ニッポンのIaaSを牽引するIDCフロンティア

#2RightScale対応で一歩先行くクラウド活用を実現

サーバ運用の課題を解決するServerTemplate

Webアプリケーションにおいて、Webサーバとアプリケーションサーバ、そしてデータベースサーバを分ける3ティア構成を採るケースは多いでしょう。また、Webサーバやデータベースサーバを複数台利用し、負荷分散を行うことも珍しくありません。こうした複数台のサーバを利用するシステムを構築する際、面倒な作業となるのがOSやミドルウェアのインストール・設定です。

サーバ構築手順の標準化にまつわる手間も無視できません。特定のエンジニアでなければサーバを構築できないといった状況に陥ってしまうと、そのエンジニアの退職や休職が大きなリスクとなってしまいます。これを回避するためには作業手順をドキュメントとして記録するといった作業が必要ですが、OS/ミドルウェアのインストール手順から設定内容までをすべて記録するのは手間のかかる作業であり、インフラエンジニアの大きな負担となっています。

こうした課題を解決できるツールとして、IaaSを利用する多くのユーザに注目されているのが「RightScale Cloud Management Platform(以下、RightScale⁠⁠」です。対応する各種IaaSのフロントエンドとして使うことができるサービスであり、異なるIaaSで構築された仮想サーバを一括して管理することが可能なほか、RightScale上からIaaSを指定して仮想サーバを構築することもできます。なお2012年3月23日には、IDCフロンティアが提供するクラウドサービスも正式にサポートされました。

このRightScaleの大きな特長として、⁠ServerTemplate」と呼ばれる機能が用意されていることが挙げられます。これは仮想サーバで利用するOS、あるいはそのOSが起動した後に作業する内容などを定義したテンプレートであり、このServerTemplateに記述された内容に従って仮想サーバを自動的に構築する仕組みが用意されています。これにより、OSやミドルウェアをインストールしたり各種設定を行ったりする手間を省けるようになり、迅速なサーバ構築が可能になるというわけです。

図1 RightScaleを利用した運用イメージ
図1 RightScaleを利用した運用イメージ
RightScaleを活用することにより、サーバーの設計や構築、検証作業などの手間を大幅に軽減することができる

ユーザ自身でServerTemplateを作成したりカスタマイズしたりすることも可能です。自社の環境に最適化したサーバ構築の手順をServerTemplateとして記録しておくことにより、サーバ構築の経験が少ないエンジニアでも高負荷時にサーバを追加するなどといった対応が可能になるでしょう。このようにServerTemplateは、サーバ構築手順の標準化という面でも大きなメリットをもたらします。

GUI画面でのオートスケール設定が可能

ServerTemplateを利用した迅速なサーバ構築や手順の標準化に加え、オートスケールを実現できることも大きなメリットだと話すのは、IDCフロンティアの霜鳥宏和氏です。
株式会社IDCフロンティア ビジネス推進本部 副本部長 霜鳥宏和氏
株式会社IDCフロンティア ビジネス推進本部 副本部長 霜鳥宏和氏

「IDCフロンティアのクラウドサービスでは、仮想サーバをプログラマブルにコントロールするAPIを提供しています。これを利用することでオートスケールを実現することができますが、そのためにはスクリプトを記述していただく必要があり、決して容易ではありません。しかしRightScaleなら、設定画面上でオートスケールの設定を行うことが可能です。APIを使ったオートスケールに敷居の高さを感じていたユーザの方々でも、これなら気軽に利用していただけるのではないでしょうか」

オートスケールが活用できる用途として、霜鳥氏はECサイトの例を挙げます。

「わかりやすい例の1つとして、生花を販売しているECサイトが挙げられるでしょう。こうしたECサイトでは、母の日やクリスマスの直前だけアクセスが急増するという特性があります。このピークに合わせてサーバを構築すると、どうしてもコスト面で割高になってしまうわけです。そこでオートスケールを利用し、普段は必要最小限のリソースで運用し、高負荷時には自動的にサーバ台数を増やすことにより、コストを抑えつつ高負荷時にも対応することが可能です」

さらに同様の例として挙げられたのは、広告代理店における消費者へのメール配信業務です。こうしたメールでは、本文をHTMLメールとして記述し、その中にサーバ上の画像を参照するタグを埋め込んで開封率を調べるといったことが行われます。この画像の参照回数を調べることで、配信したメールの開封率を把握するというわけです。ただ、アクセスが集中するのはメール配信してから数十分~1時間程度であり、それ以外の時間帯のサーバ負荷は決して高くありません。そこでオートスケールを利用し、高負荷時のみリソースを増強するというわけです。

図2 RightScale Platform 画面イメージ
図2 RightScale Platform 画面イメージ
実際にRightScaleにアクセスし、IDCフロンティアのクラウドサービスで実行されているサーバーを表示したところ。サーバーの追加などの操作もRightScaleから行うことができる

