Ubuntu Weekly Recipe

第184回 アナログシンセサイザー・ソフトウェアamSynthで音作り

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暑い夏には?

筆者の周りも遅ればせながら,夏本番となりました注1)⁠強烈な直射日光を前に,部屋にこもらざるを得ない方もいるのではないでしょうか。室内でできる有意義な行為として知られていることのひとつに,シンセサイザーによる音作りがあります。夏ですし,涼し気なサウンドを合成するのも一興ではないでしょうか。きっとご近所さんも,普段はおかしな音ばかりだしているのに今日はいいわねぇ,素麺の一杯でも差し入れしようかしら,と感心してくれるに違いありません。

…というわけで,筆者の担当回はこれから数回にかけて,Ubuntuで使うことのできるソフトウェアシンセサイザーを扱っていきます。

注1
筆者が前回担当した記事の公開日からずっと,真夏日が続いています。本当にどうもありがとうございました…。

ソフトウェアシンセサイザーとは

シンセサイザーとは,電気工学的な技法を利用して音を合成するもの一般を指します。身近な楽曲に利用されているような狭義のシンセサイザーから人間の音声合成をするもの,かたや玄関のアラームまで,幅広いシンセサイザーが開発され利用されています。かつては技術的制約から大規模な装置とならざるを得ませんでしたが,電子回路の発達によりハードウェアとしてもコンパクトなものとなり,さらにコンピューティングの発達によりソフトウェアとして手軽に利用できるものとなりました。

Ubuntuでは様々なシンセサイザーがパッケージとして利用できますが,筆者の担当回では,その中でも楽曲作成に役立ちそうなもの,すなわちMIDI音源として振る舞うものを扱っていこうと思います。そのため,ALSAシーケンサー機能を把握しておくことをお奨めします。本連載の以下の回が助けとなるでしょう。

また音声を出力するため,ALSAカーネルモジュール/ライブラリーやPulseAudioサウンドサーバー,JACKサウンドサーバーに関しても把握しておくことをお奨めします。本連載の以下の回が助けとなるでしょう。

amSynthとは

かつて一世を風靡し現在でも高い評価を維持しているMoog社のシンセサイザーですが,技術的に優れていたのは,モジュール型という構造を採用したことでした。シンセサイザーの処理プロセスを各モジュールに分離し,さまざまな種類のモジュールを組み合わせることで様々な自由度を持たせるアイディアです。このタイプは,モジュラーシンセサイザーと呼ばれています。

その後,特定の組み合わせのモジュールで構成されたシンセサイザーが発売され,高い評価を得ました。他社もそれに追随し,似たような構造を持つシンセサイザーが多数発売され,様々な音がこの世にもたらされました。こちらは狭義のアナログシンセサイザーと呼ばれています。

装置として誕生したアナログシンセサイザーを,そのモジュール構造に着目してソフトウェアとして実装したものを,アナログシンセサイザー・ソフトウェアと呼びます。Ubuntuでもさまざまなアナログシンセサイザー・ソフトウェアを使うことが出来ます。

その中でもAnalogue Modelling SYNTHesizerの名を持つamSynthは,アナログシンセサイザーの基本要素を備えていることに加え直感的な操作が可能なため,アナログシンセサイザーの基本的な使い方を身につけるにはもってこいのソフトウェアです。

amSynthを使うには,UbuntuソフトウェアセンターかSynapticパッケージマネジャーで,パッケージ「amsynth」をインストールしてください。起動するには,Unityのダッシュボードで「amsynth」を見つけて実行してください。

図1 amSynthの外観

図1 amSynthの外観

音声の出力とMIDI入出力ポートの接続

amSynthは起動すると,音声の出力先を自動で見つけるように作られています。通常はALSAライブラリーを経由してPulseAudioサウンドサーバーに出力しますが,JACKサウンドサーバーが起動していたらそちらに出力します。

操作画面のボタン「Audition」は,よく使われる音階のド(C3)の音を出力します。もしこのボタンをクリックしても音が出ない場合は,これまでのレシピを参考にして,音声出力設定を見なおしてみてください。

図2 Ubuntuの標準状態の場合は,⁠サウンドの設定」に表示されることを確認

図2 Ubuntuの標準状態の場合は,「サウンドの設定」に表示されることを確認

図3 JACKサウンドサーバーの場合はPatchageが便利

図3 JACKサウンドサーバーの場合はPatchageが便利

MIDI出力ポートですが,デフォルトではALSAシーケンサー機能に開きます。aconnectguiやpatchageなどのソフトウェアを使い,ソフトウェア/ハードウェアMIDIキーボードやMIDIシーケンサーのMIDI出力ポートと接続することで操作できるようになります。

図4 Aconnectguiの画面

図4 Aconnectguiの画面

これらの音声出力とMIDI入出力の設定は,メニュー「Config」の項目「Audio & MIDI」で変更することができます。設定を変更した場合は再起動しなければ有効とならないことに注意してください。

図5 MIDI入出力や音声入力に関する設定の他,合成音のサンプル周波数に関する設定も行うことができる

図5 MIDI入出力や音声入力に関する設定の他,合成音のサンプル周波数に関する設定も行うことができる

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。

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