VirtualBoxでマシンの中身を「テレポート」させてみよう

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【4】仮想マシンの作成

VirtualBoxでテレポートを行う場合には,移行元のPCと移行先のPCの両方に,同じ構成の仮想マシンを作る必要があります。⁠同じ構成」というのは,仮想CPU数やメモリ容量,仮想ディスクやネットワークアダプタ設定など,すべての仮想マシン設定を指しています。異なる構成の部分があると,テレポートできない場合や,できても動作に支障をきたす場合があるので注意してください。

仮想ディスクは【3】で作成・登録したものを使います。

【5】テレポートの実行

現段階では,テレポート機能はGUIで実行できないため,コマンドラインを操作します。コマンドラインによる操作は,送信側・受信側のそれぞれで必要となります。実行の流れは以下の通りです。

① [受信側]テレポートの受信待機指示
> cd “C:\Program Files\Sun\VirtualBox”
> VBoxManage modifyvm VM名 --teleporter on --teleporterport ポート番号
色付きパラメータは省略可能

上記のコマンドは,テレポート受信側となるWindowsホストでのコマンド実行例です。VirtualBoxの関連コマンドは,プログラムのインストール先フォルダに格納されているため,cdコマンドで移動してからVBoxManageコマンドを使用しています。

VM名はテレポートに使用する仮想マシンの名前,ポート番号は受信用ポートの指定です。--teleporterportオプションは省略可能ですが,あらかじめファイアウォールの特定のポートを開放し,このオプションで毎回同じポートを指定してテレポートを使うと,ファイアウォールの管理が楽です。

② 【受信側】受信用VMの起動。
> VBoxManage startvm VM名

テレポートを行うには,受信用のVMをあらかじめ起動する必要があります。上記は仮想マシンを起動するコマンドですが,この操作はGUIで行ってもかまいません。①で受信待ち受けを指示した仮想マシンを起動すると,下図のように受信待機状態で仮想マシンが起動します。

図4 受信待機状態の仮想マシン

図4 受信待機状態の仮想マシン

③ [送信側]テレポートの実行
> cd “C:\Program Files\Sun\VirtualBox”
> VBoxManage controlvm VM名 teleport --host 送信先IPアドレス --portポート番号

上記のコマンドは,テレポートの送信側で実行します。VM名は送信する仮想マシンの名前,送信先IPアドレスは受信側ホストOSのIPアドレス,ポート番号は①で指定したポート番号を指定してください。

テレポートを実行すると,メモリデータの転送進捗状況が送信側・受信側の双方に表示されます。テレポートが完了すると,送信側は仮想マシンのウィンドウが閉じられ,受信側ホストで仮想マシンのウィンドウが開かれます。テレポートにかかる時間はネットワーク速度,メモリサイズ,メモリの使用状況に依存します。私の試した環境ではおおむね数秒から十数秒でテレポートが完了しました。

私の環境で異なるホストOS間(Windows 7,Mac OS X)や異なるCPUベンダ間(Intel,AMD)でのテレポートを試したところ,Youtubeの動画を読み込み・再生させながらテレポートさせた場合も成功しました。組み合わせによってはテレポート後に音が出なくなる場合もありましたが,リリース直後の機能としてはそれなりに使える状態になっているようです。

まとめ

PC仮想化は1台のPC上で開発環境やテスト環境を動かすといった使い方が多く,テレポートのような可用性を向上させる機能は搭載されてきませんでした。現に,競合製品のVMware WorkstationやVMware Player,Microsoft Virtual PCには同様の機能は搭載されていません。

その一方,VirtualBoxはリモートデスクトップ機能(VRDP⁠⁠,Webベースの管理コンソール(vboxweb⁠⁠,他の仮想化ソフトウェアの仮想ハードディスク(VMwareのVMDKやHyper-VのVHD)に対応するなど,サーバ仮想化ソフトに引けを取らない機能を搭載しつつあり,着実に発展しています。

VirtualBoxは高機能でありながら,個人利用や評価目的であれば無償で使用でき,ユーザーインターフェースも比較的シンプルで分かりやすい製品です。これから仮想化を始めてみたい人や,現在別のPC仮想化ソフトを使っている人もVirtualBoxを試してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

島崎聡史(しまざきさとし)

株式会社富士通ラーニングメディアに所属。ITインフラ系講師としてコース企画,教材執筆,講習会実施などに携わっている。担当分野はサーバ仮想化,ストレージ,UNIX/Linuxサーバ。自宅にサーバ数台とFC-SANを導入し,サーバ仮想化環境の検証作業を楽しむ一方で,牧場の動物たちをこよなく愛し,カメラを手に牧場めぐりの日々を送っている。

著書:『仮想化技術徹底活用』

Twitter:http://twitter.com/smzksts

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