LinuxCon Japan/ Tokyo 2010の歩き方

第3回 KVMのより良い進化を考え,コラボレートしませんか? ─Chris Wright

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私がどのようにしてLinuxの開発に関わってきたか

私は1996年にユーザとして初めてLinuxにかかわりました。そのころ,私は通信事業会社に勤務していました。仕事で UNIXベースのプラットフォームを使用していたため,自宅でもUNIXに似た環境を使いたいと思いました。でもUNIXのハードウェアはとても高価でしたし,PCベースのUNIXソフトのライセンスも同じく高価でした。そこでSlackwareのフロッピーイメージをダウンロードして,自宅のスペアPCにLinuxをインストールしたのです。実は日本に顧客の企業が1社あったため,そのころ東京にも初めて行きました。

私は1998年までLucentに勤務し,開発中の新しい通信事業プラットフォームのHA(ハイ・アベイラビリティ: 高可用性)要件を担当していました。そのプラットフォームはさまざまなUNIX派生版から構成されていましたが,すべてGNUツールチェーンを使用していました。自分の開発プラットフォームは主にLinuxでした。使い慣れていただけでなく,優れたコンパイラが入っていたからです。そしてこの時にLinux-HAプロジェクトを見つけたのです。そのプロジェクトが目指しているものと,私が目指しているものはほとんど同じでした。私はプロジェクトに参加してLinux-HAを使い始め,小さな改良プログラムをいくつかコントリビュートしました。

2000年まで運よくLinuxディストリビューターで仕事をすることができました。私はそこでリサーチグループに在籍し,セキュリティを担当していました。そしてLinuxカーネルの開発を始めました。Linuxセキュリティコミュニティと協力してLinux Security Moduleフレームワーク を作成し,その後LSMメンテナーとなりました。その後,Linuxセキュリティオフィサー,-stableツリーの共同メンテナー,XenLinux ハッカー,paravirt_opsインフラの開発者兼共同メンテナー,さらにKVMハッカーとなりました。

「Linux+KVM」の進化にライバルは付いていけない

Linux市場は常に変化しています。その中心でLinux自体がめまぐるしく変化し,自ら革新し,進化しているのです。いつでも新しい市場に適応できます。Linuxの拠点はずっとサーバ分野にありました。Linuxが高い安全性,安定性,パフォーマンス,スケーラビリティ,エネルギー効率を保ち続けるかぎり,この状態はこれからも同様に続くでしょう。

また,Linuxの一部であるKVMとともに,仮想化やクラウド コンピューティングが業界で注目を浴びていますので,おそらくLinuxとKVMは,あっという間にクラウド分野に進出して行くでしょう。Linuxがサーバ分野で達成したのと同じコモディティ化が,このハイパーバイザー分野でも起こっています。LinuxやKVMの進化と同じ速度で競争するのは難しいでしょう。

そのほかLinuxにとって興味深い市場は,クラウドとは対極にある市場です。Linuxは,一般ユーザーから離れたデータセンターの大規模なサーバマシンで優れた機能を発揮していますが,ネットブックやスマートフォンのような小さな機器でも同じです。つまり膨大な数のユーザが直接Linuxを使えるわけです。すごいと思いませんか?

KVMの大前提の1つは,他の強みを利用することです。ですからKVMは,パフォーマンスや効率性を向上させている最近の仮想化認識ハードウェアを軸に進化を続けています。同時に,KVMはより深くLinuxカーネルに統合されようとしています。仮想メモリサブシステムでも,スケジューラでも,あるいはリソース管理でも,統合が深まればKVMはさらに進化します。主に進化するのはパフォーマンスとスケーリングですが,KVM がクラウドに進出するにつれ,管理のしやすさもホットな話題になっています。

もっと日本の開発者の意見が聞きたい

KVMはコラボレーションです。KVM開発者コミュニティがなければ,KVMは存在しませんでした。このコミュニティには日本の開発者も参加し,KVMプロジェクトには皆さんの努力が反映されています。要求を出し,開発者を提供することで,KVMは成長と進化を続けます。

今回LinuxConが日本で開催されるのも,日本がいかにLinux開発コミュニティの重要な役割を担っているかを物語っています。私は,10年近く前にOSDLの後援で開かれた日本でのワークショップから今回のLinuxCon Japanのようなカンファレンスまで,ずっと日本のLinuxコミュニティと協力してきました。日本のLinuxコミュニティは世界のLinuxコミュニティの一員として本当に熱心に取り組んでいます。このカンファレンスは,まさに彼らの努力の賜物です。

今回私の話を聴きに来られる方に,まずは聴いていただけることにお礼を言いたいですね。ただ,私は皆さんの意見も伺いたい。なぜKVMはあなたにとって有益なのかを考え,どうすればさらに良いものにできるか,教えてください。

LinuxCon Japan:Chris Wrightさんのセッション「The KVM Weather Report」
URL:http://events.linuxfoundation.org/2010/linuxcon-japan/wright

著者プロフィール

Chris Wright

Red Hat社のシニアエンジニア兼LinuxのstableツリーメンテナーおよびKVMメンテナー。

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