インターネットって何だろう?

第31回IPv4アドレス枯渇の背景

IPv4アドレスの枯渇は10年以上前から予測されています。その背景として、世界中のインターネット普及率が上昇し続けていることが挙げられます。日本やアメリカなどではすでにインターネットが普及しており、これ以上急激なユーザ数増加はなさそうです。

しかし、主に発展途上国ではインターネットの普及は「これから」であり、まだまだユーザ数は増えます。そのユーザ数増加には、IPアドレスが必要です。

中国のインターネットの急激な拡大

インターネットが拡大し続ける限りは、32ビット長のIPv4アドレスは枯渇しますが、近年その傾向を特に強めたのが中国でのインターネット利用の拡大です。

今や、中国のインターネットユーザは世界のインターネットの2割に達しています。

中国でのインターネット普及率は2010年時点で31.6%にもかかわらず、アメリカのユーザ数の倍に届きそうな勢いです。しかも、まだまだ伸びそうな勢いがあります。 Internet World Statsに掲載されている中国のインターネットユーザ数のグラフは以下のようになっています。

Internet Users in China 2000 ~ 2009 February 2010
Internet Users in China 2000 ~ 2009 February 2010

アメリカでの2010年時点の普及率が77.3%であり、これ以上は急激には伸びないことを考えると、中国国内ユーザがアメリカのユーザ数の倍以上になりそうであることが推測できます。

なお余談ですが、このように中国のインターネットユーザが激増している背景に関して書くと、⁠検閲してるんだし、中国のユーザが全部NATの下に行けば良い」という意見が散見されます。しかし、実際に中国全体をプライベートIPv4アドレスによるNATで運用する方法を考えると、実はそんなに単純ではないことがわかります。

たとえば、IPv4のプライベートアドレスで最大となる10.0.0.0/8が1600万個しかIPv4アドレスを表現できず、中国の人口に対して/8ブロック1つがあまりに小さ過ぎることに気がついていない人は結構多いです。本当に中国全体をNAT下に移動するという方法に関する思考実験をしてみると、実現にはかなりの工夫が必要だということがわかると思います。

アジアにはインドもある

アジア地域には、中国だけではなくインドもあります。2010年時点でのインドでのインターネット普及率は6.9%(Internet World Statsより)であり、中国同様にこれからインターネットユーザが増える可能性が高いです。

最後に

このような状況もあり、アジア太平洋地域でのIPv4アドレス利用量が特に増えています。ただ、アジア太平洋地域だけでIPv4アドレス利用が増えているわけではありません、中国ほど顕著ではありませんが、いまだに世界中でインターネットは拡大を続けています。

IPv4アドレス枯渇後も、恐らくインターネットは拡大を続けようとします。需要と供給のバランスが大きく崩れるのがIPv4アドレス枯渇問題です。

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