Ubuntu Weekly Recipe

第432回 HP EliteBook Folio G1のUbuntu ロードテスト

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Ubuntuのインストール

準備は整いました。早速Ubuntuをインストールしてみましょう。ライブUSBから再度ブートし,デスクトップにあるアイコンをクリックします。あとは案内に従って手順を踏みます。

インストール後に再起動すると,あっさりUbuntuがブートしました。ブートにかかる時間はWindows 10の倍くらいですが,SSDの恩恵でE420よりもかなり速く,筆者の満足度上昇に貢献しました。

ライブ起動の際に見つけたマウスカーソルの不具合ですが,予想に反してきちんと表示されました。⁠ディスプレイ設定」「メニューとタイトルバーの拡大縮小」をいじるとCompizが再起動しますが,実用上は問題なさそうです。

ファンレスのため発熱が心配ですが,パームレスト周辺の温度上昇は穏やかでした。熱源はヒンジ直下のシステム基盤に集中しており,この近辺は映像再生時には長時間接触したくない程度に熱くなりました。

機能の利用可否

インストールできたからと言って,Ubuntuからマシンの諸機能をきちんと利用できなければ,だいぶ使用感は損なわれます。そこで,いくつかの項目について検証していきました。結果から言うと,実用上は問題ないように思いました。

Wifi

筆者は室内に802.11gのアクセスポイントを設置しており,UnityのIndicatorから設定して問題なく接続できました。802.11nや802.11acはアクセスポイント側の設定変更の面倒が先行してしまったため,試していません。

Bluetooth

筆者の持つBluetooth 4.0以前の古いデバイスは,Ubuntuの設定のBluetoothウィンドウから問題なくペアリングできました。

図6 マウスとキーボードをペアリングした状態

画像

サスペンド

Unityのツールバーなどで明示的にサスペンドを行った場合は機能しました。しかし,ディスプレイを閉じる・開けるといったジェスチャーへの連携はできないようでした。これは,⁠システム設定」「電源」で適切な設定を行った場合でも同様でした。

バッテリー

満充電時,UnityのIndicatorでは10時間近く放電可能と表示されました。ディスプレイのバックライトを調節して輝度を上げると極端に減少することから,残り時間は時々の消費電力から計算されているようでした。

タッチパッド

タッチパッドの左下/右下押し下しはそれぞれマウスの左クリック/右クリックに相当しており,きちんと機能しました。パッド上のドラッグ,タップなども,期待通り機能しました。

マニュアルによると,クリックパッドでは2本指での操作として以下を行えるようです。しかし筆者が試す限り2本指スクロール以外の操作を行うことができませんでした。

  • 2本指の縦スクロールで画面移動
  • 2本指クリックで右クリックメニュー表示
  • 2本指のピンチ/ストレッチで拡大/縮小

またパッドの左上をタップすることでパッドの全機能を一時的にフリーズできるようですが,これは機能しませんでした。おそらく,パッドの入力を検出してGUIソフトウェアに伝えないような対応が,ソフトウェア側に必要なのだと思います。パッドは感度がよく,不慮に触ることで作業が妨害されることがあるため,ぜひ機能させたいと思いました。

音声

内部スピーカーからの音声出力は無難に行えました。イヤフォンのステレオミニプラグ挿入で音声出力が切り替わりました注8)⁠

注8
この切り替えはハードウェアが実現しているわけではなく,本連載の第225回で紹介したソフトウェア機能によるものです。そのため,システムがブートしていない場合は音声切り替えが行われません。

ハードウェア動画再生支援

Intel社のチップセットには動画再生支援機能が実装されており,典型的にはVA-APIというプログラミングインターフェイスからドライバを制御することで利用可能です。VA-APIのアプリケーションであるvainfoというコマンドで機能の詳細を出力できます。筆者の場合は以下のようになりました。

