Ubuntu Weekly Recipe

第599回 Ubuntu 19.10リリース記念オフラインミーティング フォトレポート

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「19.10をUnityっぽくして使う」

Ubuntuのオフラインミーティングはおおよそウェルカム糖分で小腹を満たしつつ,イベント開始直後にからあげとオードブルで殴るというスタイルをとっています。つまりイベントが始まった段階では,みんな口に何か入っているのです。

その状態でセミナーやっても皆さん食べるのに夢中なので誰も聞いてくれません。前回同様,今回も開始直後は特にセミナーを行わないことにしました。決してセミナー発表者が少ないことに対する苦肉の策ではありません。YouTubeの配信を見ていた人は,Fossa(次回20.04のコードネームの動物)のぬいぐるみが映った画面の後ろでひたすら咀嚼音が流れているのを聞くことになります。

食べ終わったあとの一回目のセミナーはUbuntu Japanese Teamのメンバーでもあり,Canonicalの社員でもある村田さんによる19.10をUnityっぽくして使うです。

図2 19.10をUnityっぽくして使う

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3年前のオフラインミーティングで発表した「オレのUbuntuノートPCセットアップ」の2019年版として,Unityユーザーだった村田さんがGNOME Shellに移行するにあたって設定した内容・考え方を面白おかしく解説してくれました。現状のUbuntu DockよりももっとUnityなUIに寄せたいユーザーにとっても参考になることでしょう。

図3 デスクトップ設定を直接,届ける村田さん

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図4 3年前からノートPCも買い替えた模様

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ちなみにCanonicalでは,日本での採用,特にIoT分野のエンジニアの採用を行っているそうです。興味のある人は採用ページから「Japan」「APAC」で検索してくださいとのこと。また,2013年から運用しているUbuntu JapanのTwitterアカウントでも日本語の情報発信を強化しているようで,フォロワーが増えると嬉しいとのことでした。

今回のリリースノートとUbuntu Pro

もうひとつのセミナーは恒例になりつつあるリリースノート一気読みです。

Ubuntu 19.10のリリースノートをよく読むと,個々のコンポーネントのバージョンアップのおかげで,細かい改善は数多く行われていることがわかります。また大きな変更点については本連載でも紹介してきました。セミナーでは,そのへんの解説済みの改善点を適度にスキップしつつ,紹介していきます。

図5 リリースノートを画面に大写しして進める

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図6 Ubuntu Weekly Topicsでもお馴染みの吉田さん

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ここ数回のリリースで恒例となっている大量のs390xアーキテクチャー(IBM Z/Linux ONE)についても,⁠s390xなマシンを触っている」という人が日本でもみかけるようになったので,そのうちご家庭でも使えるようになるのではないでしょうか。すみません,適当なこと言いました。s390xがご家庭で使えるようになることはたぶんないです。とにかくs390xは本連載でも一度取り上げてみたいところではあります。

リリースノート自体の紹介はそこそこに,最近アナウンスされたUbuntu Proを紹介するフェーズに移ります。現時点でUbuntu Weekly Topicsに掲載されている以上の話はあまりないのですが,これまでの状況をまとめたり,今後の展開を予想したり,実装コードの公開されているコミットログを晒し上げたりと,それなりに盛り上がっていました。

図7 Ubuntu ProはCanonicalの村田さんも交えて,いろいろと濃い話を

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Ubuntu ProでUbuntu Weekly Topicsのページを紹介したついでに,来年にアメリカで開催されるWSLConfの話も出てきました。CanonicalでWSL(Windows Subysystem for Linux)を担当している開発者も,日本でのWSLConfの開催を期待している模様。今後のアナウンスが楽しみですね。

また,Ubuntu 20.04 LTSリリースに向けたユーザーアンケートについても紹介していました。要するにUbuntuユーザーがどんなふうに使っていて,どういう印象を持っていて,どんな機能を期待しているかのアンケートをとって,今後の開発に役立てようというものです。ウェブからアカウントを作ることなく簡単に回答できますので,読者のかたもぜひ回答してください。

ちなみにおそらく英語で回答する必要があります。しかしながらほとんどが選択式なのと,自由入力欄も単語の羅列でも回答になるような質問(2年後にはどんな技術が流行っていると思いますか?)がほとんどなので,そこまで大変ではないでしょう。

なんかもうここのコーナー,リリースノートよりも「最近のUbuntu Weekly Topics」のほうがウケるんじゃないかって気がしてきました。

「GREEのUbuntu担当です」

主催・会場提供のグリー株式会社の松澤さんは,グリーでのUbuntuの話とせっかくなので最近のグリーの取り組みや採用に関する話を紹介しました。

図8 GREEでのUbuntuの事例を紹介

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オンプレミスな大量のUbuntuサーバーをGCPに移行中だとか,サポートの切れたUbuntu 14.04 LTS(Trusty Tahr)をひたすら駆逐し続けているだとか,インフラ周りの話を紹介しつつ,グリーの採用についても説明していました。あとGREEも,Twitterアカウントであるgree_techのフォロワーを募集中だそうです。

ただし,これだけで終わらないのが松澤さんのすごいところ。おもむろにもうひとつのプレゼン資料「水中ドローン作ってみた」を取り出します。曰く,次のような流れで水中ドローンを作ってみることになったんだとか。

  • 社内の非公式Make部の活動の一環でテグスを使うことになった
  • どうせテグスを使うなら釣りもやってみようと一式揃えてみた
  • うまく釣れないけど,釣れない理由がわからない,PDCAが回せない
  • まずは視覚化からということで水中カメラを作ってみた
  • たしかに撮影できるけど安定できず見ているだけで酔う
  • そこで水中カメラをドローン化することに
  • 3Dプリンターを買って筐体作った
  • ドローンとコントローラーの間の通信は「50mのLANケーブル」
  • きちんと安定して映像を撮れるようになった
  • それでも釣れなかった
  • 現在,改良するために基板から作成中

……優秀な人は発想と行動力からして違いますね。

図9 LANケーブルを水没させる案は周囲からも反対されたそう

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図10 テスト用の場所は台風で使えなくなったので急遽代替地を用意したんだとか

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図11 撮影した様子はYouTubeでも見られるとのこと

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著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。