Ubuntu Weekly Recipe

第156回AndroidとUbuntuの素敵な出会い UbuntuでAndroid開発をはじめよう

今週のレシピでは、Ubuntu上でのAndroid開発環境構築を紹介します。コードのビルドと実行のターゲットには、先週紹介したIDEOSを使用することにします。

Android SDKのインストール

Androidプログラミングをはじめるためには、Android SDKをインストールする必要があります。Android SDKはAndroid DevelopersのサイトからLinux用のtarボールをダウンロードして任意のディレクトリに展開してください。

Android SDKのダウンロードと展開
$ wget http://dl.google.com/android/android-sdk_r08-linux_86.tgz
$ tar zxvf android-sdk_r08-linux_86.tgz

SDKの展開が完了したら、ADV Managerを起動します。

ADV Managerの起動
$ cd android-sdk-linux_86/tools
$ ./android

ADV ManagerではAndroid SDKに含まれる、ターゲットとなるAndroidの各バージョンごとのAPIや、サンプルコードなどを個別にインストールすることが可能です。また後述するバーチャルデバイスの作成もここから行います。

「Available packages」を選択し、⁠Android Repository」から必要なパッケージを選択しましょう。ここでは「Android SDK Platform-tools, revision 1」と、IDEOSのAndroidバージョンは2.2ですので「SDK Platform Android 2.2, API 8, revision 2」が最低限必要です。ついでにドキュメントやサンプルコードをインストールしておくのもよいでしょう。インストールしたいパッケージにチェックを入れたら、⁠Install Selected」をクリックしてください。選択したパッケージの確認画面が表示されたら、⁠Accept」を選択して「Install」をクリックします。

図1 ADV Managerで必要なパッケージをインストールする
図1 ADV Managerで必要なパッケージをインストールする
図2 パッケージの詳細とライセンスを確認する
図2 パッケージの詳細とライセンスを確認する

デバッグモードとパーミッションの設定

開発を行なっていくにあたり、Android端末をデバッグモードで接続しておく必要があります。まず、IDEOS側の「設定⁠⁠->「アプリケーション⁠⁠->「開発」から「USBデバッグ」をONにします。

図3 USBデバッグ接続を有効にする
図3-(1) USBデバッグ接続を有効にする図3-(2) USBデバッグ接続を有効にする

次に、IDEOSが接続された際のudevのルールを追加します。/etc/udev/rules.d に新規ファイルを作成し、以下のルールを記述します。デフォルトではユーザ権限でIDEOSのデバイスファイルにアクセスすることができませんので、このルールでパーミッションを"666"に指定しています[1]⁠。

udevのルールを追記して、IDEOSが一般ユーザで操作できるようパーミッションを設定する
$ sudo vi /etc/udev/rules.d/51-android.rules
SUBSYSTEM=="usb", ATTRS{idVendor}=="12d1", ATTRS{idProduct}=="1038", MODE="0666"

なお、他のAndroid端末を使う場合は、lsusbコマンドで得られるベンダidとプロダクトidに読みかえてください。例えばSHARPのIS01でしたら以下のようになります[2]⁠。

SHARP IS01の例
SUBSYSTEM=="usb", ATTRS{idVendor}=="04dd", ATTRS{idProduct}=="9337", MODE="0666"

開発環境の設定

Eclipseのインストール

Android開発には、統合開発環境であるEclipseとプラグインを利用するのが最も簡単です。今回はUbuntuのリポジトリに用意されているEclipse 3.5.2を利用します。

Eclipseのインストール
$ sudo apt-get install eclipse

Pleiadesのインストール

Eclipseを日本語化するため、MergeDoc Projectの成果物であるPleiadesを利用します。Pleiadesもパッケージとしてリポジトリに用意されていますので、導入は簡単です。

