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第9回 Cisco IOSの選び方

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皆さん,こんにちは。

この連載を読んでいただいている方の中には,CCNAなどのCisco資格取得を目指している,またはすでに取得されている方も多いと思います。Cisco製品を販売したり利用する立場の方も多いと思うのですが,お客様などからお勧めのIOSバージョンは何ですか?などと質問されて困ったことはありませんか?

今回は筆者の経験に基づき,⁠IOSの選び方」について書いてみたいと思います。また,ちょうどIOSのバージョンが12.4から15.0へとジャンプアップしましたので,開発方針にどのような変化があったのかについても考察してみたいと思います。

IOSは1981年にスタンフォード大学で開発されたもので,Cisco生誕以来,ルータ用のOSとして後方互換を保ちながら進化し続けており,現在ではLANスイッチのCatalystシリーズや無線LANアクセスポイントのAironetシリーズなどにも搭載されています。

ただし今回は,CatalystやAironetの話は別の機会にまわすことにして,ルータに限った話をします。

バージョン12.4まで

まず,12.4までのバージョンですが,

  • 12.4(25)
  • 12.4(15)T11

といった形で表記され,大きく以下の2種類に分かれていました。

  1. Tトレイン

    最新機能を使いたい顧客向けのOSであり,⁠12.4(15)T11」のようにバージョン表記にTの文字が入ります。

  2. メイントレイン

    最新機能は不要で安定したOSを利用したい顧客向けであり,バージョン表記にTの文字が入りません。

次にバージョン表記の意味について説明します。

たとえば「12.4(25)」には以下のような意味があります。

  • Tの文字が入っていないのでメイントレインです。
  • 最初の「12.4」がバージョン番号で,バージョン番号が同じであれば搭載されている機能は同じです。
  • カッコ内の数字がメンテナンス番号であり,メンテナンス(バグの修正など)が行われることによって数字がカウントアップされていきます。

つまり「12.4(25)」「12.4(12)」を比較すると,次のようになります。

  • バージョン番号が同じなので搭載されている機能は同じです。
  • 「12.4(25)」のほうが多くのバグを直しているので,安定して動作することが期待できます。
  • したがって,⁠12.4(25)」のほうがお勧めです。

次に,Tトレインのバージョン表記を見てみましょう。

例として「12.4(15)T11」の意味は次の通りです。

  • Tトレインです。
  • 最初の「12.4」がバージョン番号です(ここまではメイントレインと同じ)⁠
  • カッコ内の数字がメンテナンス番号ですが,Tトレインの場合はメンテナンスのたびに新しい機能が追加されています。
  • Tの後ろの11はリビルド番号であり,機能追加なしでバグ修正などを行った回数を表しています。

つまり「12.4(15)T11」「12.4(9)T5」を比較すると,次のようになります。

  • 「12.4(15)T11」のほうが新しい機能が搭載されています。
  • どちらが安定しているかの判断はできません。なぜなら「12.4(15)T11」のほうが新機能を追加したぶんだけ新たなバグが発生するリスクが高いと言えますが,リビルド回数も多いので多くのバグが修正されていると期待もできるからです。
  • したがって,⁠どちらがお勧め」とは言えません

また,Tトレインの中でも何度もリビルドを繰り返して安定化させようとするものと,あまりリビルドせずに諦めてしまう(?)ものがあるようです。たとえば,12.4(6)Tや12.4(11)Tはそれぞれ11回もリビルドしていますが,12.4(20)Tは4回しかリビルドしていません。

おそらく開発方針などによって,気合をいれて(?)バグを修正するものと,そうでないものがあるようです。内部事情に通じていないと,Tトレインのお勧めバージョンはわかりません。そのため,以前はシスコ日本法人から,機種ごとの「推奨IOSバージョン」がパートナー向けのWebページで公開されていました(現在は休止しています)⁠

それから,Tトレインとメイントレインの関係ですが,

Tトレインの最終メンテナンスバージョンをベースとして,次のメイントレインが作られる

という関係にあります。

つまり,12.4メイントレインの最初のバージョンである12.4(3)は,12.3Tの最終メンテナンスバージョンである12.3(14)Tをベースとして作られていたのです。したがって,メイントレインといえども,メンテナンス番号が若いものは,Tトレインと大差ない品質であると想定できます。

著者プロフィール

高木圭一(たかぎけいいち)

ネットワーク業界でSEとして22年間の業務を経験した後,現在は独立。IPイノベーションズの専属コンサルタント・インストラクターとして活躍中。ネットワークを活用した新しいライフスタイルを確立し,浸透させることを目標として活動中であり,栃木県に在住。

  • 1986年 富士通ネットワークエンジニアリング(現FNETS)入社
  • 2000年 シスコシステムズへ転職
  • 2007年 独立・IPイノベーションズ専属コンサルタント・インストラクター

URLhttp://www.gogonetpro.com/

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