at+linkの魅力を探る

第4回90分で専用サーバを用意するアプリプラットフォームの舞台裏

at+linkアプリプラットフォームでは、依頼から90分以内に追加の専用サーバが起ち上がるといいます。その舞台裏はどのようになっているのでしょうか。第4回では、at+linkのホスティングサービスを縁の下で支える、ネットフォースを取材しました。

オリジナルサーバの利用で、トラブル時も迅速に対応

at+linkはエーティーワークスとリンクが共同で提供してきたサービス。ネットフォースは、サービス規模が拡大してきた2002年に両社によって設立されたとのことです。具体的な業務内容を、ネットフォースの取締役社長である穴吹俊英氏に伺いました。

ネットフォース 取締役社長 穴吹俊英氏
ネットフォース 取締役社長 穴吹俊英氏

「at+linkにおけるネットフォースの役割は、オンサイトの保守部隊ということです。サーバの物理的な故障からネットワークのトラブル、メンテナンスといったことを担当しています。新規の申し込みがあった場合のサーバのキッティングやOSのインストール、ラックへの設置作業、そしてユーザごとに用意するネットワークの設定といったことも我々の担当です。もちろんサーバの監視は、24時間365日体制で行っています(穴吹氏⁠⁠」

同社の取締役副社長である茨木俊弥氏はエーティーワークスが設計したオリジナルのサーバを利用していることが強みになっていると言います。

「at+linkのサービスは迅速な障害対応を特長の1つにしています。これを実現できているおもな理由として、我々ネットフォースが常駐していることのほか、保守担当がサーバを熟知していることが挙げられます。また、エーティーワークスのオリジナルサーバを利用しているため、サーバ内で使われているパーツについてはすべて保守部品として在庫を持っています。そのため、パーツが故障したといった場合でも、改めて発注したり手配したりせずその場で対応できます。こうした工夫を積み重ね、迅速な障害対応を実現しているわけです(茨木氏⁠⁠」

ネットフォース 取締役副社長 茨木俊弥氏
ネットフォース 取締役副社長 茨木俊弥氏

また、⁠すぐに使いたい」というニーズに対応するため、ネットフォースでサーバを組み立てるケースもあると言います。

「オリジナルのサーバは基本的にエーティーワークスで組み立てていますが、すぐにサーバを使い始めたいというニーズもあります。そうしたユーザに対応するため、ネットフォース側でマザーボードや電源など、ベースのパーツが組み上がった状態のサーバを確保しており、必要に応じてハードディスクやメモリを追加して提供するといったことも行っています(穴吹氏⁠⁠」

ホスティングサービスにおけるハードウェアトラブル時はメーカの保守担当者を呼ぶだけというケースが少なくありません。ただ、それではメーカの担当者の移動と原因究明、そして代替パーツの手配などで多くの時間を浪費することになり、短時間での復旧はとても望めないでしょう。しかしサーバを熟知したネットフォースが保守運用を担当するat+linkであれば、サーバ内のパーツが故障してもすばやい復旧が可能であり、実際にユーザが気付く前にトラブルを解決するケースも多いと言います。

at+linkのサーバが運用されているデータセンター内での保守運用作業中の風景。トラブルがあれば、迅速にサーバラックに駆け付ける。
at+linkのサーバが運用されているデータセンター内での保守運用作業中の風景。トラブルがあれば、迅速にサーバラックに駆け付ける。

さらにオリジナルサーバを使うメリットとして、場合によっては本体ごと交換できることがあると穴吹氏は話します。

「原因ははっきりしないけれど不安定などといった場面で、思い切ってまったく新しい筐体に換えるといったことができるのは、オリジナルサーバを使っている強みだと思います。他メーカのサーバですと、原因がわからないとなかなか交換という話にはならず、試行錯誤しながら原因を追及するということがありますが、オリジナルサーバだと思い切った手を打てるわけです(穴吹氏⁠⁠」

90分でサーバを追加できる秘密

ソーシャルアプリ運用での利用を想定した新サービスである『at+linkアプリプラットフォーム』の運用についても、ネットフォースが担当しています。

このサービスはat+link専用サーバサービスと同様、物理サーバを使ったサービスであり、仮想サーバを使ったIaaS型のサービスに比べてコストパフォーマンスが高いことが特長です。さらに圧倒的なスピードを誇るFusion-ioの「ioDrive」を利用できるのも大きな魅力でしょう。

このat+linkアプリプラットフォームの特長となっているのが、Webサーバを追加したいといった場合に申し込みから90分以内で対応するというものです。仮想サーバではなく、物理サーバを使ったサービスであることを考えると、驚異的な早さというほかありません。

このサービスをネットフォース側で担当したフィールドサポートグループ 2課 課長の林正人氏にお話を伺うと、90分以内でサーバを追加するという話を最初に聞いたときは、難しいのではないかと考えていたとのこと。

「90分でサーバを追加するのは、やはり物理サーバなので難しいのではないかと思いました。ただ、事前に準備できるものを準備してしまったり、OSの設定などを自動化したりといった工夫を重ねることで、当初の目標どおりにサーバの追加を可能にしました(林氏⁠⁠」

ネットフォース フィールドサポートグループ2課 課長 林正人氏
ネットフォース フィールドサポートグループ2課 課長 林正人氏

具体的には、物理的な作業が必要な部分については事前に準備し、いつでも提供できるようにスタンバイ機を確保しているとのこと。さらにOSやネットワークの設定については、専用の初期設定スクリプトで自動化したと言います。こうしたアイデアの積み重ねが、90分以内でのサーバ追加を可能にしているわけです。

こうしてお話を伺っていて感じたのは、サーバ運用におけるネットフォースのスキルの高さです。たとえばサーバ内のパーツが故障した際に、すばやく原因を切り分けた上で部品を交換するといった作業は、ハードウェアに対する知識やトラブル対応のノウハウなどが求められます。ネットフォースではこうしたスキルをしっかり蓄え、それぞれの担当者間で共有することによって、質の高い運用管理体制を整えているわけです。

ハードウェアのスペックやネットワークの帯域、あるいは利用料など、ホスティングサーバを選ぶ際に何を重視するかは人それぞれでしょう。ただ、サーバは安定して稼働し続けることが重要であることを考えると、運用管理体制が充実しているかどうかは極めて重要なポイントになります。ネットフォースが運用を担当するat+linkの各サービスであれば、そういった意味においても安心して使えるものと言えるでしょう。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