Ubuntu Weekly Recipe

第167回 UbuntuでEclipseことはじめ

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ワークスペース,ワークベンチ,ビュー,プロジェクト,パースペクティブ

ワークスペースやワークベンチ,ビュー,プロジェクト,パースペクティブはEclipseの用語ですので,実際にEclipseを操作しながらひとつひとつ説明します。

UbuntuのメニューからEclipseを選択して起動すると,まずワークスペースの選択を促されます。ワークスペースとはEclipseで作成するプロジェクトの置き場です。大抵はユーザのホームディレクトリの,たとえば「/home/mocchi/workspace」のようなディレクトリとなるでしょう。Eclipseで作成したファイルはすべてここに保存されるため,それなりのサイズが確保できるディレクトリを指定してください。

図6 ワークスペース選択ダイアログ。登録したワークスペースは,Eclipseの設定から項目「一般」⁠⁠開始およびシャットダウン」⁠⁠ワークスペース」で管理することができる

図6 ワークスペース選択ダイアログ。登録したワークスペースは,Eclipseの設定から項目「一般」,「開始およびシャットダウン」,「ワークスペース」で管理することができる

ワークスペースを選択すると,Eclipseのメイン画面である「ワークベンチ」となります。ワークベンチにはさまざまな「ビュー」が配置されています。ビューはそれぞれ異なる役割を持っています。

ワークベンチの右上で「パースペクティブ」を選択できます。パースペクティブを変更することで,ワークベンチを特定の用途に適したものに切り替えます。例えば「C/C++」を選択するとコンパイル・デバッグ、Makeターゲットといったビューを備えたワークベンチに切り替わり,⁠SVNリポジトリーエクスプローラー」を選択すると登録しているSVNリポジトリーの内容や更新履歴を参照するビューを備えたワークベンチに切り替わります。

図7 パースペクティブはワークベンチの右上に表示される

図7 パースペクティブはワークベンチの右上に表示される

図8 パースペクティブ選択ダイアログから追加することができる

図8 パースペクティブ選択ダイアログから追加することができる

使いたいパースペクティブを選択したら,プロジェクトを作成します。⁠エクスプローラー」ビューでマウスの右クリック・メニューを表示し,新規を選択します。メニューに従って操作します。

図9 プロジェクトの作成画面。⁠PHP」パースペクティブ上のビューからメニューを表示している

図9 プロジェクトの作成画面。「PHP」パースペクティブ上のビューからメニューを表示している

「エクスプローラー」ビューはたいていワークベンチの左に配置されていますが,メニューの「ウィンドウ」から「ビューの表示」と進むことで,ビューを自力で開くことも可能です。パースペクティブによってはエクスプローラー・ビューでリポジトリーへの接続を作ったり,あるいはリモートファイルへの接続を作ったりと用途が異なるので,注意してください。

目的のパースペクティブのプロジェクトを作成したら,いよいよ作業開始です。

開発中の出来事

開発中はいろいろな出来事があると思います。2日で50通超のメールにあっぷあっぷしたり,以前の開発者との間に確執を持ったり,やったことのないアップグレード作業に翻弄されたり,停電の最中にセキュリティ修正リリースの方策を練ったり,商用ホスティングサービスに採用されたり,失業者となったり,どうしても必要な機能を拡張として実装したり。もしあなたの関係しているプロジェクトが途中で頓挫しそうになった時には今度はあなたが支える番かもしれません。

SVNリポジトリーの利用

SVNとは,ソースコードのバージョン管理をするための仕組みです。今回は筆者がリードしているNucleus CMS日本語版パッケージがホスティングしている,sourceforge.jpのリポジトリーを利用してみます。

まずパースペクティブを「SVNリポジトリー・エクスプローラー」に切り替えます。ワークベンチ左の「SVNリポジトリー」ビューで右クリックをし,⁠新規」⁠⁠リポジトリー・ロケーション」と進み,⁠新規リポジトリー・ロケーション」ダイアログが開きます。

図10 新規リポジトリー・ロケーションの登録ウィンドウ

図10 新規リポジトリー・ロケーションの登録ウィンドウ

タブ「一般」のテキストボックス「URL」に,nucleus-jpのプロジェクトURL「http://svn.sourceforge.jp/svnroot/nucleus-jp」を入力します。

有効なURLが入力されると,テキストボックス右のボタン「参照」をクリックしてリポジトリーの中を見ることができます。

図11 新規ルートURLの選択画面。nucleus-jpリポジトリーの中を閲覧できている

図11 新規ルートURLの選択画面。nucleus-jpリポジトリーの中を閲覧できている

http接続であれば認証は不要ですので,登録したい階層を選択し,OKを押してダイアログを閉じます。最初に開いたダイアログのテキストボックス「カスタム・ラベル」で表示名を入力し完了をクリックすると,このリポジトリーが登録されます。

リポジトリーからチェックアウトするには,⁠SVNリポジトリー」ビューで右クリックして表示されるメニューから,項目「チェックアウト」を選択します。そうすると,ソースがすべてプロジェクトとしてワークスペースにコピーされます。

図12 ⁠SVNリポジトリー・エクスプローラー」ビューに登録されたリポジトリーで表示したメニュー。チェックアウトやリポジトリーの再設定を行うことができる

図12 「SVNリポジトリー・エクスプローラー」ビューに登録されたリポジトリーで表示したメニュー。チェックアウトやリポジトリーの再設定を行うことができる

Nucleus CMSはPHPプロジェクトなので,PHPパースペクティブでプロジェクトを見てみましょう。プロジェクトとしてローカルに保存された後も、履歴などは維持されるため、⁠エクスプローラー」ビューでファイルやディレクトリのリビジョンを確認することができます。またSVNリポジトリーのリソースが更新された場合も通知されます。

「PHPエクスプローラ」ビューで右クリックをすると,項目「チーム」が表示されます。ローカルファイルをリポジトリーのファイルに同期させたり,更新履歴を表示したり,バージョン情報を含まない形でエクスポートすることができます。

図13 PHPパースペクティブにおいて,リポジトリーからチェックアウトしたプロジェクトを表示した画面。⁠チーム」メニューでSVNリポジトリー関係の操作を行うことができる

図13 PHPパースペクティブにおいて,リポジトリーからチェックアウトしたプロジェクトを表示した画面。「チーム」メニューでSVNリポジトリー関係の操作を行うことができる

筆者はこのプロジェクトのコミット権限を持っているため,ローカルファイルの内容をリポジトリーに反映する操作(コミット)が許可されています。認証方法はhttp/httpsによる方法,パスワードあるいは認証鍵によるSSH認証,SSL証明書による認証などが利用できますが,sourceforge.jpへ登録作業を行いかつプロジェクト管理者に依頼して開発者登録を行う必要があります。

筆者はこのようにして,プロジェクトメンバーと協力してバグ修正やマルチバイト文字処理の実装に取り組んでいます。

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。