Ubuntu Weekly Recipe

第261回 Ubuntu on Nexus 7を活用する

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

前回はNexus 7へUbuntuのインストールを行いました。今回はそのUbuntu on Nexus 7をなんとかして活用できないか模索してみます。

新しいNexus 7とNexus 10

先週のインストール編の公開前後でNexusシリーズに関するいくつかのニュースが流れていましたので,それについてまず紹介しておきます。

  • 3G対応版のNexus 7が日本でも販売されるようになりました。WiFi版と同様にUbuntuをインストールできるようですが,3G経由でのネットワーク設定での問題が報告されていますので,3G部分が動くかどうかは不明です。つまり,新しいNexus 7を買って古い方をUbuntu化するチャンスです。

  • Nexus 10が日本でも販売されるようになりました。ただしSoCがTegraではなくサムスンのExynosなので,既存のイメージは動作しません。同じExynos 5250を採用しているChromebook用のイメージを使えば動く「かも」しれません。

  • 起動後一度サスペンドしなくても,サウンドが再生されるようになりました

さまざまなデバイスとデータの送受信をする

携帯端末の利便性においてもっとも重要な点の一つは,データの移動方法です。そこでUbuntu on Nexus 7において利用できるデータの送受信方法を,対象のデバイスごとに考えてみましょう。

PCとの送受信

Ubuntu on Nexus 7は,ソフトウェアとしてはPCと代わりありません注1)⁠このため,一般的なPC間のファイル共有を行うと考えましょう。そうするとネットワーク経由で行うのが一番,手間や速度のバランスがとれていることがわかります。

注1
このため,残念ながらMTPやUSBマスストレージのように,USBケーブルで接続すると自動的にマウントされるような仕組みは現時点では存在しません。
SCP/SSHFS

既に送受信したいマシンにSSHサーバーが導入されているのであれば,SCPやSSHFSを使うのが一番かんたんです。標準のファイルブラウザーであるNautilusを使えば,GUIでもファイルのやりとりを行えます。

SSH用の鍵の作成やNautilusを使ったファイルのやりとりについては,Recipeの第40回第53回を参照してください。

前回のRecipeでは,デバッグ用にNexus 7にもopenssh-serverを導入する設定も紹介しました。これを行っている場合はPC側のNautilusからNexus 7内部のファイルを閲覧することも可能です注2)⁠ただ,Nexus 7を外に持ち歩き,公衆無線LANなどに接続する場合は取扱いに注意してください。

注2
ただし13.04のNautilusはだいぶ機能が削られており,⁠サーバーへの接続」インターフェースも,プロトコル名を手入力しなければいけないなど,かなりシンプルなものになっています。
Samba

Windows PCが相手であれば,Samba経由でファイルを共有すると良いでしょう。Windowsに限らずSSHサーバーもしくはクライアントが導入されていない環境や,特定のフォルダーのみ公開したい場合は,こちらの方法が簡単です。UbuntuにはSambaクライアントが最初から入っているため,コマンドラインでもGUIでも好きな方からWindows PC上の共有フォルダーにアクセスできます。

Windowsではなく,UbuntuのフォルダーをSambaで公開したいのであれば,公開する方のNautilusで公開したいフォルダーを右クリックし「共有のオプション」を選択します。あとは表示されるダイアログの「このフォルダーを共有する」にチェックをいれると必要なパッケージがダウンロードされ,共有状態になります。

図1 ⁠このフォルダーを共有する」にチェックをつける

図1 「このフォルダーを共有する」にチェックをつける

ちなみにゲストログインを許さない場合は,Sambaパスワードを設定する必要があります。次のコマンドを用いて公開するマシンの方で,パスワードを設定してください。

$ sudo smbpasswd -a "ユーザー名"

次に閲覧したい方のマシン(今回はNexus 7)で,Nautilusの「ネットワークを表示」を選択します。公開しているマシンのホスト名が一覧に表示されますので,それを選択し,最終的にsmbpasswdで設定したユーザー名とパスワードを入力すれば接続完了です。あとは普通のファイル操作と同じように共有できます。

最近のブロードバンドルーターには,ルーターにUSBディスクを接続することで簡易NASとして使用できるものがあります。この場合も同様の接続方法で利用できるため,PC/Nexus7側にSambaクライアントさせ用意すれば,Sambaサーバーがなくても同じネットワーク内部のマシンでファイルを共有できます。

Bluetooth

サイズの小さなファイルであれば,Bluetoothのファイル転送機能を使うという手もあります。

まずはペアリングをしておきます。どちらかのデバイスをインジケーター領域のBluetoothアイコンから「可視状態」にした上で,もう片方のデバイスからBluetoothの追加を行います。PINコードの入力と承認を行えばペアリング完了です。

