Ubuntu Weekly Recipe

第190回 シルバーウィーク特別企画・超小型Ubuntuマシン Trim Sliceで遊ぼう

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この数年,さまざまなARMデバイスが販売されるようになっています。今回はその中でも特に小型な高性能コンピューター,⁠Trim Slice⁠を紹介します。

Trim Slice とは

Trim Sliceは,イスラエルCompuLab社(fit-PCなどの小型PCで有名なハードウェアベンダ)が提供する,NVIDIA Tegra2を搭載した超小型デスクトップマシンです図1)⁠

図1 Trim Sliceを上から見た図。小型ながら,デスクトップPCに必要なほとんどの要素を満たしている

図1 Trim Sliceを上から見た図。小型ながら,デスクトップPCに必要なほとんどの要素を満たしている

最大の特徴はその大きさで,底面積が130mm x 95mm厚み0.6cmほどと,⁠名刺入れ二つ分」サイズです図2・図3)⁠また,価格も最低限の「Bareborn」モデルであれば$200弱と,一般的な組み込みボードに比べると安くなっています注1)⁠

図2 Trim Sliceの横に名刺を置いてみた。⁠縦」は名刺の長辺とほぼ同等

図2 Trim Sliceの横に名刺を置いてみた。「縦」は名刺の長辺とほぼ同等

図3 Trim Sliceの上に2.5インチSSDを置いてみた

図3 Trim Sliceの上に2.5インチSSDを置いてみた

スペックそのものは次のとおりで,⁠Tegra2搭載のAndroidタブレットから,モニタとバッテリーを取り外したもの」に,複数のUSBポートとGigabit Ethernetを追加したもの,と考えて良いでしょう。電源は付属のACアダプタ注2を用います。

Trim Sliceのインターフェース図4・図5
  • CPU: NVIDIA Tegra2(Cortex A9 dual core)
  • Memory: 1GB
  • USB2.0 x4ポート(通常サイズ)
  • USB2.0 x1ポート(microUSB)
  • HDMI出力
  • アナログステレオラインアウト
  • アナログステレオラインイン
  • デジタルオーディオ出力(S/PDIF)
  • SDカードスロット
  • microSDカードスロット
  • UARTポート(RS-232C)
  • DVI出力(オプション)
  • SATA(オプション)注3
  • 11n WLAN(オプション)
  • Gigabit Ethernet注4

図4 Trim Sliceの前面ポート。左からRS-232C/UART,SDカードスロット,電源スイッチ兼LED,USB2.0 x2,microUSB

図4 Trim Sliceの前面ポート。左からRS-232C/UART,SDカードスロット,電源スイッチ兼LED,USB2.0 x2,microUSB

図5 Trim Sliceの背面ポート。左からWLAN用アンテナ,USB2.0,アナログラインイン兼SPDIF Out,USB2.0,AC入力,ラインアウト,DVI-D(HDMI形状)⁠Gigbit Ethernet,HDMI

図5 Trim Sliceの背面ポート。左からWLAN用アンテナ,USB2.0,アナログラインイン兼SPDIF Out,USB2.0,AC入力,ラインアウト,DVI-D(HDMI形状),Gigbit Ethernet,HDMI

ARM Cortex A9と1GBメモリを搭載し,GbEポートを持つ以上,⁠最低限のデスクトップ環境」として利用することもできますし,省電力を生かした常時稼働サーバーとして利用することもできます。デフォルトで導入されたOSはUbuntu 11.04のカスタム版です。

ブートローダーはubootで,開発者向けに自前のubootへの入れ替えも可能となっているため,Android端末のように「OSの入れ替えが困難」といった問題はありません。Tegra2搭載Androidタブレットが3~4万円で入手できることを考えると,Ubuntuなど,好みのOSを利用できることと,Gigabit Ethernetが利用できることをどこまで評価するか,ということになります。

注1
このように聞くととても安いように聞こえますが,CompuLabのfit-PC2シリーズ(Atom Zシリーズを搭載した小型PC)は$300前後から入手できるため,突出して安いわけではありません。
注2
Trim Slice付属のACアダプタは「抜け防止」のためのフックが付いているため,この種のデバイスを常時稼働させるによくある「ACアダプタが抜けてしまう」問題に遭遇する可能性はあまりありません。なお,ACアダプタはマルチ仕様なので,注文時に指定を間違えなければ日本のコンセントで利用できるものが付属してきます。
注3
Trim SliceのSATAインターフェースは内部的にはUSB2.0ポートからUSB=SATA変換を経由したものなので,性能面ではUSB2.0と変わりません。
注4
SATAと異なり,Gigabit Ethernetと11n無線LANは内部的にPCI-Express(もしくは相当バス)で接続されています。モデルによってSATAや11n,Bluetoothなどが搭載されますが,11nとBluetoothは電波法の都合で日本国内では利用できませんので,Barebornモデルを購入して自分でドングルを追加する方が良いでしょう。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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