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第242回 Zentyalでサーバー管理

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ZentyalはWebブラウザーからLinuxサーバーを管理・運用するためのサーバーアプリケーションです。今回はネットワークインターフェースやファイヤーウォールから,ユーザー管理,ファイル共有,メッセージングソフトウェアにいたるまで,あらゆるコンポーネントをブラウザーから設定できるZentyalをUbuntuに導入する方法を紹介します。

Zentyalとは

Zentyalは,Webブラウザーを使って,サーバーを管理・運用するためのPerlベースのソフトウェアです注1)⁠/etc/network/interfacesの編集によるネットワークインターフェースの設定,iptablesを使ったファイヤーウォールの設定,LDAPを使ったユーザー管理といったLinuxサーバー管理者がコンソールから行う作業を,すべてWebブラウザー上の操作から行えるように作られています。

Zentyal自体は「モジュール」と呼ばれる設定用のインターフェースを用意しているだけで,実際に裏で動くサーバーアプリケーションは,リポジトリから導入できる一般的なソフトウェアをそのまま使います。よって,⁠/etc以下の設定ファイルをWebブラウザーから編集できるもの」とイメージしておけばよいでしょう。

このため,一部の設定ファイルはZentyalによって勝手に変更されることがあります。モジュール導入時にそのモジュールがどのファイルを編集するかを表示してくれるものの,意図しない変更によってZentyalを経由しない設定を行ったソフトウェアと不整合を起こす可能性もあるので,設定変更の場合は注意が必要です。

Zentyal自身は「Linux Small Business Server」と名乗っており,主に中小企業のサーバー管理用途に,技術サポート付きの商用版を販売しています。6月にはSambaサポートをメインとしたCanonicalとZentyalの提携も発表されUbuntu Weekly Topcsの記事)⁠さらにEdubuntu 12.10では,設定ツールとしてZentyalを使う計画があるなど,Ubuntuとも深い関わりを持っています。

注1
以前はeBoxという名称でした。

Zentyalのインストール

Zentyalは2012年9月13日にリリースされた3.0が最新版です。Ubuntu 12.04の公式リポジトリには3.0のベータ版である2.3のパッケージが用意されているので,2.3であればapt-getコマンドで導入可能です。ただし,公式リポジトリにはZentyalのモジュールのうち一部のパッケージしか用意されていません。

Zentyalの開発チームは,バージョンごとにすべてのモジュールをパッケージングしたPPAを用意しています。モジュールだけでなく,各言語の翻訳パッケージも存在します。ただしこちらのPPAを使うとiptablesやsamba4などZentyal以外のパッケージもZentyal用に改修を加えたものになるので注意が必要です。

さらにZentyalの公式サイトではUbuntu Server 12.04ベースのインストールCDも配布しています。OSのインストールから試す場合はこちらを使っても良いでしょう。

まずは公式リポジトリから2.3をインストールする方法を紹介しましょう。

公式リポジトリの2.3をインストール

他のパッケージに影響を与えたくない場合,公式リポジトリからZentyalをインストールしましょう。

$ sudo apt-get install zentyal-core

Apache 2や各種Perlモジュール,MySQLにRedisあたりも一緒にインストールされます。またインストール時にはZentyalにアクセス時のポート番号注2も聞かれるので,環境に応じて設定しておきましょう。

インストールが完了したら,Webブラウザーから次のURLにアクセスしてください。ポート番号を変更している場合はそれも指定します。

https://(サーバーのアドレス)/

https経由であることに注意してください。SSLの設定をしていない場合は,証明書に関する警告が出るはずです,本格的に導入する場合はこちらを参考に正しく設定を行っておきましょう。

URLにアクセスするとログインページが表示されますので,サーバーログイン時と同じユーザー名とパスワードを入力します。もしページが表示されない場合は,http経由でアクセスしてください。"It works!"というApacheのウェルカムページも表示されないなら,ネットワークの設定か,/etc/apache2の設定を見直しましょう。

図1 ログイン画面

図1 ログイン画面

ログインできるのは,sudoグループに所属するユーザーのみとなります。インストール時に作成したユーザーであれば標準でsudoグループに所属していますが,そうでない場合は次のコマンドでsudoグループに登録しておきましょう。

$ sudo adduser username sudo

なおsudoグループに所属したユーザーは,sudoを使って管理者権限で各種コマンドを実行できるようになるため,誰に権限を付与すべきかは慎重に考慮する必要があります。

注2
初期設定だと443(https)です。

Zentyalの設定方法

無事にログインできるとDashboardが表示されます。表示される項目を「Widget」と呼び,Widgetの内容は状態が変更するごとに自動的に更新されるようになっています。例えば「General Information」を眺めていると,定期的にTimeやUptimeが更新されているされていることがわかるでしょう。

図2 Dashboardに配置するWidgetはカスタマイズ可能

図2 Dashboardに配置するWidgetはカスタマイズ可能

各Widgetのタイトルバーをドラッグアンドドロップすることで,Widgetの位置を自由に変えられます。さらに,Dashboardにある「Configure widget」をクリックすれば,表示するWidgetを変更できます。

図3 Process list widgetを追加したところ

図3 Process list widgetを追加したところ

後述する「モジュール」を追加することで,Widgetの種類を増やせますので,モジュールを追加したら「Configure widget」を確認するとよいでしょう。

画面左のサイドペインにはいくつかの設定メニューが表示されています。⁠Module Status」はZentyalの機能を拡張する「モジュール」を管理する画面です。サーバーが特定の状態になったときのアクションを設定できるEventモジュールと,設定変更やイベント発生を記録できるLogモジュールなら,最初からインストールされています。

また,モジュールには依存関係があり,例えばFirewallモジュールはNetworkモジュールが有効になっていないと起動できません。依存関係も,Module Status画面で確認できます。

図4 モジュールの管理画面

図4 モジュールの管理画面

「System」はZentyalの基本設定画面です。管理ユーザーや表示言語の設定,日付と時刻,Zentyalへのアクセス用ポート番号などの変更ができます。また,サブメニューからは設定のインポート・エクスポートやマシンの電源断や再起動も可能です。

図5 基本設定画面

図5 基本設定画面

なお表示言語を変更するためには,language-pack-zentyal-jaをインストールしておく必要があります。このパッケージは公式リポジトリには存在しないため,インストールしたい場合は後述のPPAを使用してください。

「Maintainace」は日々のサーバー管理で必要になるであろう,監視項目が並んでいます。例えばLogモジュールやEventモジュールを有効化しておくと,この画面から設定やログの閲覧ができるようになります。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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