく、自分と相手とのつながり=ネットワークなので、絵で考えるとよりわかりやすいと思います。


技評:今回の本では、最初にネットワークを「つなげる技術」「活用する技術」に分けています。これはとてもわかりやすいですね。

増田:ネットワークと聞くと、サイトの作り方とか、SNSの活用法とか、なんとか2.0でソリューションなイメージが先行しちゃうんですよね。そのつもりで始めたのに、いきなりネットワークインターフェイス層とか言われてもわかんなくなっちゃうから、いったん落ち着こうね、ということで最初に分けました。

カエルとネコと演劇と……

技評:ネットワークの基本的な技術には変化が少ないとはいえ、7年前からすると、様々な変化がありました。原稿も書き直しが必要な個所がいくつかありましたが、時代の変化に感慨深いものはありますか?

増田:7年前にもiPhoneはありましたが、ここまでスマホが普及して、PCを使わなくなるとは思っていませんでしたね。あとは、当時からだいぶ下火だったとは言え、ADSLの説明がもういらなくなったことですかね。その代わり、無線LAN(Wi-Fi)のボリュームが増えました。それから、企画当時ユーチューバーはいなかったです。


技評:時折、カエルやネコのキャラクターが出てきます。彼らが出てくるととても癒されるのですが、増田さんがもともと描かれていたキャラクターなのですか?

増田:こいつらです。

photo1 photo2

技評:完成した書籍を見たときの、増田さんの感想を教えてください!

増田:まさかこの絵が書籍になるとは! というのが正直な感想です。この絵はもともと、ちゃんとしたイラストレーターさんに描いてもらうためのラフ、絵コンテとして描いていたものです。それがそのまま載っちゃうなんて……。


技評:増田さんは演劇もされているそうですが、ネットワークとはまったく関係がないですね。面白いキャリアをお持ちだと思うのですが、なぜ演劇だったのでしょうか?

増田:ネットワークよりも、演劇の方が先なんです。大学生の時に始めて、もう30年です。始めたきっかけは、なんとなく友人に誘われたから。大きな劇場で有名人と一緒に芝居して有名人になりたい、的なビッグになりたい欲はあまりなくて、小さい劇場で面白いことができるといいなあと、楽しく細々とやっております。最近は演劇が身近になり、気軽に見に来てもらえるようになって、本当にいい時代になりました。

先輩からのアドバイス

技評:これからネットワークの勉強を始めるという人に、アドバイスをお願いします!

増田:ネットワークを使う側にいる時は、スマホやPCの画面を通してネットワークを見ていたと思います。ネットワークの勉強を始める時は、ネットワークを提供する側の視点で見てみてましょう。ちょっと上から、ネットワークを使っている人たち、ネットワークに参加している機械を俯瞰するイメージです。鳥の視点? 神様の視点かもしれません。ネットワーク全体を取り仕切っている、謎の偉い人になった気分でやってみましょう。


技評:最後もうひとつ、ネットワークの勉強に挫折しそうだという人にもアドバイスをお願いします!

増田:資格取得が目的の場合は別として、細かいことは実際に使う時に調べればいいので、まるごと全部の技術を覚えなくてもいいです。むしろ、使うことになった時に、マメに調べる方がいいです。用語も暗記しなくてかまいません。ざっくり流れを理解して、あとは必要な時に。それで充分です。


技評:本日は貴重なお話、ありがとうございました!

おすすめ記事

記事・ニュース一覧