Ubuntu Weekly Recipe

第168回 PreziとUbuntuでプレゼン資料を作る

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3.5 分

Prezi Desktopを使う

前述の問題は,オフライン版クライアントであるPrezi Desktopを使用することでかなり改善します。Prezi Desktopを使うにはProライセンスが必要ですが,30日間限定で無料で試用することができます。

インストール

Prezi DesktopはAdobe AIRで実装されたアプリケーションです。ですので事前にAdobe AIRをインストールしておく必要があります。Adobe AIRはUbuntuのpartnerリポジトリからインストールすることが可能です。

Adobe AIRのインストール

$ sudo apt-get install adobeair

Prezi Desktopのページから⁠Try it now⁠をクリックしてください。インストールの手順が表示されたら,⁠Install Now⁠をクリックするとAdobe AIRのインストールダイアログが表示されますので,あとは画面の指示にしたがってください。

インストールが完了したら,デスクトップにある“PreziDesktop3”アイコンをダブルクリックすることで,Prezi Desktopを起動できます。なおPrezi Desktopでの編集方法はオンライン版のPreziと同一です。

既存データのダウンロードとオンラインへの反映

既にWeb上でプレゼンを作成しており,オフラインで作業を継続したいような場合は,まずローカルにプレゼンデータをダウンロードしておく必要があります。プレゼンの管理画面で⁠Download⁠をクリックし,表示されるダイアログで⁠Download for Prezi Desktop⁠を選択してください。.pezという拡張子でプレゼンデータをダウンロードすることが可能です。ダウンロードした.pezファイルはPrezi Desktopの⁠File -> Open⁠から開くことができます。ちなみにpezファイルはzipのアーカイブで,内容はプレゼンを構成するxmlファイルとpng画像です。

編集が完了したプレゼンは,オンラインへアップロードしておく方がよいでしょう。メニューから⁠File -> Upload to Prezi.com⁠を実行してください。オフラインで新規に作成したプレゼンの場合は,オンラインでの新規作成時と同様にタイトルを入力するダイアログが表示されます。タイトルの入力とアップロードが完了すると,prezi.comのマイページにプレゼンが追加されているのが確認できるはずです。また,既存のプレゼンをダウンロードしてオフラインで更新した場合は,ダウンロード元のデータが更新されます。

図6 プレゼンの管理画面。ここからダウンロードや複製の作成,削除などが行える。タイトルや解説の再編集も可能

図6 プレゼンの管理画面。ここからダウンロードや複製の作成,削除などが行える。タイトルや解説の再編集も可能

図7 ダウンロード形式はPrezi Desktopで編集するためのpezと,WindowsやMacでプレゼンを行うためのPortable prezi(後述)が選べる

図7 ダウンロード形式はPrezi Desktopで編集するためのpezと,WindowsやMacでプレゼンを行うためのPortable prezi(後述)が選べる

資料作成時に気をつけること

Preziはデフォルトの状態では日本語を入力することができません。正確にはフォントが設定されていないため,日本語が表示されません。日本語を表示するためにはメニューの⁠Colors&Fonts⁠から日本語のテーマを選択する必要がありますが,ここで使用される日本語フォントはお世辞にもバランスがよいとは言えません。そこで筆者は中国語のテーマを選択してプレゼンを作成しました。中国語テーマでも日本語を表示することが可能で,現時点の日本語テーマより綺麗なフォントになります。

図8 やや残念な感じの日本語フォント

図8 やや残念な感じの日本語フォント

また,キーバインドの問題もあります。日本語入力時にはCtrl+Spaceキーでインプットメソッドを起動しますが,このSpaceキーがPreziのShowにバインドされているため,キャンバス上に直接日本語を入力しようとするとプレゼンが開始されてしまうという問題があります。これを回避するには,IMを起動する前に適当な半角英数字を入力します。何か文字が入力されると,キャンバス上にテキスト入力ボックスが表示されますが,このボックスの中でならSpaceキーをPreziに横取りされることはなく,IMのオンオフが可能です。

図9 テキスト入力ボックスの中でなら,Spaceキーが横取りされることはない

図9 テキスト入力ボックスの中でなら,Spaceキーが横取りされることはない

プレゼンのエクスポート

Preziはプレゼンをローカルなアプリケーションとしてエクスポートすることが可能です。前述のDownloadダイアログで⁠Export to Portable prezi⁠を選択すると,Windows用EXEファイルと,Mac向けappフォルダが含まれたアーカイブを取得することができます。これは編集不可のプレゼンデータと,Windows/Mac上で動作するプレイヤーアプリのセットです。つまりこのアーカイブさえあれば,インターネット接続のできないマシンでも,追加アプリのインストールなしにPreziのプレゼンを再生することが可能になります。

Preziはオンラインでプレゼンテーションを行うことが前提のサービスですので,オフラインで実行するにはProライセンスとPrezi Desktopを使用するか,Windows/Mac向けにエクスポートするかの二択になります。

prezi.exeをWineで動かす

このためUbuntuでPreziをオフラインで利用するには,Proライセンスが必須なように思えます。しかし前述のエクスポートしたプレゼンデータに含まれるWindows用のprezi.exeを,UbuntuとWineで動かすことが可能です。Wineをインストールしたら,wineコマンドの引数にprezi.exeを渡すだけでWine上でPreziが起動します。

Wineのインストールと実行

$ sudo apt-get install wine
$ cd (プレゼンデータを展開したフォルダ)
$ wine prezi.exe

図10 Wine上で動作しているPrezi.exe

図10 Wine上で動作しているPrezi.exe

ただし,すべての機能が使えるわけではありません。例えば筆者の環境では,Wine上のPreziをフルスクリーンで表示させることはできませんでした(非常に画面が乱れます)⁠ただし,これはウィンドウを最大化することで妥協できる問題かもしれません。このように少々強引ではありますが,無料のPublicライセンスとWineでプレゼンの作成とUbuntu上での再生を行うことも可能です。

著者プロフィール

水野源(みずのはじめ)

Ubuntu Japanese Teamメンバー。理想のフリーデスクトップ環境を求めて東へ西へ……のはずが,気がついたら北の大地で就職していたインフラ寄りのエンジニア。最近レンズ沼にハマる。