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第202回 ladishでJACKサウンドサーバー環境のセッションを管理する

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JACKサウンドサーバー環境には音楽編集やレコーディングをする上で必要なソフトウェアがひととおり揃っています。しかし,ソフトウェアを起動して音声入出力ポートを接続する作業を,JACKサーバーを起動する度に繰り返す必要があり,少々面倒です。加えて,接続するサウンドデバイスを変更するとハードウェアが設けるポート数が変化してしまうため,ラップトップを持ち運んで場所を変えて使う場合などには,さらに手間がかかってしまいます。

今回は,この難点を解決するべく開発が進められている,ladishというソフトウェアを紹介します。

ladishとは

ladish(LADI Session Handler)はJACKのセッション管理をするためのソフトウェアです。⁠セッション」という言葉そのものは様々な文脈で用いられますが,ladishでの「セッション」は,JACKサウンドサーバーやJACK対応ソフトウェアの接続状態を意味します。

ladishは2009年から始まった比較的若いプロジェクトです。ladish以前にも,LASH(LASH Session Handler)注1やJACKのセッション管理機能がありましたが,いずれも制約があります。ladishはこの2つとの互換性を保ちながら,ladiセッションハンドラーを新たに定義してさらなる使い勝手の向上を図っています。

ladishを使うにはUbuntuソフトウェアセンターなどでパッケージ「gladish」をインストールします。パッケージの依存関係で必要なソフトウェアがすべてインストールされます。なお,ladishはOneiricになって初めてインストールすることが出来るようになりました。

注1
ladishのソースのルーツは2002年から2003年にかけて開発されたLADCCA(Linux Audio Developer's Configuration and Connection API)に遡ることができます。そのソースを受け継いで2005年から2007年まで開発されたLASH(Lash Audio Handler)が,ladishの直接の前身となります。

Studio/Room/Project

ladishによるセッション管理の特徴は,Studio,Room,Projectの3つです。

Studioはハードウェアを含めた広範な接続空間です。ladishはStudio内に開かれた接続状態を管理し,セッションを保存することで次回の起動でも同じ状態から作業を開始することができるようにします。

Studio内にはRoomを複数設けることができます。RoomはStudioの中に設けられたStudioのようなものですが,Studioに対する独立した入出力ポートを持ち,Room内に開いたソフトウェアとStudioとを仲介する,文字通りの「部屋」です。ProjectはRoomに展開されるソフトウェアとその接続状態のことで,個別に保存可能です。

図1 ladishによるセッション管理

図1 ladishによるセッション管理

これらは,ソフトウェアをパフォーマーと見立て,スタジオの部屋でライブレコーディングしているイメージを持つと,より理解しやすくなります。

ladishはこうして,StudioとRoomによりハードウェアとの接続とソフトウェア間の接続状態を分離することで,同じProjectを様々なハードウェアで再利用することを簡単にしてくれます。

Studioの使いかた

gladishはladishの機能を画面で操作するためのソフトウェアです。gladishはUnityのLensでは「メディア」カテゴリーに,KDEやXFCEでは「マルチメディア」カテゴリーに登録されます。起動すると以下の画面となります。

図2 起動直後の画面

図2 ladishによるセッション管理

親切にも,ウィンドウの右のペインに使い方が表示されています。

  1. Studioの作成
  2. JACKサウンドサーバーの設定
  3. Studioの開始
  4. ソフトウェアの起動
  5. ポート間の接続
  6. Studioの保存と終了

順を追って見てみましょう。

1. Studioの作成

メニュー「Studio」で項目「New Studio」を選択し,名前を入力して自分のStudioを作成します。

図3 メニュー「Studio」を選択

図3 メニュー「Studio」を選択

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。

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