Ubuntu Weekly Recipe

第42回Ubuntu Mobileの利用(2)

Ubuntu 8.10のリリースは明日、10月30日です。すでにRelease Candidate(リリース候補版)の提供が開始され、NetBook・MID向けのUbuntu MobileもめでたくRC版が登場しました。

今回はNetBook・MIDでUbuntu Mobileを利用する方法を紹介します。

Ubuntu Mobileの位置づけ

第37回で紹介した通り、Ubuntu MobileはNetBook・MID(Mobile Internet Device)に向けてカスタマイズされたUbuntuです。NetBook特有の狭い画面サイズと解像度や、MIDのタッチパネルを有効に利用するための機能が搭載されています[1]⁠。

NetBook・MIDの問題

NetBookやMIDの多くは必要最小限のハードウェアで構成されているため、数万円程度で入手できますし、比較的重量のあるNetBookでも1kg台前半程度の重量と、持ち運びにも適した形になっています。

しかし、⁠最小限のハードウェア」にはCD-ROMドライブやDVD-ROMドライブのような、光学ドライブが含まれていません。Windowsはもちろん、UbuntuなどのLinuxディストリビューションの多くもOSのインストールには光学ドライブを用います[2]⁠。このため、このままではインストールの方法に困ってしまうはずです(Windows環境ではソフトウェアのインストールにも光学ドライブが必要なことがほとんどなので、より問題はやっかいになります⁠⁠。

もっとも単純な解決策は、USBの外付け光学ドライブを入手してしまうことです。こうしたドライブは1万円弱程度で入手できますので、1台持っておいても損はありません。

しかし、これでは余計な出費になってしまいますし、インストール時だけとはいえ、わざわざ外付けの光学ドライブを接続しなければならない、というのはいささか不格好です。

USBメモリからのインストール

そこでUbuntu Mobileでは、MID向け・NetBook向け[3]ともに、リリースとして専用のUSBブートイメージを準備しています

これはUSBメモリやSDカードといった、MIDやNetBookで利用しやすいメディアにインストールし、インストールCDの代わりに利用するためのものです。

今回はこのイメージの利用方法を説明します。

リリースページに準備されたイメージは、ddで取得されたイメージなので、通常であればddコマンドを用いてインストールすることになります。ですが、それでは不慣れな人には難しく、しかもコマンドラインオプションを間違えることで誤ってHDDを初期化してしまう、といった事故が起こることもあります。

そこで、Ubuntu Mobileのインストール用に「USB Image Writer」というツールが準備されています。これはGUIでUSBメモリやSDカードにddで取得されたイメージを書き込むことができるツールです[4]⁠。

USB Creatorのインストールと利用

Ubuntu MobileのMID版・NetBook版のインストールは、いずれも1GB以上の容量を持つUSBメモリかSDカードが必要になります。できれば高速タイプを利用した方が快適です。

MID版・NetBook版の使い分けは微妙なところですが、⁠画面が極端に狭ければ、あるいはタッチパネルならMID版を使う」と理解しておくと良いでしょう。

USB Creatorのインストールは、現在のところWikiページからダウンロードして行います。Ubuntu環境で「Download usb-imagewriter here」部分図1をクリックすると、図2のように、⁠GDebi Package インストーラ」で開くかどうか確認するダイアログが表示されます。

ここでそのまま[OK]を押し、しばらく待ちます。

図1 USB Image Writerのダウンロード
図1 USB Image Writerのダウンロード
図2 gdebiで開く
図2 gdebiで開く

ダウンロードが完了すると、自動的にGDebiのダイアログ図3が開くので、⁠パッケージのインストール]をクリックします。

図3 gdebiでのインストール
図3 gdebiでのインストール

これにより、USB Image Writerがシステムにインストールされます。⁠アプリケーション⁠⁠→⁠アクセサリ⁠⁠→⁠Image Writer」とたどればUSB Image Writerを起動できるはずです図4⁠。

図4 USB Image Writer
図4 USB Image Writer

USB Image Writerはまだ日本語化されていませんが、操作は非常に簡単です。⁠Write Image:」の右にあるボタンをクリックしてイメージファイル(ubuntu-8.10-rc-mobile-i386.img・もしくはubuntu-8.10-rc-mid-lpia.img)を選択し、対象となるUSBメモリを選択するだけです。イメージファイルはあらかじめダウンロードしておく必要がありますので、先述のリリースページから入手しておいてください。

このとき、対象デバイスにはUSBメモリやSDカードなどだけが表示され、内蔵HDDは表示されません。

イメージファイル・対象デバイスを選択すると図5のように、⁠Write to device]ボタンが押せるようになります。

図5 デバイスの設定
図5 デバイスの設定

このボタンを押下するとインストールが開始されますが、図6のように、USBメモリにある全てのデータが削除される旨の警告が表示されます。問題なければ[OK]を押して先に進めます。また、ここから完了ダイアログが表示されるまでの間は、USBメモリを抜いてはいけません。

図6 USBメモリのデータが削除される警告
図6 USBメモリのデータが削除される警告

USB Image Writer上のゲージが伸びていき、完了すると図7のような完了ダイアログが表示されます。この表示が出たらUSBメモリ(SDカード)を抜くことができます。

図7 インストール完了
図7 インストール完了

このUSBメモリを利用して起動すると、図8のようなMID版、あるいはNetBook用の環境が利用できます。

図8 MID版のデスクトップ
図8 MID版のデスクトップ

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