IPv6対応への道しるべ

第12回 IPv4とIPv6におけるルーティングの違い

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

データセンターのLAN内でのIPルーティングは不要に?

─⁠─最近流行の一元管理というと,ファブリックPathのような手法ですか?

はい。ファブリックPathやCisco VSS(バーチャルスイッチ)やロジカルスイッチといった手法です。こういった手法はブロードキャストが大きくなってしまって,センター側が大量のARPやNDPを管理しなければならないという課題はあります。データセンターであれば,こういうのが流行っています。

一方で,センター側での集中を嫌ってオーバーレイモデルであるVxLANも流行っています。センター側で集中するモデルは,⁠流行だけどもやることを躊躇する」という話もあるようです。こういった手法の利点としては,インテリジェントノードが減るので管理コストが少なくなる点が挙げられます。

管理コストを重視する方は,今後はクラスタリングやバーチャルスイッチなど,全てを1台のスイッチに見せるような方向へと向かって行くものと予想しています。

─⁠─それって,要は「LAN内にIPルーティングは必要ない」って言ってますよね?

はい。そうですね。ローカルの中はL3ルーティングを減らしていく流れになっているとは思います。少なくとも,業界の話を聞いていると,これで行きたくなるというのはあると思います。

─⁠─それは,突き詰めると実は最終的にはIS-ISでやっているという話になりますか?

(笑)ファブリックPathがL2レベルのルーティングをIS-ISで行っているという意味では,そういう見方もできそうですね。中は,そうですね。内部パケットとしてはですが(笑)⁠

画像

JANOG 30その他の話題

─⁠─JANOG 30で,その後会場を含めた議論があったと思うのですが,その結果はどうでしたか?

そこでの議論では,やっぱりケースバイケースという話になってました。たとえば,セッションで発表していただいたIIJさんとソフトバンクテレコムさんだけ見てもまったく違います。

ISP系のキャリアだとデュアルスタックは,デュアルプロセス・シングルトポロジというのを割とやっています。MPLSを中心にオペレーションを行っているキャリア系だと,そっちに慣れているのでやりやすいようです。既存網の特徴や,お金の話もあると思います。

その他,JANOG 30の時に,OSPFでのmax metricの話がありました。OSPF v2でメトリックを最大にして,ノード迂回をさせる方法ですが,弊社の機器では当時OSPF v3 max-metricを実装していませんでした。そもそもOSPFv2 max-metricはOSPFv2がプロトコルとしてこの迂回機能をサポートしていなかったために,必要となった機能です。

参考5
RFC3137 :OSPF Stub Router Advertisement

OSPF v3ではRビットというのが新しくできていて,Rビットが0だとスタブと判断して迂回されます。つまり元々プロトコルとして全然違うので,max metricが必要ないと言われてました。こういったプロトコルの違いが弊社の実装の遅れの原因でもありました。

現時点ではmax metricはOSPF v3でも有効な機能として認識されています。

参考6
draft-ietf-ospf-rfc3137bis-03:OSPF Stub Router Advertisement

ただ,そのときに,会場は割とキョトンとしていました。その反応から,ひょっとして,シングルスタックのIGP設計の時点で改善できる部分も多い可能性も感じました。

使われてないので気づかれていないという意味では,たとえば,IPv4の便利な機能がIPv6だとプロトコルの違い上実現できないものを事前にお客様にお伝えしてあったとしても,実際にデプロイを開始されてから「あれ?無い!?無い?聞いてないよー」と言われて,⁠いやいや,最初に無いってお伝えしたじゃないですかー」という感じです。

その後,⁠いやぁ,でもいままでIPv4で使ってたのでどうにか……」となり,⁠わかりますけど……」と。

─⁠─実際に使う人が増えないといろいろと認識されない部分が多いということですかね。

そうですね。やはり,使われて行かないとバグも潰されていかないと思います。

─⁠─ギャップを埋めて行かないといけないですね。

IPv4とIPv6は違うものだと認識していただくことは重要ですね。⁠OSPF v2とv3は一緒だよねー」という認識だと深みにハマることがあります。

─⁠─ありがとうございました。

著者プロフィール

あきみち

「Geekなぺーじ」を運営するブロガー。

慶應義塾大学SFC研究所上席所員。全日本剣道連盟 情報小委員会委員。通信技術,プログラミング,ネットコミュニティ,熱帯魚などに興味を持っている。

近著「インターネットのカタチ - もろさが織り成す粘り強い世界」

Twitter IDgeekpage

インターネットってなんだろう?(てくらぼ)