BSD界隈四方山話

第16回FreeBSD 10.2-RELEASE登場

FreeBSD 10.2-RELEASE登場

FreeBSD 10系の最新版となる「FreeBSD 10.2-RELEASE」公開されました。リリーススケジュールでは17日の公開が予定されていましたが、13日から14日(協定世界時)にかけてリリースを伝えるメールがメーリングリストに投函されました。

リリースアナウンスメールでは次の項目がハイライトとして紹介されています。

  • resolvconf(8)ユーティリティをバージョン3.7.0へアップデート(DNSプライバシ保護の向上)
  • ntp関連をバージョン4.2.8p3へアップデート
  • rc(8)スクリプトgrowfsの追加(システム起動時に/firstbootファイルが存在した場合、rootファイルシステムのサイズを変更するサービス)
  • Linux互換バージョンをCentOS 6 portsをサポートするようにアップデート
  • drmコードをLinuxバージョン3.8.13に一致するようにアップデート(複数のXサーバを同時に実行することが可能)
  • FreeBSD/armサポートを改善するためにいくつかの拡張とアップデートを実施
  • ZFSのパフォーマンス改善と信頼性の向上
  • GNOMEをバージョン3.14.2へアップデート
  • KDEをバージョン4.14.3へアップデート

FreeBSD 10.2-RELEASEはamd64版、i386版、ia64版、powerpc版、powerpc64版、sparc64版、armv6版が提供されています。

  • amd64版:ISOイメージ(bootonly、disc1、dvd1⁠⁠、USBメモリイメージ(mini、memstick⁠⁠、UEFI対応ISOイメージ(bootonly、disc1、dvd1⁠⁠、UEFI対応USBメモリイメージ(mini、memstick)
  • i386版:ISOイメージ(bootonly、disc1、dvd1⁠⁠、USBメモリイメージ(mini、memstick)
  • armv6版:BEAGLEBONE、CUBOX HUMMINGBOARD、GUMSTIX、PANDABOARD、RPI、WANBOARD
  • ia64版:ISOイメージ(bootonly、disc1⁠⁠、USBメモリイメージ(mini、memstick)
  • powerpc版:ISOイメージ(bootonly、disc1⁠⁠、USBメモリイメージ(mini、memstick)
  • powerpc64版:ISOイメージ(bootonly、disc1⁠⁠、USBメモリイメージ(mini、memstick)
  • sparc64版:ISOイメージ(bootonly、disc1)

どのインストールイメージもLiveCDのような使い方ができます。dvd1にはインストーラと配布物とパッケージ、disc1にはインストーラと配布物、bootonlyはインストーラのみが含まれています。memstickとminiはUSBメモリ向けのイメージで、memstickにはインストーラと配布物が、miniにはインストーラが含まれています。

UEFI版でインストールができないといった場合、BIOSの設定をレガシーモードにして、UEFIではないほうのインストーラでインストールを試みてください。また、2CPU(2-way)や4CPU(4-way)構成のマシンでインストーラが起動してこない場合には、BIOSの設定でx2APICの機能を無効にしてからインストールを試みてください。

仮想ディスクイメージも提供されています。提供されているのはamd64版とi386版で、VMDK、VHD、QCOW2、RAWの形式の仮想ディスクイメージが提供されています。

クラウドホスティングプラットフォーム

FreeBSD 10.2-RELEASEはいくつかのクラウドホスティングプラットフォームで提供されています。現在ではオンプレミスの環境にインストールするよりも、こうしたホスティングサービスを使うほうが簡単に環境を用意できます。

Amazon EC2

Amazon EC2では次のリージョンでFreeBSD 10.2-RELEASEのAMIが提供されています。

  • us-east-1 region: ami-f709a29c
  • us-west-1 region: ami-bbc43aff
  • us-west-2 region: ami-2b88821b
  • sa-east-1 region: ami-49ef6754
  • eu-west-1 region: ami-5c4c112b
  • eu-central-1 region: ami-2235323f
  • ap-northeast-1 region: ami-94209b94
  • ap-southeast-1 region: ami-fe6c62ac
  • ap-southeast-2 region: ami-1bc28121

Amazon MarketplaceではFreeBSD 10において提供されています。

Microsoft Azure

Microsoft AzureでもFreeBSD 10.2-RELEASEが提供されています。

企業やユーザにとってはAmazon EC2よりもMicrosoft Azureのほうが予算が下りやすいというケースもあるでしょう。

Google Compute Engine

Google Compute Engineでは次のようにgcloudコマンドを使用することでFreeBSD 10.2-RELEASEインスタンスのデプロイができると説明があります。

図1 gcloudコマンドでFreeBSD 10.2-RELEASEのデプロイ
gcloud compute instances create INSTANCE --image freebsd-10-2-release-amd64 --image-project=freebsd-org-cloud-dev
gcloud compute ssh INSTANCE

上記のコマンドのINSTANCEの部分をGoogle Compute Engineのインスタンス名に置き換えて実行します。

Hashicorp/Atlas Vagrant

Vagrantからの試用できるようになりました。Vagrantでのデプロイは次のようにコマンドを実行すると説明があります。

図2 vagrantコマンドでFreeBSD 10.2-RELEASEのデプロイ
vagrant init freebsd/FreeBSD-10.2-RELEASE
vagrant up

最近はインストールもアップデートもとても簡単になりました。

FreeBSD Updateでアップグレード

デフォルトインストールのまま使っているのであれば、freebsd-update(8)を使うことでFreeBSD 10.2-RELEASEへのアップグレードが可能です(amd64版、i386版⁠⁠。基本的には次のように操作することでアップグレードが完了します。

図3 freebsd-update(8)で10.2-RELEASEへアップグレード
freebsd-update upgrade -r 10.2
freebsd-update install
shutdown -r now
(……再起動……)
freebsd-update install

freebsd-update upgrade -r 10.2でハッシュ値が異なるとしてエラーで停止した場合にはこのupgradeを何回か実行してみてください。

リリースエンジニアリング

FreeBSD 10.2-RELEASEのリリースエンジニアリングは当初の予定通りに進み、さらに数日前倒しでリリースが実施されました。FreeBSD 10.2-RELEASEのサポート期間は1年間ですので、1年後を目処に次にリリースされるであろうFreeBSD 10.3-RELEASEへ移行したのち、その後でFreeBSD 11.0-RELEASEへの移行というのが今後のアップグレードパスになってくるのではないかと思います。

FreeBSD 11が現在のリリースサポートではなく、11系列ブランチとしての5年サポート体制になった場合、FreeBSD 11のアップグレードパスは基本的にリリースに合わせて5年間で計4回ほど実施するといった形になりそうです。

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