Ubuntu Weekly Recipe

第447回 Unity 8をちょっとだけ体感してみる

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デスクトップアプリのインストール

Unity 8はディスプレイサーバーとしてX Window SystemではなくMirを採用しています。よってX Window Systemに依存するソフトウェアは動きません。しかしながらMir上で動くXサーバーであるXMirを経由すれば,そのようなソフトウェアを動かすことができます。Ubuntu Touchでは「デスクトップアプリ」という名前で,スマートフォン上でUbuntuリポジトリに存在するGUIアプリケーションを起動する仕組みを提供しています。

しかしながらUbuntu Touch上のシステム領域は読み込み専用であるため特別な設定をしない限り,aptコマンドでパッケージをインストールできません。そこでデスクトップアプリをインストールするための隔離環境を読み書き可能なホームディレクトリ以下に作成し,そこにパッケージをインストールする方法を採用しています※6)⁠それがLibertineです。第439回で紹介したLibreOfficeをUbuntu Touch上で動かす方法もこの仕組みを使っています。

※6
Ubuntu Touchではただchrootしているだけで,デスクトップ版ではLXCを使っています。いずれも将来的にはLXDに移行する予定です。

デスクトップ版のUnity 8でもこの仕組みを使えます。つまりUnity 8上で,LibreOfficeを始めとしたデスクトップアプリケーションを起動できることになります。まずは必要なパッケージをインストールしましょう。このうちlibertineパッケージがLibertine環境をGUIで管理するLibertineアプリで,libertine-scopeはLibertine環境にインストールしたアプリケーションのランチャースコープ,libertine-toolsはLibertine環境をCUIから管理するツールです。

$ sudo apt install libertine libertine-scope libertine-tools

インストールが完了するとアプリスコープに,シルクハットの形をした黒いアイコンがあらわれるはずです。アイコンをクリックするとLibertineアプリが起動しますので,⁠Install」ボタンを押します。続いてあらわれる「Container Options」は空のまま「OK」を押してかまいません。空のままだとi386関連のパッケージはインストールされず,コンテナ名は自動的に決定され,パスワードは空の状態となります。以降,環境が作られるまでしばらくかかります。

図10 Libertineアプリ

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図11 Container%20Optionsは基本的に空のまま

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図12 右端のローディングマークが消えたら作成完了

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コンテナは~/.cache/libertine-container/コンテナ名以下に作成されます。コンテナ名は指定していない場合はリリース名(yakkety)になっています。ちなみに複数のコンテナを作成することも可能です。コンテナが完成したらコンテナ名をクリックし,右上にあらわれる「+」ボタンを押してください。以下のように選択肢があらわれるはずです。

図13 パッケージのインストール

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「Enter package name or Debian file」はパッケージ名かDebianパッケージファイル名を指定してインストールします。⁠Choose Debian package to Install」はダウンロードディレクトリにあるDebianパッケージファイルを選択してインストールします。⁠Search archives for a package」はアーカイブから指定したパッケージを検索し,リストアップします。リストをクリックするとそのパッケージをコンテナの中にインストールします。ためしに最初のボタンからLibreOfficeをインストールしてみましょう。

図14 パッケージ名として「libreoffice」を指定する

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しばらく待つとローディングマークが消えてインストールが完了します。次はインストールしたデスクトップアプリを表示するスコープを使ってみましょう。スコープはスコープアプリ(Scopes)上の検索プラグインです。スコープを追加することで,さまざまなコンテキストの検索機能を追加できます。アプリのドロワーもアプリスコープとして実装されています。

スコープの管理はスコープアプリの画面下部にあるハンドルを上に引っ張りあげるかクリックすると表示されます。⁠Home」にあるスコープがホームから表示されるスコープで,⁠Also Installed」にあるスコープがインストール済みのスコープです。星アイコンをクリックすると,インストール済みのスコープがホームに移動します。スコープの管理画面から「Desktop Apps」を有効化しましょう。次にアプリスコープ上でカーソルを右にドラッグします。するとDesktop Appsスコープが表示され,そこにLibreOfficeのアイコンが表示されているはずです。あとはアイコンをクリックするだけでLibreOfficeが起動します※7)⁠

※7
16.10のUnity 8ではアプリスコープ上にもデスクトップアプリケーションが表示されるようなので,Desktop Appsスコープをあえて有効化しなくてもいいかもしれません。

図15 スコープの管理

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図16 Desktop Appsスコープ

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デスクトップアプリケーションでないパッケージをインストールしたい場合,Libertineアプリよりも端末からインストールできたほうが便利です。たとえば日本語フォントや言語パックをインストールするなら,次のようにlibertine-container-managerコマンドを使うとよいでしょう。

$ libertine-container-manager exec -c "apt install -y fonts-takao language-pack-ja libreoffice-l10n-ja"

図17 画像ギャラリー

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えっ,これだけ?

はい,これだけです。⁠プレビュー」しようにも,⁠デスクトップでもUnity 8が起動しました!」で終わりそうな勢いでしたね。

さて,半年後のリリースに向けて現在開発中のUbuntu 17.04 Zesty ZapusのUnity 8は,もう少しまともになる見込みです。少なくともUbuntu Store機能が追加され,Ubuntu Storeからsnapパッケージを検索・インストールできるようにはなるはずです。

さらにUnity 8そのものをsnapパッケージ化した環境も提供されています。snap版のUnity 8であれば,すでにUbuntu Storeに対応済みです。Ubuntu Personalではsnapからイメージを作成する計画が進行中で,Unity 8のsnapパッケージもそこで使われることになります。つまりテクニカルプレビューのさらにプレビューみたいな位置づけです。

デスクトップでもようやく目に見える動きが出てきたUnity 8,これを機にその先っぽを少しだけ触ってみるのはいかがでしょうか。

図18 zestyのsnap版Ubuntu Store

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著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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