Ubuntu Weekly Recipe

第452回 Ubuntu 16.10リリース記念オフラインミーティング参加レポート

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ライトニングトーク2「同人サークル的OSSの使い方」

学生のゆーてーまいとさんによる「同人サークル的OSSの使い方」です。ゆーてーまいとさんはいつもスタッフとして参加しているそうですが,今回は発表者としての登場です。

図26 ゆーてーまいとさん

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ゆーてーまいとさんは文字ジャンルの同人サークル活動を行っていて,原稿書き,書類作成,Webサイトの運営などにLinuxを使っています。以前はGentooとUbuntuをデュアルブートで使っていたとのことですが,Ubuntuだけ壊れてしまい,今はGentooだけ使っているそうです。

図27 同人活動で使っているソフトウェア

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使っているソフトウェアとして,まずLaTeXを紹介しました。LaTeX(ラテフまたはラテック)は,文章とコマンドを記述したテキストファイルを元に,きれいに整形されたPDFやPostScriptなどを生成してくれるソフトウェアです。LaTeXは複数のソフトウェアの集合体なので一からインストールするのは大変ですが,TeX Liveのようなディストリビューションを使えば簡単にインストールできます。

ゆーてーまいとさんのサークルでは,お金や人がなく執筆以外は自動化したいという理由により,注文書や領収書,一部の本などはLaTeXで自動生成しているそうです。また,文章系のサークルなので,原稿作成もLaTeXで統一しているとのことです。LaTeXを選んだ理由として,⁠TeX Liveならaptコマンドで簡単に入れられる」⁠数式を書くのに向いている」⁠テキストなのでバージョン管理しやすい」といった事柄を挙げていました。

図28 LaTeX

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次に紹介したのは,数値計算に使われているGMPとMPFRです。GMPとMPFRはどちらもGCC用の数値計算ライブラリーです。GMPやMPFRを使うと,CやC++のプログラムで桁数の多い数値計算を実行できるようになります。

ゆーてーまいとさんの同人活動ではとても時間のかかる数値計算を行っているので,遅いときはソースコードを読んで改造して計算時間を短縮するという力技を使っているそうです。数値計算では商用のMathematicaが有名ですが,ソースコードを読んで改造することはできないので使っていないとのことでした。

WebサーバーにはConoHaのコミュニティー支援を受けて使っているそうです。CPUに余裕があるため,裏で計算を動かしており,感触としては2か月程度の連続計算には耐えらるのではないか,とのことです。

ファイル管理はGitHubだとプライベートリポジトリが有償なのでGitLabを使っており,そろそろ現在のWebサーバーに置くことを考えているそうです。ゆーてーまいとさんは「GitLabは便利ですが,ブラウザーから設定をしないといけないことがあって,そこは面倒だ」と述べていました。

最後に,⁠OSSを積極的に使うことによって同人活動が楽になるのではないか」と述べ,発表を締めました。

Ubuntu Touchと16.10の紹介

ゆーてーまいとさんの発表のあと時間に余裕があったので,Ubuntu Japanese Teamの柴田さんが飛び入りで,Ubuntu Touchと16.10について話しました。

図29 柴田さん

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柴田さんは最初に,Ubuntu Phone(Ubuntu Touchをインストールしたスマートフォン)のデモを行いました。Ubuntu Touchはスマートフォンやタブレット用のOSで,2か月に1回のペースでリリースされています。

筆者は今までのオフラインミーティングやオープンソースカンファレンスで何度か実物を見ていますが,徐々に機能が充実して完成度が高くなってきていると感じています。なお,Ubuntu TouchおよびUbuntu Phoneについては,Ubuntu Japanese Teamリーダーの小林さんが第263回で, 柴田さんが第310回第439回で取り上げています。

デモではまず,Ubuntu PhoneをHDMIでディスプレイに接続することで,端末の画面をタッチパッドとして使えることを示しました。端末の画面にソフトウェアキーボードを表示させて文字を入力することもできるし,コンソールも標準で入っています。

図30 Ubuntu Phoneのデモ(1)

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Ubuntu Phoneにいわゆる格安SIMを挿すと電話をかけることもできます。今回のデモでは,実際に177にかけて天気予報を聞けることを確認しました。

