Ubuntu Weekly Recipe

第434回LibreOffice 5.2をインストールする

今回は、ただLibreOffice 5.2をインストールするだけの記事です。

インストール方法が増えたLibreOffice 5.2

Ubuntuとそのフレーバーの多くは11.04からLibreOfficeをプリインストールしています図1⁠。LibreOfficeのサポート期間は当然のことながらUbuntuと同じで、12.04 LTSの3.5.7という今となってはとても古いバージョンもメンテナンスされ、Ubuntu Weekly Topics 2016年8月12日号にもあるとおり先日セキュリティの修正が行われました。長期間に渡って同じバージョンを使い続けたい場合は、デフォルトのままで使用するのがベストです。本記事では「Ubuntu版」と称します。

図1 筆者が仮想マシン上で動態保存しているUbuntu 11.04のLibreOffice 3.3.4
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さすがに12.04 LTS向けにはないものの、新し目のリリース版[1]ではPPAでのパッケージ提供が行われています。このPPAのサポート期間はあくまでアップストリームに従うものであり、LTSにインストールする場合は常にLibreOfficeをアップデートしていくことになります。本記事では「PPA版」と称します。

LibreOffice、組織的にはThe Document Foundation(以下TDF)はオフィシャルビルドを用意しています。もちろんUbuntuでも動作しますし、Ubuntu版とも同居できるため、ちょっと新しいバージョンを使ってみたいという場合には便利です。ただしサポート期間は原則として11ヶ月であり、長期間使いたい場合は商用版を購入する必要があります。いちおう建前ではそうなっていますが、UbuntuではUbuntu版を使うのがベストでしょう。本記事では「オフィシャル版」と称します。

ここまでは今までと同じですが、16.04 LTSのリリース以降Canonicalはsnapパッケージに力を入れています。snapパッケージは既存のパッケージには一切触らず、セキュアでロールバックも簡単にできると、あらゆる意味で安全に使用できるようになっています。今回CanonicalがTDFのアドバイザリーボードに加入和訳したこともあってか、snap版LibreOfficeも配布されています。本記事では「snap版」と称します。

また、Flatpakという別の新しいパッケージングシステムもあります。特徴としてはsnapパッケージとよく似ていますが、実装は全く異なります。ここで取り上げたということは、もちろんUbuntuでも動作するということです。本記事では「Flatpak版」と称します。

snapパッケージは何にでも使えることを意図していますが、Flatpakは原則としてはデスクトップアプリケーション用なので、完全に対立するものではありません。

ほかにはソースコードから自力でビルドしてインストールする方法もありますが、今回は取り上げません。

というわけで、長くなりましたが、PPA版、オフィシャル版、snap版、Flatpak版の4つの方法でのインストール方法を解説します。

LibreOffice FreshとStill

オフィシャル版LibreOfficeは同時に2バージョンがメンテナンスされています。新しい方が"Fresh"(最新版⁠⁠、古いほうが"Still"(安定版)です。現在は"Fresh"は5.2系列で、"Still"は5.1系列です。5.2がリリースされる前は5.1系列が"Fresh"、5.0系列が"Still"でした[2]⁠。

"Fresh"はリリースされたばかりでサポート期間も長く、新機能もいろいろありますが未修正の不具合が多く、"Still"は残りのサポート期間はあまり長くないものの不具合の修正が進み、いわゆる「枯れた」状態にあるといえます。

これはLibreOffice独自であまり馴染みがないため、ここで紹介しました。

PPA版のインストール

まずはPPA版からインストールを行います。より正確には、Ubuntu版をアップデートします。たった3つのコマンドを実行するだけです。

$ sudo add-apt-repository ppa:libreoffice/libreoffice-5-2
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade

⁠LibreOffice Packaging⁠⁠ teamのページを見ると、いろいろなリポジトリがあります。"LibreOffice Fresh"というのもあるので、バージョン固定ではなく常に新しいバージョンを使用したい場合は、こちらを使用するといいかもしれません[3]⁠。

前述のとおりPPAからのインストールはUbuntu版に上書きすることになるので、起動方法はUbuntu版と同じです。

図2 ⁠このリリースはThe Document Foundation, Debian and Ubuntu が提供しました」となっており、これはUbuntu版あるいはPPA版である証拠である
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PPAに関して詳細は第314回第419回も参考になります。

