Ubuntu Weekly Recipe

第463回 新学生・新社会人向けのUbuntuデスクトップ講座2017

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オフィス系アプリケーション

ウェブブラウザーやメーラーと共に職場でよく使われるのがWordやExcelに代表されるオフィス系アプリケーションだと思います。UbuntuではOpenOffice.orgの後継のひとつであるLibreOfficeが最初からインストールされています。LibreOfficeはApache OpenOfficeとは比較にならないほど開発が活発で,年2回の定期的なリリースごとにさまざまな機能の追加や不具合の修正が行われています。Microsoft Officeのファイルフォーマットも扱えるため,特殊なものでなければ閲覧・編集できます。

LibreOfficeについては,本連載でもここでリストアップするのが大変なほど何回も取り上げています。たとえば第448回の便利な機能の紹介などから,古い記事をたどっていくと良いでしょう。

PDFの閲覧にはEvince(ドキュメントビューアー)が使われます。過去にはAdobe Readerも提供されていましたが,現在ではいろいろと面倒な手間が必要であるため,Adobe Readerは使えないものと思ってください。最近だとウェブブラウザーに内蔵されたPDFビューワーを使うという手もあります。第205回ではLibreOfficeを使ってPDFを生成する方法や,第88回ではPDFファイルなどを効果的に表示させるプレゼンツールである「impressive」について紹介しています。

オフィス系ソフトウェアと一緒に使われる可能性が高いのがプリンターです。Ubuntuのプリンター事情はいろいろとベンダーごとに異なるため,簡単には説明できないのですが,PostScriptに対応したプリンターがある職場であれば比較的簡単に使えるかもしれません。第218回第271回などを参考にしてみてください。個人で購入するタイプのプリンターであれば第286回が参考になります。

バックアップ

バックアップは大事です。大事なことだからもう一度述べますが,バックアップは大事です。データを保存するストレージやデータベースは壊れるものです。しかも壊れてほしくないタイミングで壊れます。あいつら人の心(もしくはスケジュール)を読みやがるのです。だから常日頃からバックアップを心がけましょう。

バックアップはリストアするまでがバックアップです。大事なことだからもう一度述べますが,バックアップはリストアするまでがバックアップです。バックアップ手段を確立しただけで安心してはダメです。バックアップをとったものがきちんと期待通りにリストアできるか確認しましょう。そうしないと,リストアする段階で「実はバックアップできていなかった」ことが発覚し,YouTubeでリストアの様子を生放送する羽目になります

Ubuntuにはデータのバックアップ手段としてDéjà Dupがインストールされています。Ubuntuのインストール後,しばらくするとバックアップ手段を問い合わせてくるでしょう。第103回ではこのDéjà Dupの使い方について紹介しています。他にも第399回ではシンプルで使い勝手のいいTimeShift,第402回ではより高機能なSystembackなど,さまざまなバックアップツールとそのリストア方法を紹介しています。

端末アプリ

Ubuntu標準の端末(ターミナル)アプリはGNOME端末です。いわゆる「黒い画面に白い文字」の,文字だけで操作するインターフェースを提供するソフトウェアです。

Linuxに慣れないうちはあまり使うこともないかもしれませんが,Linuxの操作に慣れてくると端末アプリのほうが何かと便利だと感じることが増えてきます。たしかにUbuntuの場合はグラフィカルな操作でひととおりのことができます。ただ仕事上の作業を行うとなると,マウスに手をのばすことなくキーボード入力だけで完結し,繰り返しの操作なども機械に任せられる端末アプリ(の上で動くシェル)はとても強力な業務効率化ツールとなるのです。

第18回第19回第27回などでは「あえてターミナルを使う」ためのノウハウが掲載されていますし,第36回第38回ではいくつかの端末アプリそのものの紹介を行っています。第291回第292回第382回ではその端末アプリをさらに便利に使うための「ターミナルマルチプレクサー」について紹介しています。

最初のうちはとっつきにくいかもしれませんが,少しずつ端末アプリにも慣れていきましょう。きっとあなたの人生を助けてくれるようになるはずです。

ちなみに『Software Design 2017年4月号』では,⁠目的から考える! 実作業から学ぶLinux入門(OS操作編)⁠と題して,Linuxの基本的な端末操作の話を掲載しているようです。端末の操作に慣れたい場合は,こちらの記事も参考になるでしょう。

UbuntuのコミュニティとJapanese Team

Ubuntuはコミュニティベースで開発を行っています。Ubuntuについて質問したい,不具合を見つけたので報告したい場合は,コミュニティのページを参照してください。フォーラムメーリングリストでは質問や有志による回答が行われています。日本語Wikiでは,Ubuntuの使い方やイベントの打ち合わせや開催報告,開発用の作業ページなどを掲載しています。

Ubuntuコミュニティは世界中からたくさんの人が参加するコミュニティですので,円滑に運用するためにいくつかの決まりごとが存在します。その中でも一番重要なのが行動規範(Code of Conduct)です。この行動規範には,他者との良好な関係を築く上で大事なことが言及されています。コミュニティで発言をする前に,必ず一度は目を通すようにしてください※6)⁠

※6
CoCの現在のバージョンは2012年に更新された2.0です。Ubuntu Japanese Teamのサイトには1.1の日本語参考訳が存在します。2.0と1.1の違いは,Ubuntu固有の話や開発者などの表現を極力取り除き,CC-BY-SA 3.0でライセンスしていることと,コミュニティリーダー向けのCoCを統合したことです。これにより,他のコミュニティでもUbuntuのCoCをそのまま,もしくは必要に応じて改変して利用できるようにしています。

ちなみに,本連載も担当しているUbuntu Japanese Teamは,各地域に存在し,各言語でのコミュニティサポートや翻訳・開発・普及活動を担うLocal Community Teamです。開発や不具合修正などはもちろんのこと,オープンソースカンファレンスのようなイベントに出展したり,第452回のように定期的なオフラインミーティングなども開催しています。

RecipeとTopics

gihyo.jpでは,Ubuntuに関して以下の2種類の連載を行っています。

大雑把な違いは,RecipeがHowTo系の話題で,TopicsがUbuntuコミュニティで起こった出来事です。また,上記連載の姉妹版として,Software Designにて「Ubuntu Monthly Report」という記事も掲載させていただいております。今後,Ubuntuと付き合う覚悟(!)ができた方は,ぜひこれらの連載も読んでいただけたらうれしいです。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。