Ubuntu Weekly Recipe

第477回 Debian 9 "Stretch"がやってきた!

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UbuntuのLTSと同じ周期でリリースされるDebian

Debian 9は前回のDebian 8からおよそ2年ぶりのリリースとなります。リリースの履歴を見ると,これまでもだいたい2年ごとのリリースを維持してきたことがわかります。

Release Date
9.0/Stretch 2017/06/17
8.0/Jessie 2015/04/25
7.0/Wheezy 2013/05/04
6.0/Squeeze 2011/02/06
5.0/Lenny 2009/02/14
4.0/Etch 2007/04/08
3.1/Sarge 2005/06/06
3.0/Woody 2002/07/19
2.2/Potato 2000/08/15
2.1/Slink 1999/03/09
2.0/Hamm 1998/07/24
1.3/Bo 1997/07/02
1.2/Rex 1996/12/12
1.1/Buzz 1996/06/17
0.93R6 1995/10/26
0.93R5 1995/03
0.91 1994/01

不幸な事故によりDebian Projectがリリースした「Debian 1.0」は存在しません。特筆すべきは3.0と3.1の期間が3年近くあいていることでしょう。これはサポートするアーキテクチャーが数倍に増え,パッケージ数も2.2から倍・倍と増えてきた結果,リリースマネージメントが大変になっていたからだと言われています。3.1の前も3.0のときもFreezeが開始してから1年以上経ってもリリースされない状態でした。ちなみにUbuntuは2004年の10月が最初のリリースなので,3.0と3.1の間隙を縫って登場しています。

Ubuntuはタイムベースのリリースを行っています。つまり開発開始の時点で半年後のリリース日を決定し,多少不具合があってもそのリリース日のほうを優先させます。そのため新機能や影響の大きいシステムの移行は,開発開始当初から(公開・非公開のどちらでも)フルスロットルで対応するものの,間に合いそうになければ早めに諦める傾向があります。諦めても次の半年後には間に合えばいいという意識も働くようです。リリース直前にクリティカルな不具合が見つかったら泣きながら対応します。⁠この日にリリースするとは言ったが,タイムゾーンがグリニッジ標準時だとは言っていない。リリース日の前後24時間ずつの幅をとるのは,Ubuntu時間の常識だ」の精神です。

それに対してDebianは品質優先のリリースマネージメントを行っています。報告されている不具合をトリアージして,リリースに影響しそうな不具合を抽出し,それらがすべて「解決」しない限りはリリースしません。よって実際のリリース日は,直前になるまで誰にもわかりません。ただ,それだといつまで経ってもリリースされなくなってしまいかねないので,リポジトリのフリーズ時期をあらかじめ決めて,そこからは不具合修正に注力する方針のようです。

いずれにせよUbuntuもDeibanも方針の違いであり,どちらが良いというものではありません。Debianも品質優先ではあるものの,ほぼ2年ごとのリリースになっていることから,アップグレードのプランをスケジュールしにくいこともないでしょう。今後Debianを使い続ける場合は,このリリース周期に加えてフリーズの開始時期を把握しておくことで,フリーズ期間にテスト・不具合報告・修正を行い,ひいてはリリース後のスムーズなアップグレードを行えるはずです。

Debian 9をインストールする

Debianのインストールは,Ubuntuと同じくらい簡単です。⁠画面の指示に従え。迷ったらOK・次へを押しておけ」の言葉で終わるくらい簡単です。ただ,リリースノートからたどり着けるインストールイメージの取得方法そのものにいくつもの選択肢が用意されているため,初心者は最初の部分で戸惑うかもしれません※6)⁠

※6
初心者ではない人は,そもそも新規インストールよりも既存システムのアップグレードのほうが多いのかもしれません。

はじめてDebianをインストールする人であれば,次の2択になります。

  1. インストールイメージをダウンロードしてインストールする
  2. Debian Liveイメージをダウンロードしてインストールする

1.は昔からある方法です。Ubuntuと同じようにダウンロードしたイメージをUSBやCD-Rなどメディアに記録し,そのメディアで起動するだけでインストーラーが立ち上がります。立ち上がったインストーラーから「グラフィカルインストール」を選択すれば,あとはUbuntuのインストーラーとほぼ同じ手順となります。日本のユーザーならネットワーク経由でパッケージをインストールしたほうが速いので,2枚目以降のイメージのダウンロードは不要です。

2.ではUbuntuと同じような,インストールせずとも試せるライブイメージを作成できます※7)⁠起動時にインストーラーとして動かすかどうかも選択できるため,こちらをダウンロードするのもアリでしょう。Liveイメージがサポートするデスクトップ環境ごとにファイルがわかれているので,好みのデスクトップ環境を選択してください。ただし1.と異なり,日本語環境の設定をインストール後に手作業で行う必要があります。ライブシステムが不要なら,1.の方法を採用することをおすすめします。

※7
Debian Liveは初期の問題を対応した9.0.1が6月21日にリリースされています

詳細な手順はインストールガイドも参考になるでしょう。

Debian Liveを使用する

まずはDebian Liveイメージを使ってLive環境を立ち上げてみましょう。

イメージを用いて起動したら,最初のGRUBの画面でLive環境を立ち上げるかインストーラーを起動するかの選択肢が表示されます。さらにLive環境の場合は言語の設定も行います。たったこれだけです。

図1 ⁠Debian Live with Localization Support」を選択

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図2 ⁠Japanese (ja)」を選択

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図3 GNOME版のDebianが起動した

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ちなみに最初の段階で「Graphical Debian Installer」を選択すると,GUIベースのインストーラーが立ち上がります。

GNOME版のLiveイメージの場合,IBusが最初から入っている都合上,im-configの自動設定だとuimは起動しません。しかしながらibus-mozcやibus-anthyはインストールされていないため,そのままでは日本語入力ができない状態になります。アカウントパスワードは「live」です。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

コメント

  • root パスワード

    インストールのときrootパスワードを入れると、userがsudoerに登録されず、またrootアカウントもロックされていて、ソフトのインストールができず、ニッチもサッチもいかなくなりました。
    もちろん設定ファイルの変更もできませんでした。

    Commented : #1  白川 利昭 (2017/06/30, 13:25)

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