オフィシャル版のインストール

オフィシャル版はまずパッケージをダウンロードするところからはじめます。前述のとおり5.2は5.3(予定)がリリースされるまでは"Fresh(最新版)"に該当するため、LibreOfficeのWebサイトにアクセスし、⁠ダウンロード⁠⁠—⁠LibreOffice 最新版]をクリックします。ここで[ダウンロードバージョン X.X.X]をクリックし、本体をダウンロードします。アーキテクチャ(x64かx86か)とパッケージの種類(debになっているか)を確認してください。続けて"Translated user interfaces"をクリックして言語パックをダウンロードします。

実際にインストールを行いますが、今回は例として5.2.0をインストールします。ダウンロードしたバージョンがより新しい場合は、適宜バージョン番号を読み替えてください。

インストールするコマンドは次のとおりです。

$ cd (ダウンロードしたフォルダー)
$ tar xf LibreOffice_5.2.0_Linux_x86-64_deb.tar.gz
$ tar xf LibreOffice_5.2.0_Linux_x86-64_deb_langpack_ja.tar.gz
$ cd LibreOffice_5.2.0.4_Linux_x86-64_deb/DEBS/
$ sudo dpkg -i *.deb
$ cd ../../LibreOffice_5.2.0.4_Linux_x86-64_deb_langpack_ja/DEBS/
$ sudo dpkg -i *.deb

起動はUnity Dashで見るとわかりやすいのですが図3⁠、⁠LibreOffice][LibreOffice 5.2]があり、後者が今回インストールしたオフィシャル版LibreOfficeです。

図3 Unity Dashで2つのLibreOfficeが表示されている
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図4 ⁠このリリースはThe Document Foundation が提供しました」となっており、オフィシャルビルドであることがわかる
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アンインストールはやや面倒ですが、5.2の場合は次のコマンドを実行します。

$ sudo apt purge libreoffice5.2* libobasis5.2*

snap版のインストール

snap版のインストールはWebページにもあるとおり、次のコマンドを実行するだけです。

$ sudo snap install --channel=beta libreoffice

起動は次のコマンドを実行します。

$ /snap/bin/libreoffice

まだベータチャンネルにあるからか、英語メニューでかつルック&フィールが見慣れたものと異なり、Fcitxも起動せず日本語も入力できません。実用段階に至るにはまだまだ時間がかかりそうです。

図5 snap版ではOS Versionが「unknown」になっており、カーネルのバージョンも取得できないほど強いセキュリティであることがわかる
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アンインストールは次のコマンドを実行します。

$ sudo snap remove libreoffice

Flatpak版のインストール

Flatpak版は、そもそもFlatpak自体がUbuntuのリポジトリにないため、まずはインストールするところからはじめます。

これも概ねWebページのとおりで、事前に[DOWNLOAD LIBREOFFICE.FLATPAK]をクリックしてダウンロードしておいてください。

コマンドは次のとおりです。

$ sudo add-apt-repository ppa:alexlarsson/flatpak
$ sudo apt update
$ sudo apt install flatpak
$ wget https://sdk.gnome.org/keys/gnome-sdk.gpg
$ flatpak remote-add --user --gpg-import=gnome-sdk.gpg gnome https://sdk.gnome.org/repo/
$ flatpak install --user gnome org.gnome.Platform 3.20
$ flatpak install --user --bundle (ダウンロードしたフォルダー)/LibreOffice.flatpak

これでインストールができました。ご覧のとおり、Flatpakそのもののインストール以外はユーザー権限で行われており、snapパッケージとの違いがわかりやすいです。

起動は次のコマンドを実行します。

$ flatpak run org.libreoffice.LibreOffice

メニューは日本語になっていますし、Fcitxによる日本語入力も若干不便ですが可能ではあります。

図6 Flatpak版は、それとわかる文字列がある
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アンインストールは次のコマンドを実行します。

$ flatpak uninstall --user org.libreoffice.LibreOffice

LibreOffice 5.2の新機能は『Software Design』にて

現在発売中のSoftware Design 2016年9月号に掲載されている「Ubuntu Monthly Report」ではLibreOffice 5.2の新機能について解説しています。ご一読いただければ幸いです。

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