BSD界隈四方山話

第13回FreeBSD 10.2-BETA2登場

FreeBSD 10.2-BETA2登場

2015年7月17日(協定世界時⁠⁠、FreeBSDの最新安定版リリースへ向けた2つ目のベータ版「FreeBSD 10.2-BETA2」公開されました。次のインストーライメージが提供されており、FTPサーバからダウンロード可能です。

  • amd64 GENERIC
  • i386 GENERIC
  • ia64 GENERIC
  • powerpc GENERIC
  • powerpc64 GENERIC
  • sparc64 GENERIC

また、次のSDカードイメージが提供されています。

  • BEAGLEBONE
  • CUBOX-HUMMINGBOARD
  • GUMSTIX
  • RPI-B
  • PANDABOARD
  • WANDBOARD

SDカードイメージにはssh(1)経由でログインできるようにfreebsdというアカウントが用意されていると説明があります(パスワードもfreebsd⁠⁠。また、root(パスワードもroot)アカウントもあり、ログイン後にはどちらもパスワードを変更することが強く推奨されています。

これ以外にも仮想ディスクイメージが提供されているほか、Amazon EC2 AMIイメージ、Azure / VM Depotイメージ、Vagrantイメージが提供されています。

リリースエンジニアリングチームは2015年8月末のリリースを目指して作業を進めており、今のところ予定通りに作業が進んでいます。このままいけば3つのベータ版と3つの準備リリース版を公開したのち、正式版のリリースということになりそうです。

10.2の変更点

FreeBSD 10.1-RELEASEからの変更点はFreeBSD 10.1-STABLE Release Notesにまとまっています。リリースまでにさらに変更が入ると思いますが、そう大きく変わることはないように思います。主な変更点から特に興味深いもの、知っておいたほうがよさそうなものをピックアップすると次のようになります。

  • デフォルトカーネルにRACCTおよびRCTLの機能を追加
  • VirtIOコンソールデバイスに対応するためのvirtio_console(4)ドライバを追加
  • 仮想化機能bhyveにおけるAMDプロセッササポートの実現(SVMおよびAMD-Vハードウェアエクステンションが必要)
  • Hyper-Vサポート機能の改善
  • termcap(5)データベースを使用するアプリケーションの性能を向上させるためにデフォルトでtermcap(5)ファイルから/etc/termcap.dbを作成するように変更
  • ひとつまたは複数のストリームからdialog(1)スタイルのプログレスビューを生成するためのコマンドdpv(1)を新しくベースへ追加
  • 指定したデバイスでそのファイルシステムが使われているかを判断するfstyp(8)コマンドをベースへ追加
  • netstat(8)コマンドにRSS/flow情報を表示させるための-Rオプションを追加
  • date(1)コマンドにGNU date(1)と互換性向上の目的で-rオプションを追加
  • ユーザランドとカーネルのバージョンが合っていない場合にエラーを報告する処理をperiodic(8)に追加
  • device.hints(5)経由でACPIおよびP4TCCを調整する機能をデフォルトで無効化
  • DRMコードをLinux 3.8.13相当へアップデート

細かい新機能の追加などに加えバグの修正などが実施されており、安定して利用できるバージョンのように見えます。

今のところ、10.1-RELEASEがでてから次のセキュリティアドバイザリとErrata Noticesが適用されています。

  • FreeBSD-SA-14:27.stdio
  • FreeBSD-SA-14:28.file
  • FreeBSD-SA-14:30.unbound
  • FreeBSD-SA-14:31.ntp
  • FreeBSD-SA-15:01.openssl
  • FreeBSD-SA-15:02.kmem
  • FreeBSD-SA-15:03.sctp
  • FreeBSD-SA-15:04.igmp
  • FreeBSD-SA-15:06.openssl
  • FreeBSD-SA-15:07.ntp
  • FreeBSD-SA-15:08.bsdinstall
  • FreeBSD-SA-15:09.ipv6
  • FreeBSD-SA-15:10.openssl
  • FreeBSD-SA-15:12.openssl
  • FreeBSD-EN-14:13.freebsd-update
  • FreeBSD-EN-15:01.vt
  • FreeBSD-EN-15:02.openssl
  • FreeBSD-EN-15:03.freebsd-update
  • FreeBSD-EN-15:04.freebsd-update
  • FreeBSD-EN-15:05.ufs
  • FreeBSD-EN-15:06.file
  • FreeBSD-EN-15:07.zfs
  • FreeBSD-EN-15:08.sendmail
  • FreeBSD-EN-15:09.xlocale
  • FreeBSD-EN-15:10.iconv

リソース制御機能がデフォルトカーネルで有効になったことは大きな特徴ではないかと思います。FreeBSD 10.0-RELEASE以降、freebsd-update(8)を使ったバイナリアップデートが便利に使えるようになりましたので、カーネルをビルドしないでGENERICのまま使いたいという想いは強くなっているでしょう。リソース制御機能が使いたい場合、これまではカーネルを再構築する必要があったわけですが、10.2-RELEASE以降はそれがいらなくなりそうです。

アップグレードまであと1ヵ月半

10.2-RELEASEの登場まであと1ヵ月半といったところに来ました。今のところリリースエンジニアリングを阻害するような大きな要因はないように見えますし、ほぼオンタイムで作業が進むのではないかとみられます。

また、すでに10.1-RELEASEを使っているのであれば、10.2-RELEASEへ移行しない強い理由は特に見つかりません。ドライバやサードパーティ製のソフトウェアはバージョンアップされますし、新機能の追加や改善も取り込まれています。9月を目処にFreeBSD 10.2-RELEASEへのアップデート作業を計画しておくのは悪くない選択肢だと思います。

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