Ubuntu Weekly Recipe

第473回 Ubuntu 17.04リリース記念オフラインミーティング 参加レポート

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セミナー2「Ubuntu PhoneとConvergence振り返り回」

Ubuntu Japanese Teamの村田さんによる「Ubuntu PhoneとConvergence振り返り回」です。同じくUbuntu Japanese Teamの柴田さんとの掛け合いのもと,Ubuntuの過去のデバイスや技術について振り返りました。

本レポートの冒頭でも触れましたが,4月5日,Canonicalの創業者マーク・シャトルワースがUnity 8やConvergenceへの投資を終了することを発表しています。

Unityはオープンソースなので,今後Unityをデスクトップ環境として採用したフレーバーを出すことも理論上は可能だそうです。Ubuntuは今後GNOMEに切り替わります。詳細はまだ決まっていませんが,今後新しい情報が発表されたときには,本連載でも随時取り上げていくようです。

図14 4月5日のアナウンス

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Convergenceとは,一つのOSで電話,タブレット,ノートPC,テレビなど様々な端末に対応する技術のことで,Canonicalは2008年ごろから取り組んでいたそうです。

まず,2008年6月に,Ubuntu Netbook Remix(後のUbuntu Netbook Edition)というネットブック向けのエディションがリリースされました。当時流行していたネットブックは画面の縦解像度が低いため,縦が狭くても使いやすいように,ネットブックランチャーというインターフェースが搭載されていました。

図15 Ubuntu Netbook Remix / Edition

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The New Ubuntu Netbook Edition EFL Netbook Launcher

同じころ,ネットブックよりもさらに小型な端末NetWalkerが発売されています。OSはUbuntuですが,ネットブックランチャーは搭載されていません。

図16 NetWalker

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2009年,マーク・シャトルワースがCanonicalのCEOを譲り,Ayatanaプロジェクトを立ち上げました。AyatanaはUbuntuのユーザーエクスペリエンスを向上させることを目的としたプロジェクトで,画面右上のメニューで便利な機能が使えるようにしたり,横長の画面を効率よく使えるようなインターフェースを開発したりしました。最終的にはこれらを統合して,Unityのプロジェクトが立ち上がっています。

図17 Ayatanaプロジェクト

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そしてUnityは,Netbook Editionでは2010年の10.10から,デスクトップ版では2011年の11.04から標準デスクトップとなりました。当時は3Dデスクトップが流行しており,Unityでも便利な機能を取り込んでいます。

図18 Unity

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What makes Ubuntu 11.10 so great?

2011年にUnity構想が公表されました。Unity構想は後に名称が変更されており,現在のConvergenceのことです。Ubuntu Phone, Ubuntu Tabler,Ubuntu TVなど,いろいろなデバイスでUbuntuを動かそうという構想です。マーク・シャトルワースのブログによると冷蔵庫もターゲットとしていたようです。

図19 Unity構想

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Ubuntu TVは,Unityのユーザーインターフェースを用いた動画配信サービスです。本連載の第207回でも言及されているように,2012年にプロトタイプが発表されましたが,まだモックアップの段階で,あまり安定していなかったようです。

図20 Ubuntu TV

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Ubuntu. TV for human beings

Ubuntu for Androidは,2011年に構想が,2012年2月に名称が発表されました。Android端末上でUbuntuが動作し,ドックに接続するとデスクトップPCとしても使用できるというものです。Androidの領域と連絡先などの情報を共有して電話をかけたりSMSを出したりできます。便利そうですが,製品化は実現しませんでした。

図21 Ubuntu for Android

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Ubuntu for tablets - Full video

2014年,Ubuntu Edgeというハイエンドスマートフォンの資金をクラウドファンディングで調達しようという計画がありました。目標額は30億円ほどでしたが,調達金額は10数億円で残念ながら不成立でした。

図22 Ubuntu Edge

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Ubuntu Edge: introducing the hardware

Ubuntu Edgeは不成立でしたが,Ubuntu PhoneやTableの端末は実際に発売されています。2015年にはスマートフォンBQ Aquaris E4.5 Ubuntu Editionが,2016年にはタブレットのBQ Aquaris M10が発売されました。Ubuntu Phone,Tabletの最近のバージョンでは,Convergenceによってモバイル端末として使うことも,ディスプレイを接続してデスクトップとして使うこともできます。デスクトップとして使う場合,マウスやキーボードを接続することもできるし,端末の画面をタッチパッド代わりにすることもできます。

Ubuntu Phoneについては,本連載の第439回で柴田さんが解説しています。今後については,Ubuntu Phoneをフォークするプロジェクトがあり開発は続けられるようですが,プロジェクトの規模としてきびしいようです。

Unity 8は,16.10から同梱されるようになりましたが,標準デスクトップ環境として採用されることはありませんでした。

図23 Unity 8

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GNOMEシェルは,17.10 α2あたりから標準デスクトップ環境として採用されることになりそうです。α2やα3を使ってみて動作に問題があれば,メーリングリストなどで報告してほしいそうです。また,Ubuntu-desktop mailing listを読むと歴史的な経緯が分かって面白いので,ぜひ読んでみてくださいと話していました。

著者プロフィール

よこざわかおり

普段はStellariumというプラネタリウムソフトの翻訳に参加している。UbuntuのライトユーザーとしてUbuntu Japanese Teamのイベントにもよく一般参加している。