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第12回 OSPFのType-2 LSAはなぜ必要か?

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無くても良い?Type-2 LSA

今回のタイトルに「Type-2 LSAは,なぜ必要か?」と書いてしまったのですが,よく考えてみると,⁠無くても良いType-2 LSA」のほうが良かったかもしれません。

以前,居酒屋で「タイプツーなんかなくたってOSPFは動くんだよ。お前らわかってんのか?」と説教しているオジサンを見かけたことがありますが,確かにそのとおりだと思います。

図2を見てください。広域イーサネットサービスを使って100台のルータを接続しています。

図2

図2

ご存知のとおり,広域イーサネットはLAN(単一のブロードキャストドメイン)とみなすことができます。このとき,LSAがType-1しかないと仮定して,どのようなLSDBができるかを想像してみましょう。

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このように,膨大な情報量になってしまいますね。

つまり,LANのようなブロードキャストネットワークに多数のルータが接続されている状況では,Type-1 LSAだけだとLSAのフラッディングやLSDBが大量になってしまうため,インターフェースの帯域を無駄に消費したり,ルータのCPU負荷が上がってしまう,ということを心配してType-2 LSAが考案されました。

次にType-2 LSAの仕組みですが,まずは図3を見てください。

図3

図3

さきほどと同じように100台のルータが接続されていますが,広域イーサネットではなく,ルータ(R101)を介してつながっています。このときのLSDBはどうなるでしょうか?

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情報量の変化がわかりますか?

R1~R100のルータについては,直接つながっているのはR101だけなので,リンクステートもR101に関する情報しか含まれていません。R101は100台のルータと接続していますので,100台分のリンクステートが含まれています。LSDB全体の情報量を考えると,さきほどのブロードキャストネットワークの場合と比較して,およそ100分の1ほどに削減されていますね? このR101のリンクステートが,まさにType-2の役割なのです。

つまり,こういうことです図4⁠。

図4

図4

OSPFルータがブロードキャストネットワークに接続されると,⁠架空ノード」を作ってしまうのです。

全てのルータが架空ノードを介してつながっているように見せることで,LSDBを圧縮しています。ただし,架空ノードはリンクステートの処理の上でだけ存在し,実際のトラフィックは実在するルータ間で転送されます。

この,架空ノードのLSAに相当するのがType-2 LSAであり,Type-2を作成する役割を果たすのが,DR(Designated Router)です。だから,ブロードキャストネットワークではまずDRの選出をして,DRとその他のルータ間で隣接関係を構築し,DRだけがType-2 LSAを発行するのです。

Cisco IOSであれば,⁠show ip ospf database router」⁠show ip ospf database network」で実際のLSDBを覗いてみると,納得できると思います。

ちなみに,OSPFと同じような原理で動作するIS-ISでは,Type-2 LSAに相当する情報のことを,Pseudonode LSP(架空ノードのリンクステート・パケット)と呼びます。こちらのほうが意味を適切に表していますね。

著者プロフィール

高木圭一(たかぎけいいち)

ネットワーク業界でSEとして22年間の業務を経験した後,現在は独立。IPイノベーションズの専属コンサルタント・インストラクターとして活躍中。ネットワークを活用した新しいライフスタイルを確立し,浸透させることを目標として活動中であり,栃木県に在住。

  • 1986年 富士通ネットワークエンジニアリング(現FNETS)入社
  • 2000年 シスコシステムズへ転職
  • 2007年 独立・IPイノベーションズ専属コンサルタント・インストラクター

URLhttp://www.gogonetpro.com/