MRTGを使ったネットワーク監視技法

第6回コンフィギュレーションファイルを作る(1)

今回からMRTGのコンフィギュレーションファイルの作り方について解説します。

コンフィギュレーションファイルとは

MRTGにおけるコンフィギュレーションファイルとは、MRTGを実行する際に読み込まれるファイルのことで、下の例では、mrtg.cfgを指します。

# ./mrtg mrtg.cfg

今回はmrtg.cfgを記述する際に必要となるキーワードのうち、主なものを取り上げて説明します。

コンフィギュレーションファイルの作り方

ここでのMRTGのコンフィギュレーションファイルの作成方法は、手作業で行うことを前提に説明しています。したがって、viなどのエディッタを使ってmrtg.cfgを書き換えてください。

なお、cfgmakerには、テンプレート機能がありますので、複数の監視対象機器についてのコンフィギュレーションファイルを自動生成させることもできます。この機能については、後の回で取り上げる予定です。

キーワードの説明

WorkDir:

MRTGが作り出すログのデータベースファイルやWebページ用のGIFファイルなどを保存するための基本的なパスを示します。ブラウザで参照できるデータとして出力しなければなりませんから、Webサーバのドキュメントディレクトリを指定します。

# vi mrtg.cfg

たとえば、このようにviエディタを実行し、次のように編集します。

#  for UNIX
# WorkDir: /home/http/mrtg
WorkDir: /usr/local/apache2/htdocs/mrtg ←追加

IconDir:

MRTGで作成されるHTMLページの一番下には、GIFファイルで⁠MRTG MULTI ROUTER TRAFFIC GRAPHER⁠というロゴが表示されるように作られていますが、MRTGの標準的なインストールのままではロゴは表示されません。

図1 IconDir: を使ってロゴを表示した状態
図1 IconDir: を使ってロゴを表示した状態

このGIFファイルは、以下のパスにインストールされています。

# cd /usr/local/mrtg-2/share/mrtg2/icons
# ls
mrtg-l.gif   mrtg-m.gif   mrtg-r.gif   mrtg-ti.gif
mrtg-l.png   mrtg-m.png   mrtg-r.png   mrtg-ti.png

このパスではドキュメントディレクトリの外ですので、シンボリックリンクを貼って、ブラウザから参照できるようにします。

# cd /usr/local/apache2/htdocs/mrtg
# ln -s /usr/local/mrtg-2/share/mrtg2/icons icons

次に、mrtg.cfgの中に、このGIFファイルがあるパスを明示します。このためにIconDirを使います。先ほどと同じくviエディタでmrtg.cfgを編集します。

IconDir: /mrtg/icons/  ←追加

Directory[]:

MRTGは1つの監視対象機器につき、以下のように複数のログファイルや画像ファイルが生成されます。

%pwd
/usr/local/apache2/htdocs/mrtg

%ls
192.168.1.208_1-day.gif       192.168.1.208_1.log
192.168.1.208_1-month.gif     192.168.1.208_1.old
192.168.1.208_1-week.gif      mrtg-l.png
192.168.1.208_1-year.gif      mrtg-m.png
192.168.1.208_1.html          mrtg-r.png

MRTGはWorkDirで示されたディレクトリに、出力ファイルをすべて保存します。しかし、監視対象機器が複数になるとファイル数が増加するため、煩雑になります。とくに問題になるのが、後で監視対象から外れた機器が出てきたときです。大量のファイルの中から特定のファイルだけを削除するのは、不安が付きまといますから、削除作業そのものを怠りがちになります。

そこで、Directoryというキーワードを使いましょう。Directoryは、WorkDirで示されたパスの下にDirectoryで示されたサブディレクトリを作成し、その中にログファイルと画像ファイルを作成してくれます。先ほどと同じくviエディタでmrtg.cfgを編集します。

Target[192.168.1.208_1]: 1:HIMITSU@192.168.1.208:
Directory[192.168.1.208_1]: 192.168.1.208 ← 追加

上記にあるようなDirectoryキーワードを明示すると、以下のようなパスにファイルが作成されます。

%cd /usr/local/apache2/htdocs/mrtg

%ls -F
192.168.1.208/  mrtg-l.png  mrtg-m.png  mrtg-r.png

%ls 192.168.1.208
192.168.1.208_1-day.gif       192.168.1.208_1.html
192.168.1.208_1-month.gif     192.168.1.208_1.log
192.168.1.208_1-week.gif      192.168.1.208_1.old
192.168.1.208_1-year.gif

Options[]:growright

cfgmakerで作成したmrtg.cfgを使ってグラフを作ると、そのグラフの時間軸は、左から右に向かって時間が流れているグラフになります。これを右から左に向かって時間が流れるようにするために、growrightオプションを使います。

図2-1 Options[_]: growrightを記述する前のグラフ
図2-1 Options[_]: growrightを記述する前のグラフ
図2-2 Options[_]: growrightを記述した後のグラフ
図2-2 Options[_]: growrightを記述した後のグラフ

記述方法は、以下のようにします。

Options[_]:growright  ←追加

Options[_]に見られるアンダースコアは、このオプションが、すべての監視対象機器に有効にするということを示しています。

Language: eucjp

この指定をすることで、基本的なHTML上のメッセージが日本語に変わります。また取り扱えるキャラクターコードは、EUCのみですが、mrtg.cfgの中に、EUCで日本語を埋め込んでも正しく表示されるようになります。

図3 Language: eucjp を指定した場合、下図のように日本語が表示できる
図3 Language: eucjp を指定した場合、下図のように日本語が表示できる

次回は

今回は、最小限のキーワードについて説明しました。次回もまたコンフィギュレーションファイルの作り方を説明しますが、とくに全容がわかるように説明をしていきたいと思います。

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