Pleiadesのインストール
$ sudo apt-get install pleiades

Pleiadesはインストールしただけでは適用されません。/etc/eclipse.ini に設定を追記する必要があります[3]⁠。

eclipse.iniにPleiadesの設定を追記
$ sudo vi /etc/eclipse.ini
(ファイル末尾に以下を追記する)
-javaagent:/usr/lib/eclipse/plugins/jp.sourceforge.mergedoc.pleiades/pleiades.jar
図4 Pleiadesによって日本語化されたEclipse
図4 Pleiadesによって日本語化されたEclipse

ADTプラグインのインストール

Eclipseのインストールが完了したら、ADTプラグインをインストールします。Eclipseのメニューの「ヘルプ⁠⁠->「新規ソフトウェアのインストール⁠⁠->「追加」を開き、⁠ロケーション」に次のURLを入力してください。⁠名前」は任意の名前を入力して構いません。

ADTプラグインのURL
https://dl-ssl.google.com/android/eclipse/

追加が完了したら、⁠作業対象」に上記URLを入力してください。インストールできるソフトウェアの一覧が表示されますので、⁠Developer Tools」をチェックして「次へ」をクリックします。ライセンスのレビューが表示されますので、ライセンスを確認した上で「使用条件の条項に同意します」を選択して「完了」をクリックしてください。

次に、ADTプラグインの設定を行います。Eclipseのメニューから「ウィンドウ⁠⁠->「設定⁠⁠->「Android」を拓き、⁠SDKロケーション」にAndroid SDKを展開したディレクトリを指定して「適用」をクリックします。ディレクトリの指定が適切ならば、インストールされているSDK Platform APIのバージョンが表示されます。

図5 ADTプラグインをEclipseに追加する
図5 ADTプラグインをEclipseに追加する
図6 Android SDKのロケーションを設定する
図6 Android SDKのロケーションを設定する

プロジェクトの作成とビルド

それでは定番のHelloWorldをチュートリアルにそって実行してみましょう。Eclipseを起動して「ファイル⁠⁠->「新規⁠⁠->「プロジェクト⁠⁠->「Androidプロジェクト」を選択します。新規Androidプロジェクトのウィザードダイアログが表示されますので、名前やターゲットを指定します。ビルドターゲットはADV Managerでインストール済みのSDK Platform APIが表示されますので、複数のバージョンをインストールしている場合は注意してください。

プロジェクト名HelloIDEOS
ビルドターゲットAndroid 2.2
アプリケーション名Hello, IDEOS
パッケージ名com.example.helloideos
Create ActivityHelloIDEOS
図7 新規Androidプロジェクトを作成する
図7-(1) 新規Androidプロジェクトを作成する 図7-(2) 新規Androidプロジェクトを作成する

これでプロジェクトのひな型が作成されました。プロジェクトエクスプローラに「HelloIDEOS」プロジェクトが生成されているのが確認できるはずです。ここから「HelloIDEOS⁠⁠->「src⁠⁠->「com.example.helloideos⁠⁠->「HelloIDEOS.java」を開き、エディタでソースを以下のように修正します[4]⁠。

package com.example.helloideos;

import android.app.Activity;
import android.os.Bundle;
import android.widget.TextView;

public class HelloIDEOS extends Activity {
    /** Called when the activity is first created. */
    @Override
    public void onCreate(Bundle savedInstanceState) {
        super.onCreate(savedInstanceState);
        TextView tv = new TextView(this);
        tv.setText("Hello, IDEOS");
        setContentView(tv);
    }
}
図8 ひな型のAndroidプロジェクトのソースに修正を加える
図8 ひな型のAndroidプロジェクトのソースに修正を加える

ソースの修正が完了したら、プログラムを実行してみましょう。IDEOSがUSBでUbuntuと接続されていることを確認したら、メニューの「実行⁠⁠->「実行」を選択します。実行方法の選択ダイアログが表示されますので「Androidアプリケーション」を選択してください。アプリケーションのビルドとパッケージング、そしてIDEOSへのアップロードとインストールが自動的に行われ、IDEOS上でアプリケーションが起動します[5]⁠。

図9 Androidアプリケーションとして実行する
図9 Androidアプリケーションとして実行する
図10 IDEOS上で実行されたHelloWorldの例
図10 IDEOS上で実行されたHelloWorldの例

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