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第474回 UbuntuとdarktableではじめるRAW現像入門

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明るさとコントラストと彩度の調整

写真の修正で,まずやるべきことは明るさの調整です。というのも,全体的な明るさを変更すると,色の見え方が変わってしまうからです。たとえば彩度や色調を変更して自分好みの色に変えても,その後に明るさを変更すると色が変わってしまうため,再度彩度調整をしなければならくなってしまうのです。彩度だけに再度です。大事なことなので2回言いました。

そのため,次のフローが大原則であることを覚えておきましょう。

  1. 明るさを調整する
  2. ホワイトバランスで色を調整する
  3. コントラスト,彩度等を調整する
  4. ノイズ除去,シャープネス等の仕上げ

「コントラスト 明るさ 彩度」モジュールでは,文字通りこれら3つのパラメータを調整できます。まずは「明るさ」のスライダーを少し上げてみましょう。大抵の場合,露光量を増やす(明るくする)だけで写真の見栄えはよくなります※10)⁠コントラスト,彩度も同様に調整します。

※10
もちろん場合によります。アンダー気味(暗め)にした方が陰が引き締まり,雰囲気の出るシチュエーションもあります。

図16 コントラスト 明るさ 彩度モジュール。スライダーを動かすことでそれぞれのパラメータを調整する。

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図17 PENTAX K-1 + PENTAX-D FA 150-450mm F4.5-5.6 ED DC AW, 焦点距離450mm, 露光時間1/1000秒, 絞りF5.6, ISO1250, 撮って出しの状態(右)と明るさを+0.20した状態(左)⁠あとは少しコントラストと彩度を上げればぐっと見栄えがするでしょう。

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ホワイトバランスの調整

光には色があります※11)⁠蛍光灯の下と白熱電球の下では,同じ物でも違う色で見えるでしょう。どのような光の下でも,正しい色を再現できるように調整する機能がホワイトバランスです。

※11
光の色は数値で表現します。これを色温度と言います。色温度が高くなると青く,低くなると赤く見えます。

オート設定の場合,カメラは「白いものが白く写る」ようにホワイトバランスを調整します。しかしそれでは赤い夕陽も青い夜空も綺麗には写りません。そのような時は撮影者のイメージにあわせて,マニュアル設定でブルーやアンバーに振ったりします。

撮影時にカメラの設定を変更するのが基本ですが,現像時のホワイトバランスの変更は画質の劣化を伴わないため,後から何度でも変更できます。イメージと色が違うなと思ったら,色温度のスライダーを少し動かしてみましょう。

図18 PENTAX K-1 + PENTAX-D FA 150-450mm F4.5-5.6 ED DC AW, 焦点距離450mm, 露光時間1/400秒, 絞りF9.0, ISO400, 撮影したままの状態(左)と色温度をやや下げて青くしてみたもの(右)⁠

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トリミング

原則として,トリミングは可能な限り避けるべきです。特に風景写真であれば,現場できっちりと構図を決め,3:2のフレームをいっぱいに使って画を作る努力をすべきだと筆者は思っています。とはいえ,後から構図を変更したくなることはよくありますし,フレームの隅にいらないものが写り込んでいることに,現像時に気づくこともあります。望遠レンズで撮る動物写真のように,フレームいっぱいに収めるのが難しい題材もあります。最近のカメラは画素数が多いため,多少トリミングしても実際のところ問題はありません※12)⁠原則は原則として,トリミングで構図を変えることで作品がよくなるのであれば,躊躇わずに切ってしまいましょう。

※12
トリミング後の画素数が1000万画素以上あれば,紙への印刷を考えてもまったく問題ありません。たとえば筆者が使っているカメラであれば3600万画素程度なので,2/3を切り捨てても大丈夫という計算になります。

「トリミングと回転」モジュールでは,文字通り写真のトリミングと回転,そして遠近歪曲の補正ができます。まず「縦横比」でトリミング後のアスペクト比を決定します。一般的な一眼レフカメラのセンサーサイズは3:2ですから,3:2を選択しましょう※13)⁠右横の円形の矢印アイコンをクリックすると縦横比を入れ替えられます※14)⁠

※13
3:2という比率は35mmフィルムのアスペクト比に由来します。デジカメによっては4:3であったり,16:9である場合もあります(自由に選択できるカメラも存在します)⁠そのような場合は3:2にこだわらず,オリジナルの画像のアスペクト比に合わせても構いません。
※14
カメラを横に構えて撮った横長の写真をランドスケープ,縦に構えて撮った縦長の写真をポートレートと呼びます。前述の通り最近のカメラはばっさりトリミングしても問題ない程度の画素数を持っているため,ランドスケープの写真を2:3でトリミングしてポートレートにすることもよくあります。

トリミングと回転モジュールがアクティブになっていると,中央パネルの写真の上に,トリミング用のガイドラインが表示されます。コーナーとボーダーをドラッグして,トリミングするサイズを調整します。トリミング枠内をドラッグすると,サイズを変更することなく,トリミング位置を移動できます。ダブルクリックすると,そのサイズで写真がトリミングされます。

マウスの右ボタンで写真の上をドラッグすると,写真を回転させるためのガイドラインが表示されます。その状態で右ボタンを離すと,引いたガイドラインの角度に応じて写真が回転します。画像を斜めにすると,四隅に何も写っていない部分が出てきてしまいます。⁠自動切り抜き」を有効にしておくと,画像内に余白がないよう,回転後に自動でトリミングを行います。

「キーストーン」は遠近湾曲を補正するためのツールですが,ここでは説明しません。詳しくはdarktableのマニュアルを参照してください。

図19 トリミングと回転モジュール。

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図20 樹につかまっているエゾリスの写真。3:2で撮影したが,アップで見せるために2:3にトリミングしてみた。

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図21 写真を斜めに回転させた状態。自動切り抜きは余白が写真内に含まれないよう,ちょうどいいサイズに自動でトリミングをしてくれる。

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著者プロフィール

水野源(みずのはじめ)

Ubuntu Japanese Teamメンバー。理想のフリーデスクトップ環境を求めて東へ西へ……のはずが,気がついたら北の大地で就職していたインフラ寄りのエンジニア。最近レンズ沼にハマる。

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