次にファイルの送受信を行うためには,Dashで「パーソナルファイル共有」ダイアログを開きます。ダイアログ側の問題でとても縦長になっていますが,Alt+Spaceによるウィンドウの移動などを駆使して,⁠Bluetooth越しに受信した...」にチェックをいれてください。

図2 パーソナルファイル共有で共有オプションを設定できる

図2 パーソナルファイル共有で共有オプションを設定できる

あとはBluetoothアイコンから「ファイルを送信」を選び,ファイルと送信先を選択すれば送信できます注3)⁠

ただあまり速度が出るわけではない上に,機種によって相性があるみたいなので,⁠もう一つの方法」ぐらいの考えで心にとどめておきましょう。

注3
13.04では"Bluetooth Settings"から送信できます。
USBメモリーやSDカード

ネットワークが使えないのであれば,物理的なストレージを接続してファイルを移動しましょう。

Ubuntu on Nexus 7では,⁠OTGホストケーブル」をUSB端子につなげば,通常のUSB端子として使えます。ここに例えばUSBメモリーやSDカードリーダーをつないでファイルを保存し,そのUSBメモリーやSDカードリーダーを転送先のPCにつなぎなおしてファイルをコピーすれば,転送完了です。

OTGホストケーブルを持ち合わせていないと使えない手ではありますが,無線LAN経由に比べれば速度は出ますので,サイズの大きいファイルや大量のファイルを転送する場合は,この方法を使うと良いでしょう。

スマートフォンとの送受信

スマートフォンで撮影した画像をNexus 7に転送したり,Nexus 7のデータをスマートフォンに送信できると便利でしょう。この場合,スマートフォン側にインストールできるクライアント/サーバーの種類が限られることに注意が必要です。

ESファイルエクスプローラー

Androidには標準のファイルブラウザーが存在しないため,Google Playから好みのファイルブラウザーをインストールするのが一般的です。その中でもESファイルエクスプローラーは,使いやすく機能も豊富な人気ブラウザーです。Ubuntu Oneにも対応しているので,Ubuntuユーザーなら使っている方も多いでしょう。

Android側でUbuntu上のファイルを送受信したいなら,ESファイルエクスプローラーのLANもしくはFTP機能を使いましょう。Ubuntu側でSambaサーバーを導入しているならLAN機能を,SSHサーバーを導入しているならFTPのSFTP機能を使います。ESファイルエクスプローラーの左上のビューを変更ダイアログを開き,あとは画面の指示にしたがえば接続完了です。

Ubuntu側からAndoroid上のファイルを送受信したいなら,ESファイルエクスプローラーの「リモート管理」が便利です。設定の「リモート設定>リモート管理」にチェックを入れると,一時的にAnonymous接続可能なFTPサーバーが立ち上がり,通知領域にIPアドレスとポート番号が表示されます。あとはNautilusの「ファイル>サーバーへ接続」を開いて上記のアドレスを入力すれば接続完了です。

図3 Nautilusの「サーバーへ接続」で,⁠ftp://スマートフォンのIPアドレス:ポート番号/」を入力

図3 Nautilusの「サーバーへ接続」で,「ftp://スマートフォンのIPアドレス:ポート番号/」を入力

図4 Nautilusの「サーバーへ接続」で,⁠ftp://スマートフォンのIPアドレス:ポート番号/」を入力

図4 Nautilusの「サーバーへ接続」で,「ftp://スマートフォンのIPアドレス:ポート番号/」を入力

Ubuntu OneやDropbox

サーバーを用意できない場合は,オンラインストレージサービス経由でのファイルの送受信が手間なく行えるでしょう。Ubuntu OneやDropboxは,それぞれ専用のAndroiidクライアントがありますし,上記のESファイルエクスプローラーを使ってやりとりすることも可能です。

他の方法に比べると転送速度は出ませんが,Nexus 7側にもPC版のUbuntu OneやDropboxクライアントを入れておけば,同期を簡単に行えるというメリットがあります。

Bluetooth

スマートフォンであれば大抵はBluetooth機能がついているものと思います。スマートフォンで撮影した写真ぐらいであれば,⁠PCとの送受信」と同じ方法で,Bluetooth経由での送受信を行うのが一番簡単かもしれません。

AirDroid

Android自体操作したいのであれば,AirDroidを使うのも良いでしょう。Android端末上にAidroidをインストールし起動します。画面にアクセス用のURLとパスコードが表示されるので,Ubuntu上でブラウザを開きそのURLにアクセスしてください。

図5 AirDroidで,Nexus 7上のブラウザーからスマートフォンを操作

図5 AirDroidで,Nexus 7上のブラウザーからスマートフォンを操作

あとは,ブラウザごしにAndroid端末の中身を操作できますし,ファイルのアップロードやダウンロードも行えます。ただタッチスクリーンのイベントをUbuntu上のブラウザがうまくハンドリングできないこともあるようなので,その場合はマウスを別途USBやBluetoothで接続しておくと快適です。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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