図31 Ubuntu Phoneのデモ(2)

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さらに,Ubuntu PhoneでLibreOfficeなどを動かすこともできます。ただしそこまで性能が高くないため,PCのようには快適に使えないとのことです。

次に,柴田さんは次のように解説を行いながら,Unity 8のデモを行いました。

最近ではUnity 7デスクトップの開発は減ってきています。そのかわり開発の動きが大きいのはSnapパッケージです。Unity 8はX Window SystemではなくMirというディスプレイサーバーの上で動きます。

今,Unity 8のSnapパッケージの開発が進んでおり,これをデスクトップに持っていけるように頑張っているところです。この前リリースされた16.10には最初からUnity 8がインストールされています。ログイン画面で右上の「Unity」というアイコンから「Unity 8」を選ぶと,Mirの上でQtベースのアプリケーションであるUnity 8が動きます。

さらに次のリリースでは,Unity 8をSnapパッケージ化して提供する予定です。SnapパッケージのUnity 8は,普段使っているUbuntuデスクトップと干渉せずに使えます。

次のLTSである18.04までにはなんとかしたいと話しているが,どうなるかは分かりません。これからUbuntu Weekly TopicsやWeekly RecipeなどでSnapについて紹介していくので,そこを見れば自分でパッケージを作ったりできるようになるはずです。

なお,第447回でもUnity 8について柴田さん自身が解説しています。

図32 SnapパッケージになったUnity 8の選択画面

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クロージング

最後に,いくつかの案内や告知が行われました。

まず,Ubuntu Japanese Teamからお願いがありました。メンバーは皆ボランティアで網羅的に見ることはできないので,もしこんな活動をしているということがあればメーリングリストなどで教えてほしいと話していました。翻訳については,⁠誰もレビューしていないときには,教えてもらえると誰かレビューできます。やったことは積極的に教えてくれたらうれしい」と述べていました。

また,Ubuntu Japanese Teamでは,OSC(オープンソースカンファレンス)にセミナーとブースで参加していること,同人誌『うぶんちゅ! まがじん ざっぱ~ん♪』を作っていることを紹介しました。同人誌の次号がいつ出るかは未定ですが,発行が近くなったらアナウンスがあるとのことです。

そして,次回のUbuntuオフラインミーティングについては,17.04リリースの頃,来年の4〜6月あたりの開催を考えているそうです。参考のためにイベントの感想をぜひTwitterやブログに書いてほしいと話していました。

最後に,じゃんけん大会の景品提供や,主催および会場を提供しているグリー株式会社,活動を支えているCanonical,そしてスタッフへの謝辞がありました。

ちなみにCanonicalの求人情報はCanonicalのサイトや,Twitterの「Ubuntu Careers」というアカウントを参照してほしいとのことです。

あとがき

レポートを書きながら録音を聞いてみたところ,聞きもらしたり理解できていなかったことがあまりにも多くてショックを受けました。また,過去のレポートを読み返してみると記憶が薄れていることがよく分かりました。せっかく参加したのだから,その場で終わらせずに,発表資料や関連資料にあたったり,ある程度覚えているうちにブログにレポートを書いたりすることが大事だと痛感しました。

今回,急きょ登壇の決まった方が多かったようです。もし,イベントで自分の興味のあることを誰も発表しないときには,自ら発表する側にまわるといいかもしれません。こんなテーマは受けが悪いだろうと思っても,話してみれば予想外に受けるかもしれません。というわけで,私も次回は発表する側に回れたらと思います。ほんとうに発表できるかどうかはさておき,また参加させていただく際はスタッフの皆さん,参加者の皆さん,よろしくお願いします。

もし,本レポートによってUbuntuオフラインミーティングにまだ参加したことのない方が少しでも興味を持ってくだされれば幸いです。また,このような貴重な機会を与えてくださったUbuntu Japanese Teamの皆さん,および技術評論社に感謝いたします。

著者プロフィール

よこざわかおり

普段はStellariumというプラネタリウムソフトの翻訳に参加している。UbuntuのライトユーザーとしてUbuntu Japanese Teamのイベントにもよく一般参加している。