明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第21回ゼロカーボン

資源エネルギー庁によれば、2020年実績として日本国内における再生可能エネルギー比率は18%となっています。世界各国においてCO2など温室効果ガス削減に向けた試みが進んでいますが、気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書[1]によれば、温室効果ガスの排出量が、どのようなシナリオにおいても21世紀末に向けて増加し、世界の平均気温は上昇し、気候変動の影響のリスクが高くなると予測する主張もなされています。客観的な指標値として、日本国内においても二酸化炭素濃度は1987年から2021年までの34年程度で増加傾向が見受けられます図1⁠。我が国でも、さまざまな状況が絡み合いながら、社会基盤となったクラウドを支えるデータセンターではカーボンニュートラル化が進んでいます。しかし、カーボンニュートラルデータセンターと呼ばれるものの多くが、再生可能エネルギーなど非化石電源の環境的な価値を取り出した非化石証書と呼ばれるものと、既存の電力契約を組み合わせた取り組みに推移しています。再生可能エネルギーを100%直接利用したゼロカーボン・データセンターなども世相を反映すれば求められる状況ですので、今後の展開には期待したいところです。現状、ゼロカーボン・データセンターを実現するには、さまざまなハードルを越えていく必要があります。一般的なデータセンターについてエネルギー供給と送電イメージを図示すると、図2のようにさまざまな発電地からデータセンターまで多数の変電所を経て成立していることがわかります。しかし、限られた地域ではありますが再生可能エネルギーの発電が盛んな地域でかつ、それらが集中するエネルギー供給源は確かに存在しています。世界各国においても、再生可能エネルギーを活用したデータセンター立地への検討は盛んに議論されていますので、今後の展開には期待しています。当研究所は、引き続き温室効果ガスの抑制、気象災害の減災、情報化を支えるクラウド基盤の維持の今後に注目していきます。

図1 気象庁/二酸化炭素濃度の月平均値(温室効果ガス等の観測地点:岩手県大船渡市三陸町綾里)[ppm]
出典:https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/obs/co2_monthave_ryo.csv
図1
図2 ゼロカーボン・データセンターを実現するために知っておくべきエネルギー供給イメージ
図2

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