インターネットって何だろう?

第33回IPv4アドレスの割り振り

前回は、IPv4アドレス枯渇後にIPv4インターネットとIPv6インターネットの「二つのインターネット」が平行して運用されていくようになることを紹介しました。

今回は、そもそもIPv4アドレスが枯渇するという状況が、どのように発生するのかを紹介します。

そもそもIPアドレスはどうやって割り振りされてるの?

IPv4アドレス枯渇に関して知るには、まず「どうやってIPアドレスが割り振りされているのか?」を知る必要があります。

インターネットにおける識別子であるIPアドレスは、世界で一意である必要があります[1]⁠。そのため「アナタはこのIPアドレスを使ってもいいですよ」という割り振りを一括して行う組織が必要になります。インターネットでは、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)がグローバルなIPアドレスの割り振りを行っています[2]⁠。IANAはIPv4/IPv6両方の割り振りを行っていますが、ここではIPv4の説明だけを行います。

IANAがIPv4で割り振りるのは/8単位のIPアドレスです。/8ということは、16777216個のIPv4アドレスを表現できます。32ビット長のIPv4アドレスには、256個の/8アドレスブロックがあります。

しかし、IANAが世界中の細かい割り振りを全て行うわけではありません。それぞれの/8ブロックはRIR(Regional Internet Registry, 地域レジストリ)に割り振りられます。

RIRとしては以下の5つの組織があります。

  • AfriNIC(アフリカ)
  • APNIC(アジア太平洋地域)
  • ARIN(アメリカ)
  • LACNIC(ラテンアメリカ及びカリブ海地域)
  • RIPE NCC(ヨーロッパ、中東、中央アジア)
図1 Regional Internet Registry
図1 Regional Internet Registry

RIRは/8アドレスブロックをさらにNIR(National Internet Registry, 国別レジストリ)に割り振ります。日本の国別レジストリはJPNICで、APNICに所属している組織という形になっています(ただし、JPNICはAPNICとIPv4アドレスの在庫を共有しています⁠⁠。

国別レジストリは、新たなIPアドレス割り振りが必要になると、所属しているRIRからIPアドレスを受け取ります。国別レジストリは、RIRから受け取ったIPアドレスを国内の組織に割り振りるとともに「誰に割り振りたのか」の情報を管理します。

このような形でIPアドレスは世界的に管理され、複数の組織が同時に同じIPアドレスを使うという事態を避けています。

いつ枯渇するの?

IPv4アドレスの枯渇とは、このような仕組みで行われているIPv4アドレスの割り振りが、これ以上行えなくなる状態です。

このIPv4アドレス枯渇は段階的に発生します。まず、最初にIANAプールが枯渇し、次にRIR内での割り振り可能なIPv4アドレスが枯渇し、さらに国別レジストリでも枯渇します。

実際のIANAプールの枯渇という意味でのIPv4アドレス枯渇は2010年2月中に起こりました。APNICをはじめRIRでの枯渇も始まっている状況です。国別のレジストリの枯渇も近いと思われます。

最後に

今回は、IPv4アドレス割り振りの仕組みと、IPv4アドレスのIANAプール枯渇時期に関して紹介しました。次回は、地域によってIPv4アドレス枯渇の時期や、それによる影響の大きさが異なることを紹介します。

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