tanQブックスシリーズ献体
―遺体を捧げる現場で何が行われているのか 

[表紙]献体―遺体を捧げる現場で何が行われているのか 

四六判/200ページ

定価(本体1,480円+税)

ISBN 978-4-7741-4699-7

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書籍の概要

この本の概要

医療従事者の教育のために,解剖体として遺体を捧げる「献体」。この献体を希望する人が増加し,密かに世間の注目を集めている。

献体をするにはどうすればいいのだろうか? 献体登録をすると報奨金がもらえるのか? その瞬間,遺族は何をすればよいのだろうか? 遺体はどう扱われ,どのような状態で戻ってくるのだろうか? 日本人の死生観は,なぜ海外と違うのだろうか?

デリケートなテーマだけに,語られることが少なかった献体。本書は,その現状を真正面から伝える初めての書籍である。

こんな方におすすめ

  • 献体,医学部に興味のある方
  • 自分の死について見つめ直してみたい方
  • 死後の始末に悩んでいる方

目次

第一章 献体をすること

  • 献体登録はどのように行うのか?
    • 自分の意志を尊重してもらうには
  • 献体登録をすると何が得られるか?
  • 交流の場として――献体団体の総会
  • 絆として――献体団体の会報
  • 献体登録をする動機
    • 献体を進める動因の強さ

第二章 献体者を見送る側――遺族の立場

  • 献体者がお亡くなりになると
    • 会員の確認と代表者の決定
    • 死亡届の提出
    • 遺体の引き渡し,その後
  • さまざまな献体,さまざまな遺族
  • 解剖慰霊祭への招待
    • 解剖慰霊祭
  • 遺骨の帰りを待つ遺族
  • 遺骨返還式の風景
  • 遺族が安堵する瞬間

第三章 献体者を受け入れる側――大学側の実務

  • 献体登録の受け付け
    • 献体をお断りするケース
  • 献体団体と総会
    • 教育の場としての総会
  • 遺体の引き取り
    • 遺体引き取りを悩むケース
  • 遺体の保存処置
  • 解剖実習における学生の指導
  • 遺体の火葬
  • 遺骨の返還

第四章 遺体の扱い――解剖実習と学生

  • 3種類の人体解剖
    • 正常解剖とその他の解剖との違い
  • 遺体の保存処置
    • ホルマリンの注入
    • ホルマリンの低減と保管
  • 解剖実習室に搬入される遺体
  • 解剖実習にあたって
    • 解剖実習序論
    • 一人の人間との出会いを忘れないこと
  • 解剖実習の始まり
  • 身体の中の世界
    • “一人の人間”を強烈に意識する瞬間
  • 解剖実習の最終日
    • 解剖体が遺体に戻るとき
  • 遺骨返還式――感謝の意を表する場
    • 感謝の言葉

第五章 献体運動はどのように行われているのか

  • 篤志解剖全国連合会とは
    • 献体と解剖の将来について考える場
  • 難しいマスコミを通じた広報活動
    • 誠意あるテレビの取材
  • 連合会の作成する広報資料
  • 献体の現況調査
  • 相談の窓口としての事務局

第六章 世界と日本の献体事情

  • アメリカの献体事情
    • “契約”としての献体
    • 報酬と費用――法的な規制,自己負担
    • 広範囲に用いられる遺体
    • 大学の墓所に埋葬
    • 自由すぎることの弊害
  • ドイツの献体事情
    • プラスティネーション研究所
  • イギリスの献体事情
  • 中国・台湾の献体事情
  • 世界と比較した日本の献体の特徴
  • 解剖と献体について規定する法律

第七章 日本における人体解剖と献体の歴史

  • 初めての人体解剖を記録した山脇東洋の『蔵志』
    • 遺体と慰霊
  • 江戸時代に行われた人体解剖
  • 江戸時代の解剖事情
  • ポンペによる人体解剖
  • 東京大学医学部で始まった人体解剖実習
  • 明治から戦前における解剖体供給事情
  • 戦後の解剖体供給事情
  • 献体運動の高まり
  • 献体運動がもたらしたもの
    • 献体の概念を変えた運動
    • 献体運動のこれから

第八章 世界における人体解剖の歴史

  • 古代ギリシャの人体解剖
  • 古代ローマのガレノスの解剖学
    • 詳細な記述と卓越する技術
    • 影響を与え続けたガレノスの偉業
  • 中世・ルネサンスの人体解剖
  • 16世紀前半の人体解剖――ヴェサリウスの前夜
  • 16世紀後半の解剖学――ヴェサリウスが切り開いた人体解剖の世界
    • 圧倒的な『ファブリカ』
  • 17世紀の解剖学――人体理解の変貌
  • 17世紀の解剖学書と解剖図
  • 18世紀の解剖学――人体の理念と解剖学教育
  • 18世紀の解剖学書と解剖図
  • 19世紀の解剖学――医学・生物学の発展による解剖学の再編成
  • 19世紀の解剖学書と解剖図譜
  • 20世紀と現代の解剖学書と解剖図譜

著者プロフィール

坂井建雄(さかいたつお)

順天堂大学医学部教授(解剖学・生体構造科学)。1953年大阪府生まれ。1978年東京大学医学部医学科卒業。ハイデルベルク大学研究員,東京大学医学部解剖学助教授を経て,1990年から現職。おもな研究・活動領域は,解剖学,腎臓と血管系の細胞生物学,献体と解剖学の普及,医学と解剖学の歴史。主な著書は,『からだの自然誌』(東京大学出版会),『からだの百科事典』(編,朝倉書店),『人体の正常構造と機能』(監修・著,日本医事新報社),『プロメテウス解剖学アトラス』(監訳,医学書院),『人体観の歴史』(岩波書店)など多数。