プライベートクラウドの管理にも対応するRightScale

IaaSを使って運用されることが多いソーシャルゲームにおいても、RightScaleを利用するメリットは小さくありません。RightScaleではパブリッククラウドとプライベートクラウドを一括して管理することが可能であり、さらに同じServerTemplateでパブリックとプライベートのどちらにも仮想サーバを構築することができるという特長があります。これらの特長により、クラウド環境を効率的に管理できると霜鳥氏は説明します。

「たとえばソーシャルゲームなどで、ユーザ数の増加に合わせてIaaSの仮想サーバを増やし続けていると、月々に発生するコストは莫大なものとなってしまいます。このように大量の仮想サーバを利用するのであれば、自分たちでプライベートクラウドを構築して運用した方が安上がりになるケースがあるのです。このときにRightScaleを利用すれば、IaaS上での仮想サーバ構築に利用したServerTemplateを自社のプライベートクラウドでも利用できるため、簡単に同じ環境を構築してサービスを移行することができます。また、新規のゲームはIaaS上で提供し、ユーザ数が固まったところでプライベートクラウドに移行するなど、パブリックとプライベートを使い分けて使いたいといった場合にも、RightScaleは便利に使えるのではないでしょうか」

ちなみにRightScale社が提供しているServerTemplateのうち、Chefベースで記述されたものは、利用するクラウド環境によってサーバ構築時の設定などを切り替える仕組みが盛り込まれています。たとえばバックアップの仕組みなどはサービスや利用するクラウド管理ソフトウェアによって異なっていますが、その違いをServerTemplateで吸収できるというわけです。これにより、異なるサービス、あるいはパブリッククラウドとプライベートクラウドで同じServerTemplateが利用できるのは大きなメリットではないでしょうか。

RightScaleが利用できるお得なパッケージを提供

IDCフロンティアでは、RightScaleと自社のクラウドサービスをセットにした、⁠RightScaleプラン スタートアップ(月額98,000円⁠⁠」と「RightScaleプラン ベーシック(月額158,000円~⁠⁠」の2つのパッケージを提供しています。いずれも5台分の仮想サーバとRightScaleの利用料金が含まれており、さらにベーシックプランではサーバリソース追加や増設ディスクなどの有償オプションが利用できるというもの。こうしたプランを提供した理由について伺うと、分かりやすい料金設定で提供したかったと霜鳥氏は説明します。

「IDCフロンティアが提供するパックのサービスを利用せず、RightScaleと直でご契約いただき、その上でIDCフロンティアのクラウドサービスにアクセスすることも可能です。ただRightScaleの料金体系は分かりづらい部分があるんですね。基本料金の部分と従量課金の部分があり、さらに従量課金のロジックが難しい。その難しさを何とかしたいと考え、シンプルな料金体系のサービスをIDCフロンティアで用意したというのが今回のパッケージサービスを提供することになった理由です。具体的にはRightScaleにおける従量課金部分については、すべてIDCフロンティアで吸収するような形となっています」

図3 RightScaleパッケージサービスイメージ
図3 RightScaleパッケージサービスイメージ
IDCフロンティアが提供する、同社のクラウドサービスとRightScaleの機能を組み合わせた「RightScaleプラン」の提供イメージ。⁠スタートアップ」「ベーシック」の2つのプランが用意されている

もう1つ見逃せないのが、このパッケージサービスを利用すれば本来3000ドルという初期費用が無料になるという部分です。RightScaleでは、ユーザ自身でのServerTemplate作成などをサポートする、立ち上げ支援サービスを提供しています。このコストは初期費用でまかなわれていますが、⁠日本ではServerTemplateをユーザ自身で作成するケースは少ないのではないか(霜鳥氏⁠⁠」と判断し、こうしたサービスを省くことで初期費用の無料化を実現したとのこと。

料金が抑えられている分、サポートが十分ではないのではないかと不安になるかもしれませんが、その心配は無用のようです。RightScaleとIDCフロンティアのいずれの疑問についても日本語でサポートが受けられるほか、IDCフロンティアでは独自のドキュメントも用意しています。またIDCフロンティアのクラウドサービスを前提としたServerTemplateを利用できるため、契約してすぐに使い始められるのも嬉しいところでしょう。

さらにRightScaleと直に契約する場合はドル建決済となり、決済手段もクレジットカードに限られてしまいます。企業によっては、こうした決済方法では利用できないケースもあるでしょう。しかしIDCフロンティアのパッケージサービスを利用すれば、円建てでの決済となるほか、請求書払いにも対応しています。このように国内企業の事情に配慮されているのもポイントではないでしょうか。

最後に霜鳥氏は「ぜひ1度RightScaleを実際に利用して、そのメリットを実感してほしい」と話します。

「実際にRightScaleを利用しているインフラエンジニアの方々にお話を伺うと『使うと便利さが分かる』と仰るんですね。ですので、まだ使ったことがないということであれば、ぜひ1度試していただきたいと思います」

なおIDCフロンティアでは、クラウドサービスのユーザ会などのイベントで、RightScaleを利用できる環境を用意しているとのこと。こうした機会を利用し、1度触れてみてはいかがでしょうか。

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