tanQブックスシリーズ日本近海に大鉱床が眠る
―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦―

[表紙]日本近海に大鉱床が眠る―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦―

四六判/216ページ

定価(本体1,480円+税)

ISBN 978-4-7741-4222-7

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書籍の概要

この本の概要

日本の排他的経済水域(EEZ)は世界第6位を誇る。この広大な排他的経済水域の海底には,レアメタルを始めとする鉱物資源が眠っていることが分かっている。この資源をうまく利用することができれば,世界情勢に左右されることなく自前で鉱物を確保できるようになるという。

しかし,鉱床のある場所は深い深い海の底。その上,世界各国が日本にある鉱床を狙っている。商業ベースに乗る可能性は? 開発に立ちふさがるのは生物多様性? 利権が絡む鉱区とは?

数々の難問に翻弄されながら,海底熱水鉱床に挑む研究者。その声を交えながら,資源開発の“知られざる現場”に鋭く迫る。

こんな方におすすめ

  • 鉱物・エネルギー資源に興味のある方
  • 研究の最前線に起こる難問に興味のある方
  • 潜水艇マニア

目次

第1章 海底に熱水鉱床が存在していた!――偶然の発見史

プレートテクトニクスの登場

  • プレートテクトニクスの夜明け/画期的発見。しかし反応は……/研究者同士の出会い。そしてプレートテクトニクスへ/そのとき日本は……

プレートテクトニクスの証し,海底温泉を探せ!

  • 熱水活動の痕跡はまず紅海で/崖に阻まれるプレートテクトニクスの検証/もはや自分で行くしかない……/有人潜水艇で中央海嶺を目指せ――FAMOUS計画/熱水噴出孔が見つからない……/舞台は大西洋からガラパゴスリフトへ/科学者コーリスの覚醒/科学者たち,競ってガラパゴスリフトへ/待ち望んだ瞬間がついに/想定外の大発見。そこに生物学者がいれば……/探求心が生み出したブラックスモーカーの発見/そして研究は鉱床探査へ

第2章 西太平洋にもあった海底熱水鉱床

日本周辺の海底熱水鉱床発見の前夜

  • 兆候をつかんでいたのに……ドイツ人が一番乗り

海底熱水鉱床は黒鉱型?

  • 日本のKUROKO/黒鉱型鉱床の地球史ロマン

ようやく始まった日本海域の調査

  • さて,どこから手をつけていいものやら……/海底カルデラに狙いを定めたものの……/海底地形図の精度/発想の転換,痕跡を探せ/堆積物採取方法も変えてみた/危険と隣り合わせの調査航海/キラキラ光る粒子。発見の予感!/悔しさだけを残して/船に乗れない海洋研究者

第3章 有人潜水艇「しんかい2000」に乗る

天候が悪いと潜れない有人潜水艇

潜水艇の中をご案内――閉所恐怖症の方はご遠慮下さい

  • 球形の耐圧室。思ったより快適かも……

水深1400mの海底での探査

  • しんかい2000,いざ深海へ!/重量感だけを感じる闇の世界/リップルマークの重要性

硫化物を伴う岩石の採取。そして心残りの離底

  • 最後の5分。有人潜水艇の威力/あ,あれは!? 無念のタイムオーバー

“嵐を呼ぶ男”

空振りを続ける潜水艇調査

第1潜航。あれれ,潜水艇が動かない……/第2潜航。立ち上がるものすべてがチムニーに見える

日本を離れ南太平洋へ

  • のどかな国々での思いがけない成果

第4章 サンライズ鉱床の発見とその後

ついにチムニーを発見

  • あれが……チムニーなのかな?

チムニー発見現場の全容

  • チムニーが林立する壮観な風景/チムニーという名のオアシス/「サンライズ鉱床」が秘める“意義”

硫化物マウンドの下には何があるのか?

  • 大きな勘違い/かなりシビアなBMSの海底掘削/場所選択もシビアなBMSの海底掘削/思いがけない副産物

どうしても背弧リフトに鉱床を見つけたい

  • 1個の粒子による導き/大いなる発見。そして新たなる難問

大陸棚延長問題――どの国家がその海を領するのか?

  • 北極海の帰属先はロシアなのか?

第5章 遅すぎた発見――ライジングスター鉱床

20年以上も前にさかのぼる調査

  • 他の海底カルデラとは違うかもしれない/あぁ,やらかしてしまった……

海底熱水鉱床は確かに存在していた

  • 20年越しの調査,弱気な1日目/20年越しの調査,台風迫る2日目。やっと発見……

ドイツ・アーヘンでの事件――論文の盗難

  • 夕食後のミステリー/後日談。改めて気づかせてもらったこと

第6章 海底熱水鉱床は商業ベースに乗るのか?

海底熱水鉱床の商業的価値

  • 海底のどこに,どんな金属が,どれくらい眠っているのか?

海底熱水鉱床はビジネスになり得るのか?

  • オーストラリア魂を受け継ぐノーチラス社/ノーチラス社の野望/出遅れるネプチューン社

海底熱水鉱床に立ちはだかる環境問題

  • レインボー熱水活動域の場合/日本の場合

第7章 海底熱水鉱床の探査・資源量評価――技術・手法のブレイクスルーはあるか

調査のための国産プラットホーム

  • いつまで外国製に頼るのか……

メートル単位にこだわる海底地形図の作成

海底熱水鉱床の深部探査手法

  • 音による調査/音波で海底熱水鉱床の下限がわかるのか?/音波調査,今後の課題/重力による調査/磁力による調査

第8章 海底熱水鉱床の将来

海洋研究を牽引する戦略的“海洋国家”へ

  • 世界に先駆ける“海洋国家”としての選択肢/ソフトパワーを駆使した“海洋国家”の構築

海底熱水鉱床の未来の活用法

  • 海底熱水鉱床の発電所構想/海底熱水鉱床を充電基地にしたハイブリッド型AUV探査法

未踏海域の開拓に向けて

  • 有望な海底――フィリピン海と日本海/新たなる熱水活動域を見つける四つのキー

著者プロフィール

飯笹幸吉(いいざさこうきち)

1953年千葉県生まれ。現在,東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。工学博士。東京教育大学理学部地学科卒。東京大学工学系大学院修士・博士課程修了。専門は海底鉱床学・海洋地質学。独立行政法人産業技術総合研究所(旧通商産業省工業技術院地質調査所)を経て,2009年9月から現職。

CG動画に「明神海丘 カルデラの形成とチムニーの成長史」がある。

著者の関係するHP:東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻HP北太平洋鉱物資源データベース