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第224回 オープンソース版Lotus Symphonyをインストールする

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今回は第223回に続き,オープンソース版Lotus Symphonyの公開までに至る経緯,さらにインストール方法と新機能を解説します。

いったい何が?

もともとIBMは2011年7月14日にLotus Symphonyのソースコードを公開すると宣言していましたが,実際に行われるのはApache OpenOffice 3.4のリリース後ということになり,しばらくの間これに関するニュースは特にありませんでした。しかし,Apache OpenOfficeのメーリングリストで1~2週間の間に発表できるかも,というのが流れたため,223回を執筆しました。

そうしたらなんと第223回の公開日の朝(日本時間)に,IBMがソースコードを貢献するという署名にサインしたということが告知され,あれよあれよという間に準備が進みました注1)⁠そして,5月21日に(暫定的ですが)そのソースコードが公開されました。取り上げるのは早すぎる気もしますが,非常に興味深いので思いきって紹介します。

注1
Wikiはかなり先行して作業が行われました。

公開されたソースコードについて

公開されたsubversionのリポジトリを見てみると,大変興味深いことがわかります。LICENSEファイルとNOTICEファイルが存在し,Apache License 2.0にはなっているのですが,各ソースコードのヘッダを見てみると,著作権者はSun MicrosystemsとのものとOracleのものが混在しており注2)⁠ライセンスはLGPL3のままです。ということは,IBMはSunからライセンスを任意に変更してもいい(プロプライエタリはもちろんオープンソースでも構わない)という契約をし,それに基づいてApache Licenseとして公開したものの,ヘッダの修正までは行なっていない,と考えられます注3)⁠

Lotus Symphonyは,誤解を恐れずに簡単に説明するとEclipseのユーザーインタフェースにOpenOffice.org 3.2/3.3の機能を載せたものです注4)⁠MDIはこのEclipseの部分で実現しており,今回オープンソース化の対象にはなっていません注5)⁠すなわち,Lotus SymphonyからEclipseの部分を除いたOpenOffice.orgに相当する部分に,さらに開発が進んだものが公開されたものであるということです。今回は「OSS版Lotus Symphony」と呼びます。

今後はこれをベースにしてApache OpenOffice 4.0の開発が進むはずです注6)⁠今回のリリースはそのための重要なマイルストーンと考えるといいでしょう。機能は今後追加や変更されるでしょうし,ルック&フィールも4.0までにはいろいろと変更される可能性があります。

注2
ついでにApacheのものも混じっています。こちらは当然Apache Licenseになっています。
注3
くれぐれも強調しておきますが,筆者の推測です。
注4
詳しくはこちらをご覧ください。英語ですが,Lotus Symphonyの構造が解説されています。
注5
あくまで筆者の予測ですが,Lotus Symphonyはワープロと表計算とプレゼンテーションの機能しかなく,図形描画やデータベースなどApache OpenOfficeと比較して機能が少なくなっています。それでEclipseの部分を公開しないという判断になったのではないかと考えられます。ほかにもEclipseのライセンス(EPL)とApache Licenseの互換性の問題も考えられます。可能性としてはこちらの方が高いですが,ライセンスの専門家ではないのでどういった互換性の問題があるのかまではわかりません(特許の考え方が大きく違うようではありますが)⁠直接的に特許の問題という可能性もあります。Apache Licenseだと特許のあるソースコードに対して特許の主張が事実上できなくなっていますので,これが不都合であるということは充分に考えられますが,いずれにせよ筆者が把握している限りではその理由は公表されていません。
注6
とはいえ,筆者には実際にどういうフローで開発が進むのかはさっぱり見当がつきませんが……。

インストール

OSS版Lotus SymphonyはApache OpenOfficeと同じく内部バージョンがOpenOffice.org 3.4になっているため,原則としてApache OpenOffice 3.4と同居することはできません。もしApache OpenOffice 3.4をインストールしている場合は,前もってアンインストールしておくといいでしょう。また,AMD64版のパッケージは公開されていないため,日本語Remixなどi386版のUbuntuが必要です。対象のUbuntuのバージョンは11.04以降と推測できますが,今回は12.04で動かしました。なお,日本語版はありません。

もちろん初リリースの開発版なので,いくつかの不具合があります。あくまでテスト目的でお使いください注7)⁠また,特に不具合というわけではないのですが,IBusの候補ウィンドウが左下に表示されます。

インストール方法は次のとおりです。必ず解凍は新規に作成したフォルダの中で行なってください。

  1. 事前にJava仮想マシンをインストールしておく。

    $ sudo apt-get install default-jre-headless
    
  2. http://people.apache.org/~zhangjf/symphony/build/からLinux Intel DEBをダウンロードする。

  3. フォルダを作成し,ダウンロードしたOOo_3.4.0_Linux_x86_install_deb.tar.gzを移動する。

  4. 作成したフォルダに移動し,次のコマンドを実行する。

    $ tar xf OOo_3.4.0_Linux_x86_install_deb.tar.gz
    $ sudo dpkg -i *.deb
    
  5. 次のコマンドを実行して起動する。

    $ /opt/openoffice.org3/program/soffice
    
  6. 不要であれば作成したフォルダを削除する。

注7
もっとも,筆者を含めて英語のインタフェースでバリバリ使える人はそんなに多くないでしょうが……。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバーで,主として日本語入力関連を担当する。特定非営利活動法人OpenOffice.org日本ユーザー会。LibreOffice日本語チーム。ほか,原稿執筆も少々。

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