$ sudo apt install vainfo
$ vainfo
libva info: VA-API version 0.39.2
libva info: va_getDriverName() returns 0
libva info: Trying to open /usr/lib/x86_64-linux-gnu/dri/i965_drv_video.so
libva info: Found init function __vaDriverInit_0_39
libva info: va_openDriver() returns 0
vainfo: VA-API version: 0.39 (libva 1.7.1)
vainfo: Driver version: Intel i965 driver for Intel(R) Skylake - 1.7.1
vainfo: Supported profile and entrypoints
      VAProfileMPEG2Simple            : VAEntrypointVLD
      VAProfileMPEG2Simple            : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileMPEG2Main              : VAEntrypointVLD
      VAProfileMPEG2Main              : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointVLD
      VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointEncSliceLP
      VAProfileH264Main               : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264Main               : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264Main               : VAEntrypointEncSliceLP
      VAProfileH264High               : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264High               : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264High               : VAEntrypointEncSliceLP
      VAProfileH264MultiviewHigh      : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264MultiviewHigh      : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264StereoHigh         : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264StereoHigh         : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileVC1Simple              : VAEntrypointVLD
      VAProfileVC1Main                : VAEntrypointVLD
      VAProfileVC1Advanced            : VAEntrypointVLD
      VAProfileNone                   : VAEntrypointVideoProc
      VAProfileJPEGBaseline           : VAEntrypointVLD
      VAProfileJPEGBaseline           : VAEntrypointEncPicture
      VAProfileVP8Version0_3          : VAEntrypointVLD
      VAProfileVP8Version0_3          : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileHEVCMain               : VAEntrypointVLD
      VAProfileHEVCMain               : VAEntrypointEncSlice

MPEG2 Video,H264/AVC,VC-1,VP8,H.265/HEVCの主要なプロファイルをデコード可能であることが伺えます。gstreamerなどVA-APIを利用するアプリケーションにおいて,デコード処理のハードウェアオフロードによる消費電力低減が期待できます。

ホットキー連携

F1キーからF12キーは,デフォルトではホットキーとして動作します。ボタンの刻印からは,以下の機能を意図していることがわかります。

  • F1:通話開始
  • F2:通話終了
  • F3:カレンダー表示
  • F4:マイクオフ
  • F5:スピーカーオフ
  • F6:音量を下げる
  • F7:音量を上げる
  • F8:外部モニター切り替え
  • F9:キーボードバックライト光量変更(3段階)
  • F10:ディスプレイ輝度下げる
  • F11:ディスプレイ輝度上げる
  • F12:Wifi機能の有効化・無効化

筆者が試す限り,F1ないしF3,F8およびF12は機能しませんでした。

トラベルドック

今回筆者は古い周辺機器も併用したかったので,オプションのトラベルドックも購入しました。トラベルドックは以下の機能を持ちます。

  • マニュアルやドライバを提供するUSB Mass Storage device
  • USB 2.0ポート1基
  • USB 3.0ポート1基
  • イーサネット向けRJ-45ジャック
  • 外付けディスプレイ用VGAジャック
  • 外付けディスプレイ用HDMIジャック

USB Mass StorageにはFAT16ファイルシステムが入っていますが,読み出し専用でした。VGAコネクタおよびHDMIジャックですが,外部ディスプレイを接続してもUbuntuからはその認識ができませんでした。

ゴム製のカバーは粘着テープで接着されていて,剥がすとネジが露出します。試しに内部基盤を確認したところ,RGB/HDMI出力を担当するチップには「DisplayLink」と印刷されていました。筆者は扱った経験がなく対応方法がわかりませんでした。

なおドック接続中はバスパワー供給のため放電量が増えるようで,バッテリー使用可能時間が短くなる点に留意してください。

まとめ

HP EliteBook Folio G1はUbuntuとの相性がそれなりによく,使用する上で苦労することは少なそうです。今回筆者はこのレシピの原稿をこのマシンで書きましたが,特にストレスはありませんでした。日々持ち歩くマシンとしてちょうどよいと思いました。

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。