Ubuntu Weekly Recipe

第452回 Ubuntu 16.10リリース記念オフラインミーティング参加レポート

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セミナー1「オレのUbuntuノートPCセットアップ」

トップバッターは,Ubuntu Japanese TeamメンバーでCanonical社員でもある村田さんによる,「オレのUbuntuノートPCセットアップ」です。

図7 村田さん

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村田さんは,Ubuntu環境で使われているツールや設定について,便利な小技の数々をおしみなく紹介しました。⁠みなさまのUbuntuライフに役立つ情報が1つか2つぐらいあることを願って」とのことでしたが,多くの方はそれまで知らなかった便利技がいくつも見つかったのではないでしょうか。私個人的にはクリップボード,indicator-multiload,Git prompt,lessfilter + Pygmentsでlessのシンタックスハイライト,がとくに気になりました。

図8 Git Prompt

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そして,村田さんはこれらの設定をまとめて適用するために必要なファイル一式をGitHubに置いています。git clone && makeを実行して,鍵などの秘密な項目をバックアップからリストアすれば,今回紹介された設定が完了してしまうそうです。GitHubを見させていただいたところ,構成管理ツールのAnsibleを使って設定を反映させているようです。OSインストール後に手作業で設定するのは面倒なので,ぜひ参考にさせていただきたいです。

図9 git clone && makeで設定

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セミナー2「脳画像解析とUbuntu」

続いて,筑波大学医学医療系精神医療の根本清貴さんによる「脳画像解析とUbuntu」です。根本さんは筑波大学附属病院で精神科医として勤務しており,研究として脳画像解析を行っているそうです。根本さんが今回のオフラインミーティングに登壇された目的は,Ubuntuが脳画像解析の分野でかなり役に立っていることを伝えたい,また,Ubuntuユーザーの方々と知り合って,将来的に研究,開発ができたらうれしい,ということだそうです。

図10 根本さん

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筆者が事前に想像していた内容は,Ubuntu上で脳画像解析のソフトウェアが説明されるというものでした。たしかに脳画像解析についての説明もあったのですが,メインの話題は,Lin4Neuroという独自パッケージを作って公開したという内容でした。コンピューターに詳しくなかった方が,ここまでLinuxやUbuntuと深く関わっていった経緯がたいへん興味深かったです。

脳画像解析とは,主に脳のMRI画像を材料として脳を調べることだそうです。脳画像解析のソフトウェアは圧倒的にオープンソースが多く,UNIX系OSでしか動かないものが多いとのことです。Linuxが必要な脳画像解析の例として,脳ネットワークの時系列解析を挙げていました。

図11 脳画像解析ソフトウェア

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図12 脳ネットワーク解析

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根本さんがLinuxやUbuntuとの関わるようになったきっかけは,N3という脳画像解析のソフトウェアがLinuxでしか動作せず,必要に迫られてLinuxとソフトウェアをインストールしたことだそうです。このときはソフトウェアのインストールだけで半年かかったとか。インストールが成功した後は,あちこちから環境構築を頼まれるようになったそうです。

そしてインストール作業をもっと簡単にしたいという動機から,脳画像解析に必要なソフトウェアのパッケージ化を一人で進め,2011年からLin4Neuroとして公開したそうです。また,最小限のUbuntuをインストールしてからLin4Neuroを構築するまでの一連のスクリプトをGitHubで公開しています。

図13 Lin4Neuro

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図14 Lin4Neuroのスクリーンショット

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脳画像解析チュートリアルという講座を毎年開催しており,コンピューターに詳しくない参加者を相手に,Lin4Neuroのインストールから使い方まで教えているそうです。根本さんは「1月の講座で使用したVMと資料をサイトに掲載しているので,興味のある方はご覧になって改善点などがあれば教えていただけるとうれしい」と述べていました。

解析の処理はかなり時間がかかるためシェルスクリプトはほぼ必須で,海外ではPythonのプログラマーが脳科学の研究所に雇われています。このように脳科学は多方面とかかわりがあるため,今後,いろいろな分野の方とコラボレーションしていきたいとのことでした。

著者プロフィール

よこざわかおり

普段はStellariumというプラネタリウムソフトの翻訳に参加している。UbuntuのライトユーザーとしてUbuntu Japanese Teamのイベントにもよく一般参加している。