Ubuntu Weekly Recipe

第59回ASUS Eee PC 901-16GでUbuntu 8.10 UMPCを使用する

第42回 Ubuntu Mobileの利用(2)の補遺

第42回の掲載後、Ubuntu Mobileがリリースされたのですが、なんとリリース時にUbuntu UMPCと名前が変更されてしまいました。よって第37回と第42回は、Ubuntu UMPCとして適宜読み替えてください。

Ubuntu Netbook RemixとUbuntu UMPC

Ubuntuには、Ubuntu Netbook RemixというRemix版もあります。これは現状、Ubuntu 8.04ベースのものと、Ubuntu UMPCを手順に従ってカスタマイズする方法の2種類があります。すなわちUbuntu UMPCは、Ubuntu DesktopとUbuntu Netbook Remixの中間に位置しています。

なおUbuntu 8.04ベースのNetbook Remixをインストールする方法はここでは紹介しませんが、インストールする場合は注意して行ってください。インストーラの仕様上、内蔵SSD/HDDを問答無用でフォーマットします[1]⁠。

Ubuntu 9.04でのUMPCとNetbook Remix

Ubuntu 9.04のリリース準備も着々と進んでいますが、Ubuntu UMPCは存在せず、Ubuntu Netbook Remixが標準で提供されるようになります。執筆時点の2009年2月下旬現在のことでリリース時には変更される可能性もありますが、Ubuntu 8.10 UMPCからUbuntu 9.04 Netbook Remixへのバージョンアップはできません。Update Managerを使用してアップデートした場合、Ubuntu Desktopになります。今からUbuntu UMPCをインストールする場合は、この点を頭に入れておくといいかもしれません。

ASUS Eee PC 901-16Gとは

ASUS Eee PC 901-16Gの詳細な説明は特に行いませんが、ASUS社の8.9インチ液晶のNetbookです。ここでは、現行モデルであるEee PC 901-16Gを対象とします。前モデルのEee PC 901-Xとは内蔵SSDに違いがあり、901-Xは4GB+8GBで合計12GBでしたが、901-16Gは16GBのSSDが1つ内蔵されています。しかし、逆に言えばそれしか違いがないため、本文の内容も参考になるのではないでしょうか。他の900シリーズや701シリーズでも同様に参考になるかもしれません。

Ubuntu 8.10 UMPCをインストール

では、いよいよUbuntu 8.10 UMPCをインストールします。インストールイメージはミラーサーバから入手してください。インストールはUSBメモリ用のイメージですので、これを第42回を参考にUSB Image Writerを使用してUSBメモリにコピーし、インストールを行ってください。完了後、アップデートも行ってください。

なお、この時点では無線LANは使用することができません。必ず有線LANでインターネットに接続してインストールを行ってください。

Ubuntu 8.10 UMPC インストール直後の問題点

インストール自体は問題なく終了しますが、実用上はいくつかの問題があります。

  • 上記のとおり無線LANが使用できない
  • ホットキーが使用できない
  • キーボード上の4つのボタン(インスタントキー)が動作しない

逆にいえば、カメラやBluetoothやSDカードスロットは動作します。

カーネルの変更

EeePC用のカーネルパッケージを配布しているArray.orgというサイトがあり、これを使わせていただくことにします。無線LANやホットキーが使えるようになるばかりでなく、消費電力も驚くほど少なくなります。カーネルを入れ替えただけで1時間ほどバッテリの持ちがよくなるので、インストールしない理由はないでしょう。インストール方法は次のとおりです。

  1. リポジトリ情報のダウンロード
    $ sudo wget -q http://www.array.org/ubuntu/array-intrepid.list -O /etc/apt/sources.list.d/array-intrepid.list
  2. 鍵のインポート
    $ sudo wget -q http://www.array.org/ubuntu/array-apt-key.asc -O- | sudo apt-key add -
  3. リポジトリ情報のアップデート
    $ sudo apt-get update
  4. パッケージのインストール
    sudo apt-get install linux-eeepc

インストール自体はこれで完了ですが、8.10の最新版カーネルは2.6.27-11です。しかし、インストールしたカーネルは2.6.27-8-eeepcです。すなわち、標準ではインストールしたカーネルからブートすることはできません[2]⁠。もちろん2.6.27-11を削除するのも手ですが、今回の場合は/boot/grub/menu.lstの14行目にあるdefaultのあとの数字を0から2に変更すれば、インストールしたカーネルからブートするようになります。

再起動後、無線LANが使用できるようになっていると思います。もしできなければ、ブートしたカーネルが間違っていると思われます。

ACPIスクリプトのインストール

主にホットキーを有効にするため、ACPIスクリプトをインストールします。ここでは、eeeuser.comのフォーラムで紹介されているものを使わせていただくことにします。

  1. アーカイブをダウンロードする
    $ wget http://www.informatik.uni-bremen.de/~elmurato/EeePC/Intrepid_ACPI_scripts-EeePC.tar.gz
  2. 解凍する
    $ tar xfvz Intrepid_ACPI_scripts-EeePC.tar.gz
  3. インストールする
    $sudo Intrepid_ACPI_scripts-EeePC/acpi-scripts.sh install
  4. 再起動する

これですべてのホットキーと、インスタントキーが動作するようになります。ただし、Windows XP Homeでできる解像度のトグルはできません。

Ubuntu Japanese Teamリポジトリからのインストール

最後に忘れてはいけない、Ubuntu Japanese Teamリポジトリからのインストールを行います。手順は以下のとおりです。

  1. 鍵のインポート
    $ wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
  2. リポジトリ情報のダウンロード
    $ sudo wget -q https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/intrepid.list -O /etc/apt/sources.list.d/ubuntuja.list
  3. リポジトリ情報のアップデート
    $ sudo apt-get update
  4. パッケージのアップグレード
    $ sudo apt-get upgrade
  5. パッケージのインストール
    $ sudo apt-get install ubuntu-desktop-ja
  6. 一度ログアウトして、再ログインする

以上で完了です。Ubuntu UMPCを堪能ください。

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